不足しがちな時期がある!?丈夫な体を作る栄養素ビタミンKは意識して摂取しましょう!

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ビタミンという言葉は耳にすることが多いですが、ビタミンKという言葉にピンとくる人は、意外と少ないかもしれません。
元気な体を作るうえでは欠かすことのできない、大事な栄養素であるビタミンKの働きを知り、毎日しっかりと摂取していくようにしましょう。
また、ビタミンKには不足しやすい時期というものがあります。
どのような時に不足しやすいのかを理解し、ビタミンKを美味しく摂取して元気な体を作りましょう。

目次

  1. ビタミンKとは
    • ビタミンとは
    • ビタミンKは水溶性?脂溶性?
    • ビタミンKのプロフィール
  2. パワフルな栄養素ビタミンK
    • ビタミンKの健康パワー
    • ビタミンKは上部な体づくりをアシストする?
    • ビタミンKには不足しやすい時期がある?
  3. ビタミンKの上手な摂り方
    • ビタミンKを多く含む食品
    • ビタミンKを上手に生かす扱い方
    • ビタミンKを摂取できる簡単レシピ
  4. ビタミンKの1日の摂取量
    • ビタミンKの過不足を防ぐ食事摂取基準とは
    • 妊娠・授乳時期のビタミンK摂取について
  5. まとめ

ビタミンKとは

ビタミンとは

ビタミンKは全部で13種類あるビタミンの1種です。
ビタミンとは炭素、水素、酸素、窒素などを含む有機化合物で複雑な化学構造を持ち、体内に必要な量はごくわずかなのですが、その役割はとても重要であることから微量栄養素とも呼ばれています。※1、2、3
またビタミンの語源は生命を意味するラテン語のVITAで、食べ物から摂取して体内へ摂り入れる必要のある物質です。
ビタミンKはドイツ語のKoagulationsvitamonに由来します。
3大栄養素のようにエネルギー源や体の構成成分とはなりませんが、体の機能を正常に維持するためにはとても大切な栄養素です。※1、2、3、4
アメリカの生化学者であるR・ウイリアムズ博士は、このような栄養素を命の鎖と称し、ネックレスと似ていると表現しました。
そして、不足している部分があると鎖が切れやすくなるため、バランスよく栄養素を摂り入れることが重要であると述べました。
ビタミンKが体内で不足することのないよう、ビタミンKについて理解を深めていきましょう。※2

ビタミンKは水溶性?脂溶性?

ビタミンはその構造上、脂溶性ビタミン水溶性ビタミンの2つに分類されます。※1、2、3
脂溶性ビタミンはアルコールや油に溶けやすい性質がある一方、水溶性ビタミンは水に溶けやすく熱に不安定な性質があります。※1、2、3
また、脂溶性ビタミンには過剰に摂取すると体内に蓄積されるものもあるため注意が必要です。
水溶性ビタミンは反対に過剰に摂取しても体内には蓄積されることはなく排泄されてしまうため、こまめに食べ物から体内へと摂り入れる必要があります。※1、2、3

ビタミンKは脂溶性ビタミンに分類されます。
ビタミンKと同じ種類の脂溶性ビタミンと、性質に違いのある水溶性ビタミンは次の通りです。

●脂溶性ビタミン:ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK
●水溶性ビタミン:ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、ビタミンC

ビタミンKのプロフィール

ビタミンKは黄色油状、脂溶性、熱や光・アルカリに安定するといった性質があります。※1、2
天然に存在するビタミンKには、ビタミンK1とビタミンK2があります。
いずれも、ナフトキノンという物質を共通の構造としており、側鎖構造が違う2種類が存在します。※5
そのため、化学名にも違いがあり、ビタミンK1はフィロキノン(Phylloquinone)、ビタミンK2はメナキノン(Menaquinone)と呼ばれています。※1、4
ビタミンK1は緑黄色野菜に含まれるビタミンKですが、ビタミンK2は微生物によって合成される成分です。
ちなみに、わたしたちの体内の細菌も、ビタミンK2を合成することができます。※1、2、3
しかし常にビタミンK2を合成できるというわけではなく、体内環境が健康な状態でなければできません。
美味しくご飯が食べられて、充分なエネルギーを作り出す、元気な体でなければビタミンK2を充分に合成することは難しいのです。
日頃から自分の体と向き合い、ビタミンK2を合成しやすい、健康な体を作っていきましょう。※1、2、3

