「甘酒」は天然の栄養ドリンク??元気な毎日を甘酒で手に入れましょう!!
「甘酒」というとお正月などの寒い時期に飲むイメージがあるのではないでしょうか。
しかし江戸時代では夏バテを防ぐ栄養ドリンクとして、夏によく飲まれていました。
そのため、現在でも俳句の季語では夏として使われています。
美味しいだけではなく、栄養がたくさん詰まった甘酒にはどのような健康パワーが隠れているのでしょうか。
江戸の庶民にも愛された甘酒の健康パワーを知り、毎日の食生活に摂り入れてみましょう。
目次
- 甘酒とは
- 甘酒の種類
- 甘酒は飲む点滴
- 甘酒のチカラを味方につけよう
- 発酵食品とは
- 甘酒の旨味の正体
- 甘酒の健康パワー
- 甘酒の上手な作り方
- 家族みんなで甘酒を飲もう
- 乾燥麹と生麹
- 基本の甘酒の作り方
- 甘酒の保存方法
- 甘酒を美味しく摂取しよう
- 砂糖のかわりに甘酒を使ってみよう
- 甘酒の1日の摂取量
- まとめ
甘酒とは
甘酒の種類
健康によいことで注目を集めている甘酒には酒粕で作る甘酒と、麹でつくる甘酒があることをご存知でしょうか。
まず酒粕で作る甘酒についてです。
日本酒を醸造する際、蒸した米と麹に水を加え、発酵させてもろみを作ります。
このもろみを絞った液体が酒で、残った個体が酒粕です。※1、2
酒粕には、20種類以上ものアミノ酸や、ビタミン類体に必要な成分が豊富に含まれています。
そのため、酒粕を使った甘酒にはたくさんの体によい栄養素が含まれることになります。※1、2
では、麹で作った甘酒はどうでしょう。
麹自体は米や麦、大豆などから作られます。
これらの穀物を蒸したもので麹菌を培養すると、カビの一種である麹菌が繁殖し、麹ができあがります。※1、2
平安時代から室町時代には麹を専門に売る麹売りや種麹屋が存在し、現在でも10社ほどの種麹店が営業を続けています。
麹にはたんぱく質を分解する酵素であるプロテアーゼや、デンプンを分解するアミラーゼなどの多くの酵素が含まれています。※1、2
また、麹は日本の食文化において、基本の調味料となる醤油や味噌、本みりん、米酢などに欠かすことのできないものでもあります。※1
麹にもいろいろな種類のアミノ酸やビタミンが含まれていて、体によい影響を与えてくれる働きがあるため、麹で作られた甘酒も積極的に摂取するとよいでしょう。※1、2
しかし酒粕で作る甘酒と麹で作る甘酒では、飲める人に違いができてしまいます。
麹で作った甘酒は、子供から大人、誰でも口にすることができます。
一方、酒粕で作った甘酒は酒を造った時の副産物ですからアルコールが含まれており、子供は飲むことができません。※3
また、酒粕から作った甘酒は独特の味や香りから苦手だという人も多いようです。※1、2
同じ甘酒とはいえ、アルコールが苦手な人や子供には麹の甘酒を選ぶと良いでしょう。
麹はお米のデンプンをブドウ糖やオリゴ糖に変えるため、麹でつくった甘酒はノンシュガーで自然な甘さというのも、大きな違いです。※1、2、3
甘酒は飲む点滴
甘酒が注目を集めるようになったのは、近年のことです。
栄養価の高さからクローズアップされたのですが、ずっと昔から甘酒は体に良い飲み物として、日本人の中では広く知られていました。
ここでの甘酒は、麹で作られた甘酒ですが、その起源は古墳時代に遡ります。
日本書紀では応神天皇に献じたという記述があり、神様や位の高い人に捧げるものだったという説もあります。※1、2、4
また粉ミルクのなかった時代では、母乳が出ない母親が赤ちゃんに甘酒を飲ませることもあったそうです。
甘酒はエネルギー源となるブドウ糖に加え、ビタミンB1・B2・B6葉酸、食物繊維、オリゴ糖、アミノ酸などを含んでいます。※1、2、3、4
このような栄養素が含まれていると知られていなかった江戸時代でも、甘酒を売る行商は風物詩的な存在となり、現代まで廃れることなく受け継がれてきました。
それは、昔の人の経験から、麹で作られた甘酒は消化吸収力の未熟な幼児でも安心して飲める栄養たっぷりの飲み物だということが分かっていたからでしょう。
※1、2、3、4
しかも甘酒には体内での消化を促す酵素も豊富に含まれています。※1、2、4
