ダブルインカムとは?家計管理と貯金のコツ
共働きが増え、ダブルインカムも珍しくはありません。
ダブルインカムとは、夫婦それぞれに収入があることです。
ダブルインカムの平均年収や貯金、メリットやデメリットを考えていきましょう。
さらに、夫婦別財布でも老後資金を貯めるコツも解説します。
目次
- ダブルインカムとは?リスクヘッジになる理由は?
- ダブルインカムのメリット
- ダブルインカムのデメリット
- 正社員共働きが羨ましい!ダブルインカムの世帯年収
- ダブルインカムの平均世帯年収は750万円
- 夫婦とも正社員、40代前半で780万円
- 世帯年収1,000万円越えは約11%
- 世帯年収1,000万円以上の世帯、貯金はいくら?
- ダブルインカムの家計管理、夫婦別財布で大丈夫?
- 夫婦それぞれが管理し、生活費を折半する
- 夫婦共有の口座の中から生活費を支払う
- 夫婦どちらかの収入を全額貯蓄にまわす
- ダブルインカムノーキッズは貯めどき
- 老後資金は、最低限の生活なら300万円で足りる?!
- ゆとりある老後には4,000万円必要?!
- まとめ
ダブルインカムとは?リスクヘッジになる理由は?
ダブルインカムとは、1つの世帯で2つの収入源があることを指します。
語源は、英語の「double」と「income」。
二重の収入ということで「ダブルインカム」と呼ばれています。
日本では一般的に「夫婦共働き」を指します。
ただ単身世帯でも、本業と副業の2本の収入がダブルワーカーを「ダブルインカム」ということもあるようです。
今回は、「夫婦共働き」のダブルインカムについて解説します。
ダブルインカムのメリット
ダブルインカムは、リスクヘッジができる点と老後への備えが大きなメリットです。
・万が一のリスクヘッジになる
1人が働けなくなっても、収入がゼロになるという事態を避けられるのが、ダブルインカム最大のメリットです。
ダブルインカムは、2人の収入源があることから、「人生における最強のリスクヘッジ」といわれます。
ダブルインカムであれば、夫が急な病気や事故やケガで働けなくなっても収入が途絶えることはありません。
・老後に備えられる
夫婦で働いていれば、片働きよりも世帯収入には余裕がありますよね。
毎月決まった額を貯蓄に回すことも難しくはないのではないでしょうか。
老後資金など、将来のために貯蓄ができるのはダブルインカムのメリットです。
さらにダブルインカムでは、お金を貯める以外にも老後のメリットがあります。
共働きで夫婦それぞれが社会保険に加入していれば、将来夫婦それぞれが公的年金が受給できます。
老後資金への不安が多い中、これは大きなメリットです。
老後資金については、「ダブルインカムノーキッズは貯めどき」の章で詳しく解説します。
ダブルインカムのデメリット
ダブルインカムならではのデメリットに、家計管理の難しさが挙げられます。
夫婦それぞれに収入があると、家計の分担があいまいになりがちです。
夫婦どちらかに家計負担や管理の負担が偏るってしまうと、不満が溜まってしまいます。
家計管理や将来設計について夫婦でよく話し合い、お互いが家計に興味を持つことが大切です。
ダブルインカム世帯の家計管理については、ダブルインカムの家計管理、夫婦別財布で大丈夫?の章で詳しく解説します。
次章では、ダブルインカム世帯の収入や貯蓄の実態について解説します。
正社員共働きが羨ましい!ダブルインカムの世帯年収
2019年の共働き世帯数は、専業主婦世帯の2倍以上というデータもあります。※1
いまや、共働き世帯が主流。
共働きのダブルインカムであれば、世帯年収は高く「世帯年収1,000万超えも夢じゃない」「羨ましい!」と思う方は多いかもしれません。
ただ実際にはそれほど高くはないようです。
ダブルインカムの世帯年収は平均いくらくらいなのか、また、正社員夫婦の場合の目安を確認しましょう。
ダブルインカムの平均世帯年収は750万円
総務省統計局による2019年の家計調査によると、共働きダブルインカムの世帯年収は平均750万2,376円です。※2
世帯主の平均月収が45万7,954円、配偶者の月収が16万7,244円で、合計月収額は62万5,198円となります。※2
夫婦とも正社員、40代前半で780万円
では、夫婦2人が正規雇用の場合の世帯年収はどうでしょうか。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、40代前半の男性正社員の平均月収は36.7万円。※3
女性は28.6万円です。※3
つまり40代前半の夫婦共働きの世帯年収は、およそ783万円。
最も給料が高くなる50代前半の世帯年収は、およそ880万円まで増えています。※3
40代前半で妻が非正規雇用の場合の世帯収入は、およそ676万円です。※3
二人とも正社員の場合は世帯年収が100万円以上多いと考えられます。
世帯年収1,000万円越えは約11%
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」によると、ダブルインカムで世帯年収(手取り)が1,000万円を超えている世帯の割合は約11%です。※4
約1割と考えると、多くはないものの身近にいてもおかしくはない数字ですよね。
賃金の高い首都圏に絞れば、1,000万円超世帯の割合はさらに多いと考えられます。
では年収1,000万円を超える世帯では、どれくらい貯金をしているのでしょうか。
次章で解説します。
※1 図表1-1-3 共働き等世帯数の年次推移 /厚生労働省 /2021年 6月14日現在
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/02-01-01-03.html
※2 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 (2020年) /総務省統計局 / 2021年6月14日現在
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330004&tclass3=000000330005&result_back=1&tclass4val=0
※3 令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況 (6) 雇用形態別にみた賃金/厚生労働省 / 2021年6月14日現在
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/dl/06.pdf
※4 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)/金融広報中央委員会 /2021年6月20日現在
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/pdf/per22001.xlsx
世帯年収1,000万円以上の世帯、貯金はいくら?
