ルテインは眼にとって大切な栄養素?ルテイン摂取で眼の健康維持を
私たちは朝目覚めてから就寝までの間、休むことなく眼を使い生活をしています。
眼は他の臓器とは異なり「むき出しの臓器」とも呼ばれていて、外部からの刺激を直接受けてしまいます。
また、パソコン、スマートフォン、テレビなどを使用する機会が多くなり、日常的に「疲れ目」を引き起こしやすい背景もあります。
そんな現代人にとって、ルテインは眼の大切な栄養素と言われていますが、眼の健康を維持するために、ルテインが持つ性質や眼に対する役割、一体どんな働きをしてくれているのか? 詳しく解説していきましょう。
目次
- ルテインってどんな栄養素?
- ルテインとは?
- ルテインは加齢によって減少する
- ルテインはどんなものに含まれている?
- ルテインと同じように眼にいいといわれているブルーベリーとは
- カシス
- ラクトフェリン
- ルテインの効果的な飲み方は?
- まとめ
ルテインってどんな栄養素?
皆さんの中には、「ルテインと聞くと、眼に関係しているようなイメージがあるけれど、どのようなかかわりがあるの?」と思われている方がいらっしゃるかもしれません。
ルテインが持つ性質や眼に対する役割とは、一体どんなものなのでしょう。
ルテインは私たちの体内にある栄養素で、目の健康維持には欠かせないものです。
ルテインは、ブルーライトを吸収して網膜細胞を守る働きや、白内障や加齢黄斑変性(AMD)などの眼病リスクを減少させる働きをします。
しかし、私たち自身でルテインを作り出すことはできないため、食品から摂取する必要があるのです。
ルテインが持つ性質や、ルテインを多く含有する食品など見ていきましょう。
ルテインとは?
ルテインとは黄色や赤色、オレンジ色の脂溶性の色素成分のことで、多くは緑黄色野菜に含まれています。
ルテインは、ゼアキサンチンとともにカロテノイドという大きな分類に属します。
カロテノイドは、さらにカロテン類(黄色または赤色色素)とキサントフィル類(黄色色素)に分類され、キサントフィル類の代表的なものがルテインとゼアキサンチンになります。
ルテインは私たちの体に存在する栄養素で、水晶体、大腸、皮膚などにもありますが、特に眼の黄班部に多く存在しています。※1
黄班は、眼球の網膜の中心に位置し、文字を読んだり、ものを見分けたりするのにかかわる重要な部分で、キサントフィルが多いため黄色がかっているのが特徴です。
ルテイン多く存在する黄班部は、視力の中心的な機能を果たしており、色彩や形を見分けているのです。
また、ルテインの黄色の色素成分は、スマートフォンやパソコンなどからのブルーライトと紫外線を吸収する働きがあるとされています。
ブルーライトとは、人の眼で見ることのできる光(可視光線)です。
エネルギーが非常に強いため、水晶体や角膜では吸収されず、網膜まで達し網膜を変性させるおそれが懸念されています。
ブルーライトは今や私たちの生活には欠かせない、LED照明、テレビ、パソコン、ゲーム、スマートフォンなどのディスプレイに多く含まれています。
長時間、ブルーライトをあびると、いつの間にか網膜へダメージを与え、眼の疲れや痛み、睡眠障害などの症状を引き起こすのではないかと言われています。
ルテインは、その有害なブルーライトを吸収する働きがあり、活性酸素を取り除く抗酸化作用の役割をしながら網膜細胞を守ってくれることが期待されています。
また、ルテインにはコントラスト感度を上げる働きがあります。
コントラス感度とは、濃淡の差が少ないものを識別する能力のことで、夜間の運転や読書には必要とされるものです。
私たちは、日ごろ眼から、多くの情報を得ており、眼の健康は、日々の生活に大きくかかわっています。
しかし、さまざまな要因で眼病にかかることがあります。
どのような、眼病があるのか、いくつか例をあげて説明しましょう。
・白内障
白内障とは、水晶体が白く濁ってしまい、光が眼底に届かなくなるので、眼がかすんだり、視力の低下が起きたりします。
水晶体はピントを合わせるためのレンズのような働きをする組織で弾力があって透明なのですが、白内障になると白濁してしまうのです。
白内障の原因には加齢、紫外線、酸化ストレスなど、さまざまです。
白内障には、先天性と後天性のものがあり、後天性のものの多くの原因は、加齢だと言われています。
抗酸化力が高いルテインは酸化ストレスを抑制し、白内障を予防するのに有効との報告があります。
白内障を予防するために、日差しをさけるサングラスを使用したり、抗酸化成分が含まれる緑黄色野菜や果物を積極的に摂ったりするようにしましょう。※1
・飛蚊症
飛蚊症は、黒い虫のようなものが動いて見える症状です。
症状が出る年齢や原因はさまざまで、一概には言えませんが、生理的なものと病的なものに分かれます。
眼球内にある硝子体という透明なゼリー状のものがつまっており、若いときは透明ですが、加齢により濁ってくることがあります。
硝子体の中の繊維と水分が分離して空洞をつくり、眼球の内壁から硝子体が離れて、繊維の塊が眼球内をふわふわ浮きます。