※5 厚生労働省 1-6 ビタミン / 2020年4月24日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042635.pdf
※1 中嶋 洋子、蒲原 聖可 (監修) 主婦の友社編 2017年10月発行 最新栄養成分辞典 これは効く!食べて治す 主婦の友社
※2 中村丁次監修 2017年2月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版
※3 牧野直子監修 2017年8月発行 世界一やさしい!栄養素図鑑 新星出版社
※4 日本医師会/日本歯科医師会/日本薬剤師会監修  2019年7月発行 健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版<第6版> 同文書院

パワフルな栄養素ビタミンK

ビタミンKの健康パワー

ビタミンKには、体の調子を整える働きがあります。
まず、ビタミンKの大きな働きとしてあげられるのは、丈夫な体を作ることです。
丈夫な体を作るには、ミネラルであるカルシウムも大切な栄養素となります。
カルシウムは体内に最も多く存在するミネラルで体重の1~2%を占めているのですが、体を丈夫にする時にオステカカルシンンというたんぱく質を必要とします。※2
ビタミンKはこのオステカカルシンを元気にする働きがあるため、丈夫な体を作るためにとても重要とされています。
また、ビタミンKは血液の仕組みともかかわっています。
たとえば、傷口からの出血が止まるまでには、さまざまな物質が複雑に関係しあう仕組みがありますが、この過程の中で必要とされる物質は体内で合成されています。
ビタミンKは、そのうちの1つの物質であるプロトロンビンの合成を助ける働きがあります。※1、2、3
しかし、この仕組みが体内で勝手に働くと大変です。
ビタミンKには、この仕組みを上手にコントロールするという働きもあります。※1、2、3

ビタミンKは上部な体づくりをアシストする?

いつまでも元気でいるためには、丈夫な体が必要です。
しかし人を含む生物は、年を取るとだんだんと体が脆くなっていきます。
人の場合、その原因は食塩の過剰摂取、極端な食事制限、運動不足、喫煙などがあげられるほか、ビタミンKが体内で不足してしまうことも危険因子の1つとされています。※6
前述のように、ビタミンKはカルシウムの働きを助ける成分ですから、ビタミンKが体内で不足してしまうと、十分なカルシウムを体内に取り込むことができず、体はどんどん脆くなってしまうのです。
年を重ねていたとしても、ビタミンKを摂取することは丈夫な体を維持するのにとても重要です。※1
食べ物から得たカルシムをしっかりと体内へと取り込むためにも、ビタミンKが体内で不足しないよう意識して摂取するようにしましょう。※1

ビタミンKには不足しやすい時期がある?

丈夫な体を作ったり、出血が止まるまでの仕組みなどに関連したりするビタミンKには、不足しやすい時期があります。
誰もが経験するのは、出生直後の時期です。
みなさんは、生まれたばかりの赤ちゃんに飲ませる、Kツーシロップをご存知でしょうか?
これはビタミンK2のシロップで、日本では産まれて数日後に赤ちゃんに飲ませます。※1、2、3、7、8
ビタミンKは体内で合成されるのですが、産まれたばかりのときはビタミンKを作り出す力が強くありません
そのため、ビタミンKの不足を防ぐ目的で、Kツーシロップを飲ませるのです。
母乳に含まれるビタミンKの量は少ないため、赤ちゃんの1か月検診でも飲ませることがあります。※1、2、3、7、8

また、抗生物質などのお薬を長期に渡って使用している人も、体内でビタミンKを作る力が弱くなっている可能性があります。※1、2、3、7、8
ビタミンKの欠乏は体の不調を招くことがあり、時には大きな不調となってしまうこともあります。
ビタミンKが体内で不足しないよう、日頃からバランスの良い食事を心がけ、効率よくビタミンKを摂取していきましょう。※1、2、3