世帯年収1,000万円以上の世帯であれば、家計に余裕もあり貯めやすいと考えられます。
この世帯年収の層では、実際にどれくらい貯金があるのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」によると、各世帯の年収1,000万円以上世帯の貯蓄額は下記の通りです。
【年収1,000万以上世帯の貯蓄割合と預貯金額】
年間の貯蓄割合 (対手取り) | 現預貯金の額 | |
年収1,000万〜1,200万円 | 16% | 平均983万円 |
年収1,200万円以上 | 20% | 平均1,792万円 |
年収1,000万円を超える世帯では、毎年手取り年収の16%以上を貯蓄に回し、預貯金は1,000万円程度あることがわかります。
一方で1年間貯蓄をしなかった世帯も一定数いるようです。
【年収1,000万以上世帯の貯金と金融資産の有無】
金融資産を保有していない世帯は少なく、全体の5%程度。※4
世帯年収が高い世帯では、預貯金をはじめ保険商品や株式など複数の金融資産を持ち合わせていることがわかります。※4
積立型の保険や個人年金保険、株式などの金融資産の保有率が高いようです。※4
老後に備えた資産形成を重視していると考えられます。
※4 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)/金融広報中央委員会 /2021年6月20日現在
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/pdf/per22001.xlsx
ダブルインカムの家計管理、夫婦別財布で大丈夫?
ダブルインカムは、夫婦でお金を共有するのが難しいという悩みも多いものです。
夫婦別財布の場合、どのように家計管理をすればよいのでしょうか。
3つの方法を例に、メリットとデメリットを解説します。
【夫婦別財布の家計管理法(例)】
- 夫婦それぞれが管理し、生活費を折半する
- 夫婦共有の口座の中から生活費を支払う
- 夫婦どちらかの収入を全額貯蓄にまわす
など
昨年貯金をしなかった世帯 | 金融資産のない世帯 | |
年収1,000万〜1,200万円 | 12.5% | 4% |
年収1,200万円以上 | 5.7% | 5.4% |
夫婦それぞれが管理し、生活費を折半する
結婚当初に多いと考えられるのが、この方法です。
例えば、月々の総支出を半分ずつ負担したり、支出項目ごとに分担したりします。
家賃やローンは夫、光熱費や食費は妻という具合に、話し合いで決めておきます。
この方法のメリットは、必要な支出以外はそれぞれが自由に使える点です。
相手に気遣いすぎることなく、趣味にもお金を使え、ストレスは少ないかもしれません。
ただ、それぞれが収入を管理するため、世帯全体の収支を掴みづらいのが難点です。
相手が貯めていると思ったら、全く貯金がなかったということにもなりかねません。
貯蓄額や貯蓄方法を話し合い、家計に組み込む必要があります。
夫婦共有の口座の中から生活費を支払う
子供が生まれたり住宅ローンを組んだりすると、お互いが生活費の口座にお金を入れる方法が管理しやすいでしょう。
計画的に貯蓄をするなら、生活費とは別の貯蓄口座にそれぞれがお金を入れる方法もあります。
決まった額を入れればよいので、自分で裁量を持ってお金を管理したい方には向いています。
イベントごとの出費もその中から負担すれば、急な出費に焦ることもないでしょう。
デメリットは、給料が少ないほうや負担が重いほうに不満が出やすい点です。
例えば、夫の月給40万円に対し妻の月給20万円の場合、お互いが10万円ずつ生活費に入れると、妻は自由なお金が少ないことになります。
月給の30%ずつ負担するなど、割合で決めると納得しやすいかもしれません。
夫婦どちらかの収入を全額貯蓄にまわす
夫婦どちらかの給料で生活費を負担し、もう一方の給料は全額貯蓄にまわす家庭もあります。
例えば、妻の給料を全額貯蓄にまわす場合は、夫の給料から家賃や食費など全ての支出を支払います。
この方法のメリットは、なんといっても貯金が貯まりやすい点です。
どちらかの手取り収入を全額貯蓄するため、毎月まとまった金額を貯められます。
ただどちらかの収入で支出が賄えなければなりません。
また年1回の税金の支払いや冠婚葬祭の費用などの不定期な支出への対応を話し合っておく必要があります。
家庭の収支に余裕があり貯蓄優先であれば、この方法がよいでしょう。
夫婦別財布だとお金が貯まらない…ともいいますよね。
夫婦でお金のことを共有でき、収入や資産状況、支出を把握できていれば問題ない場合もあるでしょう。
お互いが納得できるよう話し合いが大切です。
旦那さんのお小遣いが多すぎる!と思ったら、
旦那さんのお小遣い、5万円は多い?平均は?理想は何割?内訳は?
