夜食で太らないメニューはある?甘い物もガッツリも選び方次第

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夜遅くにお腹が空いてしまい、夜食を食べた経験はありませんか?
夜食を食べると、太ってしまうのではないかと不安になりますよね。
今回は、夜食におすすめのメニューや食べ物、太らない夜食の食べ方をご紹介します!

夜食で太らないために、甘いお菓子はNG?食べられるものはある?

まず、夜食を食べると太ると言われている理由を知っていますか?
それは主に、体内時計と生活時間のズレや、夜食の摂取によるエネルギー過剰が挙げられます。
通常では、人間の身体は日中に活動し、夜間は睡眠をとるようにできています。
そのために、ホルモンの分泌や生理的な活動を一日の中で調節し、生活のリズムが整えられているのです。
この生活リズムを体内時計と呼ぶのは、広く一般的ですよね。
そこで、何らかの理由で、寝ているはずの時間に夜食を食べた時に、体内時計と生活時間にズレが生じてしまうのです。
夜間には、体内時計を調節するBMAL1遺伝子と、そのタンパク質が活性化すると言われているのですが、このタンパク質は脂肪を蓄積し分解を抑える作用も持っています。※1
すなわち、夜食を食べることによって、生活リズムが乱れるだけでなく、脂肪がより蓄積しやすくなってしまうのです。
夜勤がある仕事など、不規則な働き方をしている方々にとっては、「何時までに食べなければいけない!夜食は絶対にNG!」ということを守るのは中々難しいかもしれません。
夜食を食べる可能性がある日には、一日の総エネルギーと栄養素のバランスを意識することが大切です。
ケーキやアイス、チョコレートなどといった甘いお菓子には、炭水化物や脂質が多く含まれており、消化にも時間がかかるだけでなく、エネルギー過剰にもなりやすいです。
消化が終わってないまま寝てしまうと、身体もうまく休息がとれませんので、できるだけ夜食には炭水化物や脂質の多い食べ物は避けるようにしましょう。

 

また、可能であれば、朝食・昼食・夕食の量を少し減らすことで、夜食を食べても悪い影響が少なくなりますね。
「国民健康・栄養調査報告(平成30年)」では、20歳以上の男女において、どの年代でも野菜が目標摂取量の350gを下回る結果となりました。※2
つまり、野菜に多く含まれているビタミンやミネラルも不足していると考えられます。

夜食を食べるときには、この不足しているビタミンやミネラルを補ってあげることを意識しましょう。
野菜をベースにするとエネルギーも抑えられますし、より健康的ですね。

 

どうしても甘いものを食べたい時には、ヨーグルトがおすすめです。
ヨーグルトにも、野菜と同じようにビタミンやカルシウムが豊富に含まれています。
砂糖が添加されていると、余分なエネルギーを摂ってしまうため、砂糖不使用のものを選びましょう。
また、ヨーグルトに果物を加えると、自然に甘さを出すことができるため、こちらもおすすめです。
しかし、果物にはブドウ糖や果糖などといった糖質を多く含んでいるため、食べ過ぎるとかえって太りやすくなってしまう可能性があります。
ヨーグルトに果物を入れる際には、やや控えめにするとよいでしょう。

※1 睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット/厚生労働省/2020年9月16日現在
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html
※2 平成30年国民健康・栄養調査報告/厚生労働省/2020年9月16日現在
https://www.mhlw.go.jp/content/000615325.pdf

夜食でもがっつり食べたい時、簡単にできるオススメのメニュー

お腹が空いているから、夜食でもがっつり食べたい!という方もいますよね。
卵や納豆、食パン、うどん、おにぎりなど…様々な食品が挙げられますが、ポイントは低脂質で消化のいいものを選ぶということです。
実は、低脂質で消化がいいかどうかを簡単に見分ける方法があります。
それは、味の濃さと食品の硬さです。
揚げ物や炒めものなど、しっかり味付けされている食品は、油や調味料を使用しているためどうしても脂質や塩分が高くなってしまいます。
そのため、できる限り調理しないで食べられる食品や、調理した場合もゆでる、蒸すなどといった簡単な調理方法のメニューがおすすめです。
また、食品の硬さは、消化速度に関わってきます。
もちろん、ごはんや揚げ物は炭水化物や脂質が多く含まれるため、野菜や果物などに比べると硬くはないですが、消化に時間がかかってしまいます。
硬いものはゆっくり消化器官を通って分解されていくため、硬ければ硬いほど、消化時間は長くなることが予想されますね。
夜食を食べる時は、食後あまり時間が経たずに就寝してしまう可能性もあるため、できるだけそういった食品は避けたいところですね。

いくつか、具体的な夜食メニューのおすすめをご紹介していきます。

主食はお粥やお茶漬けにして消化アップ!