※6 e-ヘルスネット 骨粗鬆症の予防のための食生活 / 2020年4月24日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-007.html
※8 J-STAGE 新生児および幼若乳児におけるビタミンKの生体内動態
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjph1987/4/4/4_4_313/_pdf/-char/ja
2020年4月24日閲覧
※1 主婦の友社編 2017年10月発行 最新栄養成分辞典 これは効く!食べて治す 主婦の友社
※2 中村丁次監修 2017年2月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版
※3 牧野直子監修 2017年8月発行 世界一やさしい!栄養素図鑑 新星出版社
※7 一般社団法人 日本サプリメント協会著 NPO日本抗加齢協会監修 2017年6月発行 体の悩みを解決!ずっと健康に! サプリメント健康辞典 集英社

ビタミンKの上手な摂り方

ビタミンKを多く含む食品

ビタミンKを多く含む食品はどのようなものなのでしょうか。
それぞれの含有量を目安量と合わせてみてみましょう。

【ビタミンKを多く含む食品(1食当たりの目安量)/含有量】※2、9

  • あしたば ・・・50g/250㎍
  • つるむらさき・・・50g /175㎍
  • 春菊・・・60g /150㎍
  • ほうれんそう・・・50 g /135㎍
  • 小松菜・・・50 g /105㎍
  • 納豆・・・40g/240㎍

このようにビタミンKは緑黄色野菜や納豆などに多く含まれています。
また、ビタミンKは微生物によって合成されるので、納豆以外の発酵食品にも、比較的多く含まれています。
そのほかには、ヒジキやコンブ、ワカメといった海藻類肉や乳製品にも、ビタミンKは多く含まれていますが、例えば海藻類はかなりの量を食べないと、たくさんのビタミンKが摂れません。
具体的には、乾燥ワカメを100g分食べるとビタミンKが660μg摂取可能、という計算になります。
ビタミンKを効率よくたくさん摂取したいならば、上記のような葉物野菜や納豆などを、毎日の食卓に加えると良いでしょう。※1、2、3

ビタミンKを上手に生かす扱い方

ビタミンKは脂溶性のビタミンですから、油と一緒に摂ると吸収率がアップhします。
熱にも比較的安定しているので、ビタミンKを多く含んだ青菜を油炒めにすると、栄養をたっぷりと摂取することができます。※1、2、3
また、ビタミンKを多く含む葉野菜や納豆といった食材は、古くから日本で親しまれている和食によく登場します。

現代は飽食の時代といわれ、食生活が欧米化しているという現実がありますが、昔ながらの和食は、健康にもよく栄養をしっかりと摂ることのできる、素晴らしい文化です。
今一度、古き良き文化を見直して、美味しい食卓で元気な体を作っていきましょう。※1、2、3
また、ビタミンKは脂溶性ではありますが食品による過剰摂取での体調不良は報告されていません。
毎日の食卓に1品を足す時には、ビタミンKを意識したものを出すようにすると、体にビタミンKを補うことができます。
※1、2、3

ビタミンKを摂取できる簡単レシピ

ビタミンKはいろいろな食品に含まれています。
中でも手軽に1品を加えることのできる納豆を使ったレシピと、主食でビタミンKを補える中華がゆのレシピをご紹介します。

【長いも納豆/1人前】※1 
材料
納豆1パック/皮をむいた長いも30g/薬味用ねぎ10g/だし醤油小さじ2/青じそ1~2枚

1.長いもは納豆の大きさに合わせて角切りに、青じそは細切りにしておく
2.納豆、長いも、ねぎをだししょうゆと合わせ、よく混ぜて器に盛る
3.青じそを飾る
4.アツアツのご飯にかけて食べる

【たいとほうれんそうの中華がゆ/2人前】※10
材料
米1カップ/水1リットル/ほうれんそう100g/刺身用タイ鯛の切り身100g/塩少々/胡椒少々/ごま油適量/お好みで鶏ガラスープの素少量

1.米を研ぎ、水を加えておかゆを作っておく
2.ほうれんそうを水でしっかりと洗い、沸騰した湯で好みの固さにゆでる
3.ゆで上がったほうれんそうをすばやく水に落とし、熱をとり、水気を切って小口切りにする
4.おかゆに塩胡椒や少鶏ガラスープの素で味をつけ、器に盛る
5.その上からほうれんそうと鯛を乗せ、ごま油を回しかける