このふわふわとした繊維のかたまりが、本人には影として認識され、これが飛蚊症の正体です。
生理的な飛蚊症は、慣れると気にならなくなってきます。
しかし、網膜裂孔や網膜剥離や硝子体出血といった病的な原因で飛蚊症の症状が出るときがあるので注意が必要です。※2
・加齢黄斑変性(AMD)
加齢黄班変性は、加齢に伴い、黄斑部に老廃物が沈着する・光の酸化ストレスなどにより、網膜にある黄斑部が正常に動かなくなる病気で、視力が弱っていき、ものの大きさや色が実際とは異なるように見えるといった症状が出てきます。
この病気により多くの高齢者が失明に至っているのです。
ルテインには、加齢黄斑変性(AMD)の進行リスクを減少させることが確認されています。※3
・スマホ老眼
PCやスマートフォンを見る機会が多くなった現代人に増えてきている症状のひとつに「スマホ老眼」があげられます。
スマホ老眼とは、通常の老眼とは異なり、PCやスマートフォンのようなひとつの画面を見続けているうちに、近距離を見る時の筋肉である毛様体筋を疲労させ、一時的に見えにくくしてしまう症状です。
スマホ老眼の現象は、通常の老眼とは別のものです。
一般的な老眼は40代以降に起こることが多いものですが、スマホ老眼は20代でも症状を起こす人が増えていると言われています。
スマホ老眼を防ぐためには、PCやスマートフォンの画面から、ときどき目を離して、目の眼球を動かしたり、窓の外の遠くを眺めたりするのも有効です。※4
※1 日本白内障学会|白内障を予防するには|2019年1月26日.現在
http://www.jscr.net/ippan/page-009.html
※2 日本眼科学会|目の病気|飛蚊症|2019年1月26日.現在
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_hibun.jsp
※3『シニアの白内障 緑内障 加齢黄斑変性』飯田知宏 他監修NHK出版 p 68
※4 総務省|東海総合通信局|コラムVol.39 使いすぎに注意!スマホの使用による健康への影響|2019年1月26日.現在
http://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/mymedia/28/0531.html
ルテインは加齢によって減少する
眼のほかに、ルテインは皮膚にも存在し、ルテインを含むカロテノイドは、ブルーライトをカットすることで皮膚を守る働きをしてくれます。
ルテインとゼアキサンチンを含むサプリを投与した実験でも、両成分は肌にとって有効である結果を示しました。※3
しかし、ルテインは年齢とともに減少していきます。
60歳以上の黄班色素量は20歳代~40歳代のものと比較して少ないことが明らかになっています。※4
その他、ルテインを減少させる要因として、眼の酷使、喫煙、紫外線などの影響があります。
それでは、ルテインを減少させないためにはどうしたらいいのでしょうか。
残念なことに私たちの体内ではルテインを作り出すことができないのです。
唯一、ルテインを含有する食品で摂取するしかありません。
ルテインはどんなものに含まれている?
ルテインは緑黄色野菜に多く含まれていて、その代表的な野菜は、ほうれん草、ケール、パセリなどの葉物野菜です。
また、色の濃い果物や、卵黄にもルテインが含まれています。
卵に関していうと、ルテインは卵丸ごとよりも、卵黄のみの方が多くなります。
また、興味深いことに卵黄のルテイン含有量自体は少ないものの、ルテインの吸収率は野菜を摂取したときより高くなるのです。※5
ルテインを含む食品データ100gあたりのmg
アスパラガス、調理済み 0.991
ほうれん草、生 6.603
ほうれん草、調理済み 12.640
ケール、調理済み 8.884
緑色の豆、調理済み 0.306
レタス、ロメイン、生 3.824
ブロッコリー、調理済み 0.772
パセリ、生 4.326
とうもろこし 0.202
ピスタチオナッツ、生 1.405
卵全体、調理済み 0.237
卵黄、調理済み 0.645
上記の表を見てもわかるように、調理済みほうれん草は生のものよりルテインが多く含まれています。
なぜなら、ルテインは脂溶性であるため、油を使用した調理法の方がルテイン摂取には適していると考えられるからです。
もし、野菜を生で食べたいときは、マヨネーズやオリーブオイル、ドレッシングなどの油分を加えて食べるのがいいでしょう。
茶葉にもルテインが含まれていますが、従来のお茶としての飲み方ではルテインは溶け出しません。
茶葉でルテインを摂りたい場合には、バターやサラダオイルを使ったケーキやクッキーに入れて調理するといいでしょう。
または細かくして炒め物に混ぜるなどの工夫をしてみて下さい。
ルテインと同じように眼にいいといわれているブルーベリーとは
ルテイン、ブルーベリーと聞くと、どちらも眼にはいいものといった印象がありますよね。
ブルーベリーが持つ成分は、ルテインのものとは異なりますが、私たちの眼にどのような働きをしてくれるのでしょうか?また、二つの成分に共通点はあるのでしょうか?