消化に時間がかかってしまいがちな炭水化物は、調理法を工夫することでそのままに比べて消化しやすくすることができます。
簡単に済ませたい場合は、おにぎりの上に温かい出汁をかけるだけで、あっという間に出汁茶漬けが完成しますよ。
また、お粥やお茶漬けに梅干しをトッピングすることで、更に健康度がアップします。
梅干しに含まれるクエン酸には、消化液の分泌を促進したり、乳酸の分解を促進して疲れを和らげたりする効果があるので、遅くまで活動して疲れた夜にぴったりですね。
お粥やお茶漬けは和風ですが、洋風に楽しむ場合は食パンを使用したパン粥もおすすめです。
温かいスープや牛乳の優しい味わいにホッとすることは間違いないでしょう。

そのままで和の夜食

夕食が早い時間であまり量が食べられなかったから…もう少ししっかり食べたい!
という方には、食品を調理せずに食べられる、簡単な和の夜食セットがおすすめです。
例えば、豆腐、納豆、お刺身のセットの場合は、脂質もおさえながらタンパク質をしっかり摂ることができます。
ここで注意することは、お刺身の選び方です。
白身魚は味が淡白で低脂質、消化も良い食品ですが、一方で光物や赤身などは脂質が多いため消化しにくくなってしまいます。
具体的には、タイやカレイ、ヒラメなどがおすすめです。
また、「がっつり食べた」という満足感を得るためには、よく噛んで食べることが大切です。
よく噛むことで、消化を促進し、脳の満腹中枢も刺激されることで食べすぎを防ぐことができます。※3
単純に量を多く食べるのではなく、食べ方を工夫することによって、太りやすいと言われている夜食も、できるだけヘルシーに摂りたいですね。

※3 夜遅く食事をとるときは/農林水産省/2020年9月16日現在
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics2_03.html

味噌汁・コーンスープ・わかめスープ、汁物ならOK?

それほど味も濃くなくて、硬くない夜食というと、まず先にスープを思いつくかもしれません。
確かに、最近ではコンビニでもインスタントやフリーズドライのスープがたくさん販売されており、かなり手軽に具だくさんのスープを食べられるようになりました。
スープと言えば、味噌汁やコーンスープ、わかめスープなど様々な種類がありますが、スープを夜食で食べる場合にも選び方があります。
それは、塩分をできるだけ控えることです。
塩分は、主に食品に含まれる食塩の量で決められますが、食塩には身体に必要なミネラルのうちの一種であるナトリウムが含まれています。
ナトリウムは、身体の中では、細胞の内側と外側の水分移動を行う浸透圧調整の役割を持っています。※4
ナトリウムが多すぎると、身体はできるだけナトリウムの濃度を薄くしようとして水分を多く溜めこむのです。※4
これを「むくみ」と呼ぶのですが、就寝前の夜食で塩分が多いスープを飲んでしまうと、翌朝、顔や身体がむくんでしまう可能性が高くなります。
もちろん、塩分の摂りすぎは、むくみだけではなく、口の渇きや高血圧・胃がん・食道がんのリスクを高めることなども明らかになっているため、できる限り控えたいですね。※4
せっかくカロリーを抑えても、顔がむくんでいるとそれだけで太って見えてしまうものです。
夜食にスープを食べる場合のポイントは、成分表示と入っている具材に注目することです。
まず、インスタントやフリーズドライのスープを購入する場合は、成分表示を確認して、できる限り塩分が少ない食品を選びましょう。
もし自分でスープを作る場合には、調味料をいつもより控え目にすることで、塩分を抑えることができます。


次に、スープの具材には、カリウムを多く含んでいる、ほうれん草や小松菜、大根、じゃがいもなどがおすすめです。
カリウムは、ナトリウムと同じで身体に必要なミネラルのうちの一種です。※5
同じように細胞の浸透圧調整を行いますので、ナトリウムの体外排出を促進します。※5
また、カリウムは水に溶けやすく、煮る・ゆでるなどの調理方法で失われやすいのですが、スープにすることで水に溶けだしたカリウムを効果的に摂取することができます。※5
野菜がたっぷり入った温かいスープを食べると、ほっと一息つけてリラックス効果もありますね。
普段は味がしっかり付いたスープを食べるという方は、少し物足りなく感じるかもしれませんが、スープを作る時にひと工夫すると味わい深くできますよ。
例えば、少量の食塩とかつおだしや、ごま油など別の調味料を組み合わせたり、野菜をしっかり煮て甘みを出したりすることなどです。

※4 ナトリウム | e-ヘルスネット/厚生労働省/2020年9月16日現在
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-024.html
※5 カリウム | e-ヘルスネット/厚生労働省/2020年9月16日現在
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html

夜食のカロリーの目安は?