こちらの記事を参考にしてみてください。
ダブルインカムノーキッズは貯めどき
ダブルインカムで子供がいないうちは、支出のコントロールもしやすくお金の貯めどき。
この時期から、将来に備えて貯金をするお金の流れを作っておきましょう。
これから「子供が欲しい」「家を買いたい」など貯蓄の目的があれば、月々の貯蓄額を算出し確実に貯めていきましょう。
また将来への備えとして「老後資金」も必要です。
老後資金は、最低限の生活なら300万円で足りる?!
老後に最低限必要な生活費は1ヶ月30万円ほどと考えられています。※4
令和元年度の厚生年金保険(第1号)の平均年金月額は、14 万6,000円。※5
基準となる標準月額報酬(1か月間の収入)が平均31万5,000円ですので、夫婦二人とも正社員で同等の収入がある場合には、14 万6,000円×2の29万2,000円を公的年金として受給できる計算です。※5
このケースでは、毎月不足する生活費はおよそ1万円程度ですので、65歳から88歳まで23年間で不足する金額は276万円だと考えられます。
令和元年度時点での日本人の平均寿命は、男性81.41 年、女性87.45 年。※6
今後はさらに寿命が伸びる可能性を考慮しても、標準的な給料の正社員共働きであれば、300~400万円の貯蓄で最低限の暮らしはできそうです。
ただ実際の年金支給額は、夫婦の就労状況により異なります。
上記は夫婦二人とも月収約32万円を得ている場合の計算です。
自分たちの働き方・収入でどれくらいの年金がもらえるかは、日本年金機構のサイトで確認してみてください。
ゆとりある老後には4,000万円必要?!
老後ゆとりある暮らしをするには、+14万円ほど必要だと考えられています。※7
つまり毎月必要な生活費は44万円。
公的年金だけでは、毎月約15万円不足してしまいます。
65歳から88歳まで23年間に不足する金額は4,140万円です。
仮に4,000万円を25年間で貯めるとなると、毎月13万円ほど貯蓄に回さなければなりません。
貯めどきである「ダブルインカムノーキッズ」のうちから、計画的に貯めていきましょう。
実際の年金支給額は、夫婦の就労状況により異なります。
上記は夫婦二人とも月収約32万円を得ている場合の計算です。
自分たちの働き方・収入でどれくらいの年金がもらえるかは、日本年金機構のサイトで確認してみてください。
※4 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)/金融広報中央委員会 /2021年6月20日現在
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/pdf/per22001.xlsx
※5 平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 /厚生労働省年金局 / 2021年6月22日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/000578278.pdf
※6 令和元年簡易生命表の概況 「1主な年齢の平均余命」 /厚生労働省 / 2021年6月22日現在
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/dl/life19-02.pdf
※7 令和元年度「生活保障に関する調査」(令和元年12月発行)/公益財団法人生命保険文化センター/ 2021年6月22日現在
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r1/2019honshi_all.pdf
まとめ
最近では、共働きが主流となりダブルインカムは珍しくありません。
共働きであれば、年収1,000万円を実現する世帯も少なからずいるものの、平均的には750万円前後です。
ダブルインカムの最大のメリットはリスクヘッジになること。
このメリットを生かせるよう、家計管理は夫婦で話し合うことが大切です。
家計簿などで収支を共有しながら、将来に備えましょう。