・ブルーベリーの効果について
ブルーベリーはアントシアニン(ポリフェノールの一種で紫色の色素)を多く含んでいることで良く知られています。
そして、このアントシアニンはタンパク質であるロドプシンの再合成に大きく関っているのです。
このロドプシンは、網膜に存在する視物質で紫色をしています。
ロドプシンに光の情報が入ると同時に視神経を通して脳に信号を送り、その結果「眼が見える」といった一連のしくみを担っているのです。
ロドプシンが光を受けたとき、ビタミンAに分解されますが、光の情報がなくなるとロドプシンは再合成する性質をもっています。
ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、この再合成を助ける重要な働きをしているのです。
しかし、加齢や眼を酷使するなどでロドプシンの再合成が間に合わなくなると、ロドプシンは減少してしまいます。
その結果、目が疲れやすくなったり、見えにくくなったりするなどの症状が出てくるのです。
ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、紫外線やストレスによる活性酸素を抑制する働きがあります。
また、抗酸化力が強く網膜にある毛細血管を守り、血液の循環を助けたり、角膜、水晶体に存在するコラーゲンを安定させたりする働きが期待されています。
また、ブルーベリーに含まれるビタミンEやCもアントシアニンと同じく抗酸化作用の働きをします。
また、ブルーベリーにはビタミンAも含まれています。
このビタミンAには眼の網膜を丈夫にする働きがあり、薄暗い場所で眼が慣れるよう手伝ってくれると言われています。
そのほか、食物繊維を多く含むブルーベリーは、コレステロール値や腸内環境を整えたりする働きも期待されています。※6
・ルテインとブルーベリーの共通点は?
ルテインとブルーベリーの共通点は、自分の身を守るための抗酸化物資であることと、視力機能を正常に保つために必要な成分ということになります。
カシス
ヨーロッパの山奥に生息するユキノシタ科スグリ属の落葉低木で、直径1cmほどの濃い紫色のほか、黒色、赤色、白色などの実がなります。
日本語では、クロフサスグリと呼ばれています。
カシスにはビタミンCやA、E、β‐カロテンなどのほか、アントシアニンという成分が含まれており、優れた抗酸化作用を持ち、緑内障や目の疲れ、近くのものを見続けた後、遠くを見たときピントが合いにくくなる症状などに、有効であることがわかっています。
その効果はニューランドの研究機関でも注目されています。※7
ラクトフェリン
ラクトフェリンは、ミルクの中に存在する糖たんぱく質で、ヒトの母乳や哺乳類の涙や唾液にも含まれています。
ラクトフェリンは、さまざまな効果が期待されますが、主に免疫にかかわっている成分でウイルスから守る働きが期待されます。
また、ラクトフェリンは目の粘膜にも存在する成分です。
パソコンやスマートフォンの画面を長くみることで、瞬きが少なくなり目が乾燥しがちになります。
ドライアイの場合は眼科医の処方による目薬などを使用することで改善を目指しますが、そのサポートとして、ラクトフェリンも積極的に摂るようにするとよいでしょう。※8
※5 健康食品の資材情報データーベース(国立健康・栄養研究所)|2019年1月26日.現在
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/indiv.html#Jw09
※6『サプリメント健康事典』一般社団法人日本サプリメント協会 集英社p211
※7『サプリメント健康事典』一般社団法人日本サプリメント協会 集英社p178
※8『サプリメント健康事典』一般社団法人日本サプリメント協会 集英社p178
ルテインの効果的な飲み方は?
ルテインは体内で合成ができない成分です。
残念なことに年齢がいくほどルテインの量は減少してしまうため、意識してルテインを外から摂取する必要があります。
まとめ
私たちの眼はブルーライトや紫外線などの刺激に常にさらされています。
パソコンでの作業やスマーとフォンなど、現代人には欠かせないものですが、眼の健康を考えたときに、もっと眼を大切にすることを意識しなければなりません。
そして、体では作り出せないルテインを食事で積極的に補いながら、眼の健康を維持していきたいものです。
- 大島 絵美
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看護師免許、メンタル心理カウンセラー
美容外科・皮膚科にて勤務し、美容医療に5年ほど携わる。
AGAクリニックの立ち上げで、師長就任。
自身の美容経験から、医療機器に劣らないほど肌質改善が感じられた、ハーブピーリングでプライベートサロンを始める。
現在は美容医療に関わるコンサルタントや、美容メディアの運用、化粧品開発などを担当している。