実際に夜食を食べるときにはどれくらいのカロリーが良いのでしょうか。
夜食は一般的には間食という扱いになります。
間食とは、朝食・昼食・夕食以外に摂取する、エネルギー源となる食べ物や飲み物のことで、栄養補給だけでなく気分転換や生活にうるおいを与えるなどの役割も持っています。
確かに、疲れた時に好きな食べ物や飲み物を摂取すると、元気が出ます。
みなさんは一日のうちに、自分がどれくらいのエネルギーを摂取していて、そのうちどれくらいが間食のエネルギーなのかご存知でしょうか?
一般的な身体活動レベルの場合は、一日に必要なエネルギーは男性で約2700kcal、女性で約2050kcalです。※6
その中で朝食・昼食・夕食と必要時は間食を摂取します。
できる限り、この一日に必要なエネルギー量を超えない方が、太りにくくなるため、毎回の食事のタイミングで、合計でどれくらい摂取しているかを考えてみると、バランスがとりやすくなります。
一般的には、朝食・昼食・夕食と三食食べる方の場合は、一日で約200kcalの間食が適量と言われています。※6

 

約200kcalという数字は多いと思いますか?それとも、少ないと思いますか?
具体的な食品で例を挙げると、プリンやアンパン、牛乳などのエネルギーは200kcal前後です。※6
一方で、チョコレートやケーキ、カップラーメンなどは300~400kcal程度まで高くなってしまいます。※6
夜食でついつい甘いお菓子やラーメンを食べてしまう人は、その分エネルギー過剰になりやすいため注意が必要ですね。

先ほど夜食におすすめしていたヨーグルトや果物、スープの場合は、比較的不足しがちな栄養を補いながら、エネルギーもおさえることができます。
もちろん、間食を200kcal程度におさえていても、朝食・昼食・夕食がエネルギー過剰になってしまっていては、脂肪は蓄積されてしまいます。
夜食など間食も含めて、毎日・毎食の食事管理が大切です。
また、ある研究では、夕食後から就寝までの時間が短い人より、長い人の方が高血圧になるリスクが低いという結果が明らかになりました。※7
夜食を食べる場合も、できる限り寝る直前は避けて、身体も心もリラックスした状態で眠れるようにしましょう!

※6間食のエネルギー(カロリー) | e-ヘルスネット/厚生労働省/2020年9月16日現在
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-013.html
※7勤労者の夕食終了から就寝時間までの間隔と健康状態との関係/中本真理子, 酒井徹, 首藤恵泉, 安藝菜奈子, 小杉知里, 秦明子, 篠田香織, 桑村由美, 南川貴子, 市原多香子, 田村綾子, 船木真理/日本栄養・食糧学会誌/2013年6月7日発行/2020年9月16日現在
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/66/4/66_185/_pdf

まとめ

人間の身体への負担だけを考えると、朝に起きて、日中に活動し、夜間は睡眠をとれるように生活リズムを整えることが一番適切でしょう。
実際に、就寝2~3時間前に食事をとる生活が習慣化すると、脂肪細胞から分泌されるレプチンという生理活性物質がうまく働かなくなってしまいます。
レプチンには満腹中枢に働きかけて食欲を抑制する作用があるため、うまく働かないと過食症状が出てしまい、メタボリックシンドロームになるリスクが上昇すると言われています。※8
そのため、できる限り夜食は避けた方がいいですが、学び方や働き方の多様性が広がっている現代では、以前と比べて夜遅くまで活動している方も増えています。
そういった方々にとって、夜食は癒しになり、何かを頑張るエネルギーにもなっていますよね。
そこで、夜食をうまく活用していくためには、食べると太るということだけを心配しすぎずに「なぜ太るのか、できるだけ太らないようにするためにはどんな食品を選んだらいいのか」など、基礎的な考え方を身に付けることが大切です。
また、夜食に甘いお菓子や濃い味付けの料理を食べることはできる限り避けたほうが良いですが、単に「食べてはいけない」と禁止するとストレスを感じて続かなくなってしまいます。
今まで持っていた食生活の習慣を急にすべて変えることは難しいかもしれません。
「食べてはいけない」ではなく「食べないほうがいい」と自発的に思えるように、まずは何かできそうなことを一つ変えてみましょう。
普段自分が食べている食品がいったいどれくらいのエネルギーなのかを調べてみたことはありますか?
意外とエネルギーが低かったり、高かったり、新しい発見がありますよ。
まずはそこから、食生活への知識をつけて、上手に夜食と付き合っていきたいですね。

※8過食 | e-ヘルスネット/厚生労働省/2020年9月16日現在
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-015.html

監修者
栗原
看護師、保健師、アロマリンパオイルテラピスト
大学病院の総合外科で、消化器・呼吸器・乳腺・血管専⾨病棟で 3年勤務。
過労にて⼼身ともに体調を崩すも⾃身の健康を守るため予防医学と美容に特化したクリニックに転職し、クリニックの広報の他、健康メディアのライターも務める。 美容健康セミナーなどのイベントも開催し、SNSでは予防医学・ 健康的なダイエット法・自⾝身の経験から看護師の働き⽅方について発信。
プロダンサーとしても、都内・海外で活動を行い、看護師の新たな働き方のモデルケースになるべくマルチに活動を行っている。
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