今まで甘酒をあまり口にしたことがない、年に数回程度しか飲まないという人も多いかもしれませんが、これだけの栄養をもった甘酒を摂取しないのは勿体ないことです。
冬といわず、1年を通して元気な体を維持するためにも、日常的に甘酒を摂取する習慣を身につけましょう。※1、2、4
※1 小泉武夫・金内誠・館野真知子監修 2013年6月発行 すべてがわかる!「発酵食品」事典 世界文化社
https://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/13325.html
※2 是友麻希著 2014年7月発行 酵素いきいき 生甘酒 主婦の友社
https://books.rakuten.co.jp/rb/12802425/?l-id=search-c-pbook-01
※3 農林水産省 消費者相談
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1712/02.html
2020年9月30日閲覧
※4 小紺有花著 2017年4月発行 白砂糖なし、乳製品なし、卵なし 甘酒で作る麹のおいしいおかず&スイーツ 河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309286266/
甘酒のチカラを味方につけよう
発酵食品とは
甘酒は古くから伝わる伝統的な発酵食品です。
発酵食品にはそもそも、微生物が関わっていないものと、微生物の力で作られているものがあります。
微生物が関わっていない発酵食品には、紅茶や塩辛、魚醤などがあり、原料がもっている酵素そのもので作り出されています。
一方、微生物によって食材の成分を変化させた発酵食品には、多くの種類があります。※1
発酵食品の製造に関わっている微生物には、次のようなものがあります。
【カビ】※1
・麹菌
・アオカビ
・カツオブシカビなど
【細菌】※1
・乳酸菌
・酢酸菌
・納豆菌など
【酵母菌類】※1
・パン酵母
・ビール酵母・清酒酵母など
甘酒はカビで作られているというと、驚くかもしれませんが、このカビ(麹菌)こそが美味しさと健康パワーの秘密だったのです。
カビや菌というと病気になってしまうイメージがあるのですが、発酵を行うものは健康に役立つ働きがあります。※1
甘酒の旨味の正体
発酵食品である甘酒には、心を溶かすような優しい甘味や旨味がたくさん詰まっています。
もともと食品に含まれているたんぱく質やデンプンには、味や匂いはありません。
ところが発酵が起こると、これらの成分は分解されブドウ糖やアミノ酸へと変化します。
これが甘味や旨味へと繋がるのです。※1
ご飯をよく噛むと甘く感じるのは、唾液の酵素がデンプンをブドウ糖に分解しているからです。
このような働きが発酵でも起こっているため、麹による甘酒には砂糖とは異なる優しい甘味があるのです。※1
甘酒の健康パワー
発酵食品は、食材を微生物の働きで発酵させてつくられていますが、この微生物は体内に取り込まれると体の中で元気を守る、いわゆる善玉菌になります。※1
発酵は美味しくなるための大切な過程であり、腐敗とは異なります。
これは体内で起こる発酵と腐敗に大きく関係しています。※1、2、4
口にした食べ物は、体内の菌により発酵か腐敗というどちらかの反応が必ず起こります。
発酵は栄養を吸収し有害物質や病原菌の侵入を防止するのに対し、腐敗は有害物質を吸収し、体に対して悪い影響を与えます。※1
また、悪玉菌は体内が酸性に傾くと増殖できなくなり、外から入ってきた悪玉菌もアルカリ性を好むので体内に入っても酸によって死んでしまいます。
一方の善玉菌は弱酸性の環境を好みますし、自身も周りの環境を弱酸性に維持する働きがあります。
甘酒に含まれる微生物は体の中で発酵を起こしてくれますので、甘酒を日常生活に取り入れ、元気な体を作っていきましょう。※1、2、4
※1 小泉武夫・金内誠・館野真知子監修 2013年6月発行 すべてがわかる!「発酵食品」事典 世界文化社
https://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/13325.html
※2 是友麻希著 2014年7月発行 酵素いきいき 生甘酒 主婦の友社
