きのこには旨味がたっぷり!!しかも健康パワーがあふれる食材です!!

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「きのこ」というと体に良いイメージがあるのではないでしょうか。
しかも旨味がギュッと詰め込まれているため、料理の味わいも一層おいしくなります。
とはいえ、きのこにはいろいろな種類があり、どのきのこに健康パワーがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
きのこが持っている独自の美味しさと健康パワーを知ると、毎日の食生活にも摂り入れたくなるはず。
それでは、きのこが持つ健康パワーの秘密に迫ります。

目次

  1. きのこが持つ健康パワーとは
    • 注目の健康パワーβ-グルカン
    • 塩分の排出を促すカリウム
    • きのこは健康に良い成分がたくさん含まれている
  2. きのこの種類によって異なる健康パワー
    • きのこと種類と特徴
    • 主なきのこの栄養素ランキング
  3. きのこの上手な摂取の仕方
    • きのこの汚れは洗わない
    • きのこは冷凍すると美味しくなる
    • 旨味が凝縮される干しきのこ
  4. きのこを摂取する時の注意
    • きのこ1日の摂取量
    • きのことアレルギー
  5. まとめ

きのこが持つ健康パワーとは

注目の健康パワーβ-グルカン

きのこには多くの種類がありますが、これらのきのこに共通している栄養素として、食物繊維のβ-グルカンがあります。
食物繊維が健康維持のため体内に必要な栄養素とされるようになったのは近年のことで、それまでは食べ物のカスとして扱われていました。※1、2
現在、β-グルカンを含む食物繊維は、5大栄養素に次ぐ6番目の栄養素として注目されています。

食物繊維の大きな働きは、体内の掃除です。※1、2
タンパク質や糖分などの栄養素は体内で吸収されますが、体の一部にゴミを残します。
β-グルカンなどの食物繊維は、この体内に残ってしまったゴミを巻き取りながらお腹の中を進みます。※1、2
厚生労働省ではβ-グルカンなどの食物繊維の1日当たりの平均目安摂取量を下記のように定めています。※2、3

● 3~5歳:男女とも 8g以上
● 6~7歳:男女とも 10g以上
● 8~9歳:男女とも 11g以上
● 10~11歳:男女とも 13g以上
● 12~14歳:男女とも 17g以上
● 15~17歳:男 19g以上 女 18g以上
● 18~64歳:男 21g以上 女 18g以上
● 65~74歳:20g以上 女17g以上
● 75歳以上:男 20g以上 女 17g以上
● 妊婦および授乳婦 18g以上    ※3

1950年代、日本人の食物繊維平均摂取量は、1人当たり1日20gを超えていました。
しかし、ライフスタイルの変化や食生活の欧米化に伴い、年々その摂取量は減少し、現在では1人当たり平均して、1日に14.4gほどしか摂取できていません(厚生労働省 平成30年国民生活・栄養調査報告書より)。※4
きのこを毎日の食事の中で意識して摂るように心がけ、β-グルカンなどの食物繊維を補っていきましょう。※2、3

塩分の排出を促すカリウム

きのこには、カリウムも豊富に含まれています。
カリウムは五大栄養素のミネラルの1つで、健康を維持していくためには欠かすことのできない栄養素です。
私たちの体の中には、体重の約0.2%のカリウムが存在していますが、カリウムには体の酸性とアルカリ性のバランスを保とうとする働きや浸透圧を維持するといった重要な役割があります。※2、5、6
このようなバランスを保とうとする働きは、カリウムとナトリウムとの相互作用によるものです。
ナトリウムは塩の成分ですから、カリウムとナトリウムがバランスを取ることで、塩分量を調整しています。
その方法は、ナトリウムを尿の中へ押し出してしまうこと。
カリウムが体内で不足すると、ナトリウム量を調節しにくくなります。※1、2、5、6
このようなカリウムの不足をさけるためにも、意識してカリウムを多く含むきのこを摂取するようにしましょう。※1、2