この中華がゆは、大人用を作りながら味付け前に取り分ければ、赤ちゃんの離乳食にもなるメニューです。※10
産後間もない赤ちゃんがKツーシロップを飲む回数はわずかです。
そのため、離乳食を始める頃には、しっかりとビタミンKを摂取できるようにする必要があります。
おかゆに味を付ける前にとりわけておき、たいには火を通す、ほうれんそうをすりつぶすなどの別の工程を加えたりしながら、離乳食を作りましょう。
両親の食事を作る過程を利用でき、同じメニューを楽しむことができます。
家族みんなでビタミンKを補える、簡単レシピを楽しみましょう。※1、2、3

※9 文部科学省 食品成分データベース / 2020年4月24日閲覧
https://fooddb.mext.go.jp/
※10 農林水産省 ごはんレシピ等 / 2020年4月24日閲覧
https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/resipi.html
※1 主婦の友社編 2017年10月発行 最新栄養成分辞典 これは効く!食べて治す 主婦の友社
※2 中村丁次監修 2017年2月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版
※3 牧野直子監修 2017年8月発行 世界一やさしい!栄養素図鑑 新星出版社

ビタミンKの1日の摂取量

ビタミンKの過不足を防ぐ食事摂取基準とは

丈夫な体を作るビタミンKは1日どのくらいの量を摂取すればよいのでしょうか。
厚生労働省は、栄養素をバランスよく摂るための指標として、推定平均必要量・推奨量・目安量・目標量・耐容上限量を示しています。※1、2、3
これによると、ビタミンKは推定平均量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られていないため、性別と年齢ごとに良好な栄養状態を維持するのに十分な量である目標量が定められてます。
それでは、ビタミンKの年齢ごとの1日の目安量をみてみましょう。※1、2、3、4、5

【ビタミンKの食事摂取基準目標量 単位μg】※1、2、4、5

0~5カ月:4
6~11カ月:7
1~2歳:60
3~5歳:70
6~7歳:85
8~9歳:100
10~11歳:120
12~14歳:150
15~17歳:160
18歳以上:150
※男女ともに同量です

ビタミンKは緑黄色野菜に多く含まれており、日常の食事にどんどん取り入れたい食品です。
しかし、ビタミンKが体に良いからといって偏った食事を繰り返していると、その他の栄養素の過不足が心配になります。※1、2、3、4
何事も適量が大切ですので、1日に何をどのくらい食べたらいいのかを意識して、主食と主菜、副菜、汁物にもう1品といった、和食の献立を基本にしましょう。※1、2、11

妊娠・授乳時期のビタミンK摂取について

妊娠・授乳時期のビタミンKの摂取量は、目標量である150㎍であれば安全とされています。※2、4、5
元気な赤ちゃんのためにも、ビタミンKが不足しないようしっかりと摂取していきましょう。
しかし、ビタミンKは医薬品との相互作用には注意が必要です。※1、2、3
例えば、ワルファリンカリウムを服用している方は、ビタミンKの摂取によりお薬の効果を弱める可能性があります。
この他にも糖尿病治療薬なども注意が必要なため、持病のある方や日頃から医師に処方されたお薬を服用されている方は、ビタミンK摂取の前に医師に確認をとるようにしましょう。※4、5

※5 厚生労働省 1-6 ビタミン / 2020年4月24日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042635.pdf
※11 厚生労働省 「食事バランスガイド」について / 2020年4月24日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
※1 主婦の友社編 2017年10月発行 最新栄養成分辞典 これは効く!食べて治す 主婦の友社
※2 中村丁次監修 2017年2月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版
※3 牧野直子監修 2017年8月発行 世界一やさしい!栄養素図鑑 新星出版社
※4 日本医師会/日本歯科医師会/日本薬剤師会監修  2019年7月発行 健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版<第6版> 同文書院

まとめ

情報を目や耳にする機会が少なく、意識することの少ないビタミンKは、実はとても大切な栄養素です。
身近な食品に多く含まれているため、ちょっと意識を変えれば、ビタミンKを不足しないようにできます。
ビタミンKをしっかり摂取して、丈夫な体を作り、いつまでも元気な姿でいられることを目指しましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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