https://books.rakuten.co.jp/rb/12802425/?l-id=search-c-pbook-01
※4 小紺有花著 2017年4月発行 白砂糖なし、乳製品なし、卵なし 甘酒で作る麹のおいしいおかず&スイーツ 河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309286266/
甘酒の上手な作り方
家族みんなで甘酒を飲もう
昔から体によいといわれてきた甘酒は、麹で作ればノンアルコール、ノンシュガーですから、家族みんなで楽しむことができます。
スーパーなどで売られている市販の甘酒も体によい成分がたくさん入っているのですが、多くは味の変化を防ぐため加熱されています。※2、5
加熱された甘酒はビタミンの変成や微生物の死滅が起こっているため、本来の甘酒の健康パワーが半減してしまいます。
作りたての甘酒で、新鮮なビタミンや酵素を余すことなく摂り入れてみましょう。※2、5
乾燥麹と生麹
大人から子供まで飲める麹の甘酒に必要な基本材料はもち米・麹・水だけです。
麹はスーパーや通販でも入手でき、乾燥麹と生麹の2種類があります。※5
【生麹】※5
作ったままの生の米麹で、冷蔵庫で1~2週間程度しか日持ちがしないが、柔らかくそのまま使うことができる。
【乾燥麹】※5
生の米麹を乾燥させたもので、冷蔵庫や冷凍庫で長期間保存することができる。
一般的には水やぬるま湯でもどして使うが、甘酒の場合は発酵の間に柔らかくなるのでそのまま使う。
麹は作る時の元となる種麹(たねこうじ)の違い、麹菌を繁殖させる米の種類の違い、繁殖環境の違いなどで、味にも大きな違いがあります。
いろいろな麹で甘酒をつくり、我が家の味を追求してみましょう。※5
基本の甘酒の作り方
甘酒は、コツをつかんでしまえば、比較的簡単に作ることができます。
まずはもち米1/2合を1時間から一晩浸水させ、炊飯器でお粥を炊きます。
お粥が炊けたら水100mlを加え、約65℃まで温度を下げ、麹(生麹なら100g、乾燥麹なら70g)を混ぜます。
後は保温水筒にお粥を入れて栓をし、6~8時間発酵させるだけで、麹甘酒の完成です。※5
たっぷりの甘酒を作りたい時には、それぞれ倍量を使い、保温水筒を利用せずにそのまま炊飯器の蓋を開けて、布巾をかけて途中2回ほど混ぜながら、保温モードで6~8時間発酵させます。
甘酒作りになれてくれば、もち米を玄米に変えてみたり、雑穀でつくってみると、ちょっと変わった風味の甘酒を楽しむことができます。※5
また、少し上級になりますが、さつまいもやかぼちゃなどデンプンが多い野菜でも甘酒を作ることができます。
ほっこりする優しい味わいの、野菜甘酒にも挑戦してみましょう。※5
甘酒の保存方法
甘酒は、生きている食品です。
そのため、常温においておくとどんどん発酵が進んでしまいます。
発酵が進んでしまった甘酒は、乳酸菌が優位になり、酸っぱくなってしまいます。
作りたての甘酒を飲み切れない場合は、冷蔵庫や冷凍庫で保存するようにしましょう。
また、甘酒は冷蔵保存でも発酵が少しずつ進み、味わいが変化していきます。※4、5
味わいの変化を抑えたい時には、甘酒を鍋に入れて中火にかけてひと煮立ちさせる火入れを行い、麹菌を死滅させて発酵を止めましょう。
火入れを行った甘酒は、生の甘酒に比べ甘味が増すため満足感も高くなります。
冷凍した甘酒は1~2カ月保存することができるので、1週間以上保存したい時はあらかじめ冷凍しておいたほうが安心です。※4、5
※2 是友麻希著 2014年7月発行 酵素いきいき 生甘酒 主婦の友社
https://books.rakuten.co.jp/rb/12802425/?l-id=search-c-pbook-01
※4 小紺有花著 2017年4月発行 白砂糖なし、乳製品なし、卵なし 甘酒で作る麹のおいしいおかず&スイーツ 河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309286266/
※5 館野真知子著 2017年3月発行 おいしく食べるあま酒レシピかんたん!500mlの保温水筒でできる 東邦出版
https://product.rakuten.co.jp/product/-/7940311994ae7a58eee1ea97f2c2d382/
甘酒を美味しく摂取しよう
砂糖のかわりに甘酒を使ってみよう
健康パワーのぎっしり詰まった甘酒は、そのまま飲む以外にもいろいろな方法で摂取することができます。
忙しい朝やおやつの時には、果物や野菜と一緒にミキサーにかけてスムージーにすることができ、甘酒の力で腹持ちもアップします。※5
リンゴと小松菜、ニンジンとパイナップル、アボカドとココアなど、いろいろな組み合わせで飽きることなく、栄養バランスのよいスムージーを楽しんでみましょう。※5
また、甘酒は砂糖のかわりに使うこともできます。
料理などでもよく使う甘味だからこそ、天然の甘味料である甘酒を使ってみましょう。
酵素やビタミン、ミネラルをバランスよく含む甘味は、食べすぎを防ぐ働きもあるため、砂糖に置き換えるのにはぴったりの食品です。※4、5
さらに、甘酒100gに粗塩10g程度を加えれば、風味豊かな甘塩だれが完成します。
こちらは、塩の代わりに使える万能調味料です。
魚や肉の下味や野菜の漬物にも利用でき、冷蔵庫で約3ヵ月保存することができます。
その他にも甘酒は醤油や味噌とも相性がよいため、和食や洋食、中華などいろいろな料理に合わせて利用してみるのもよいでしょう。※4、5
甘酒の1日の摂取量
天然の栄養ドリンクである甘酒は、発酵食品でもあり健康にとてもよい影響を与えてくれます。
しかし、甘酒が体によいとはいえ100gあたりでは糖質は17.9gと、多くの糖を含んでいます。
ご飯やおかずのかわりに大量の甘酒ばかりを摂取していると、栄養が偏るだけではなく糖の過剰摂取となってしまいます。※1、4、6
甘酒の1日の推奨摂取量は特に決まっているわけではありませんが、元気な体を維持するためにも、いろいろな栄養をバランスよく食べ、そのうえで甘酒をプラスするようにするとよいでしょう。
甘酒などの発酵食品は、体の奥まで届いたからといって、いつまでも健康パワーが続くわけではありません。※1、4
人それぞれの食生活や年齢、忙しさなどから甘酒の力はさらに短くなってしまうこともあります。
体の中から元気になるためにも、甘酒は適量をこまめに摂り続けるようにしましょう。※1、4
※1 小泉武夫・金内誠・館野真知子監修 2013年6月発行 すべてがわかる!「発酵食品」事典 世界文化社
https://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/13325.html
※4 小紺有花著 2017年4月発行 白砂糖なし、乳製品なし、卵なし 甘酒で作る麹のおいしいおかず&スイーツ 河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309286266/
※5 館野真知子著 2017年3月発行 新装版 からだに効く!おいしく食べる あま酒レシピ 東邦出版
https://product.rakuten.co.jp/product/-/7940311994ae7a58eee1ea97f2c2d382/
※6 健康寿命をのばそう!
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/disease/nutrition/
2020年9月30日閲覧
まとめ
ほっこりとした美味しさを持つ甘酒には栄養もたくさん詰まっています。
古くから愛されてきた甘酒はコツを覚えてしまえば、毎日の調理にも大活躍すること間違いありません。
甘酒を常備して、いつもの料理に加え美味しさと栄養価をアップさせ元気な毎日を送りましょう。
- 大島 絵美
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看護師免許、メンタル心理カウンセラー
美容外科・皮膚科にて勤務し、美容医療に5年ほど携わる。
AGAクリニックの立ち上げで、師長就任。
自身の美容経験から、医療機器に劣らないほど肌質改善が感じられた、ハーブピーリングでプライベートサロンを始める。
現在は美容医療に関わるコンサルタントや、美容メディアの運用、化粧品開発などを担当している。