きのこは健康に良い成分がたくさん含まれている

きのこはこの他にも、ビタミンDやビタミンB1などじつにいろいろな栄養素を含んでいますが、これだけの栄養素を抱え込んでいるにも関わらず、きのこはカロリーが低い食品です。
少し前まではきのこはノンカロリーとされていたのですが、近年になり熱量があることが判明しました。※1、2
しかしながら、きのこの多くは100gあたりでも20kcalに満たないカロリーしかありません。
スープや味噌汁といった汁物にすると、β-グルカンなどの水溶性の栄養成分をまるまる摂取することができ、しかも食物繊維のお陰で満足感も高くなります。※1、2
ご飯やパンといった炭水化物を控えめにし、きのこがたくさん入ったスープを飲むことはおすすめです。
身近な食材であるきのこの健康パワーを見直し、毎日の生活に摂り入れてみましょう。※1、2
また、きのこによって独特の健康パワーをもつ種類もあります。
次はきのこの種類とそれぞれの特徴についてご紹介します。※1

※1 石澤清美著 2018年3月発行 毎日食べて糖尿病・高血圧・ガン・肥満を予防&改善! きのこレシピ 主婦の友社
https://books.rakuten.co.jp/rb/15332721/ 
※2 中村丁次監修 2017年2月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版 
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/
※3 e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康 / 2020年9月30日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
※4 厚生労働省 平成30年 国民健康・栄養調査結果 / 2020年9月30日閲覧 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/h30-houkoku_00001.html
※5 中嶋洋子・蒲原聖可著 主婦の友社編 2017年10月発行 これは効く!食べて治す 最新栄養成分事典 主婦の友社 
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784074258406
※6  e-ヘルスネット カリウム / 2020年9月30日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html

きのこの種類によって異なる健康パワー

きのこと種類と特徴

きのこにはとてもたくさんの種類がありますが、スーパーなどでよく見かける7種類のきのこの特徴をご紹介します。

【しいたけ】※1、7
旨味をたっぷりと含み、日光に当たるとビタミンDに変わるエルゴステロールも多い。
体を守る働きのレンチナンも多く含む。

【まいたけ】※1、7
あまりの美味しさに、見つけた人が舞い踊ったことから、舞茸と名がついた。
体を元気にするMDフラクションやXフラクションが含まれている。

【エリンギ】※1
独特の食感が美味しさのポイントで、食物繊維の他にカリウム、ビタミンDなども多く含んでいる。
ナイアシンや葉酸を多く含み、若々しさの維持に役立つ。

【ぶなしめじ】※1、7
ぶなの倒木などに群れて生えるきのこで、歯ごたえがあり、安価で手に入りやすい
食物繊維に加え、β-グルカン、カリウム、旨味の元となるグアニル酸も豊富に含まれている。
ブナピーはぶなしめじの改良品種で、かさが白く、ツルツルした食感が人気。

【なめこ】※1
ぬめりの正体であるムチンという水溶性食物繊維が、体をスッキリさせる。
同じくぬめりの主成分となるコンドロイチンも含んでいる。

【マッシュルーム】※1
新鮮なものは生でも食べることができ、茶色いものはブラウンマッシュルームと呼ばれるが栄養価はほぼ同じ。
食物繊維はもちろん、β-グルカン、カリウム、ビタミン類を含み、中でもカリウムが豊富。

主なきのこの栄養素ランキング

きのこは種類が多く、それぞれに特徴があり、栄養素の含有量などにも違いがあります。
どのきのこにどういった健康成分が多いのか、気になる方もいるでしょう。※1、2
スーパーなどでよく目にするきのこの、健康成分をみてみましょう。

【100gあたりに含まれるエネルギー】※1
エリンギ:19kcal
ぶなしめじ:18kcal
まいたけ:15kcal
きくらげ(ゆで):13kcal
マッシュルーム:11kcal

【100gあたりに含まれる食物繊維】※1
きくらげ(ゆで):5.2g
しいたけ:4.2g
えのきたけ:3.9g
ぶなしめじ:3.7g
まいたけ:3.5g

【100gあたりに含まれるカリウム】※1
ぶなしめじ:380mg
マッシュルーム:350mg
えのきたけ:340mg
エリンギ:340mg
しいたけ:280mg

エネルギーはどのきのこでも20kcal以下と低カロリーなきのこですが、食物繊維を多く摂りたいときはきくらげ、カリウムを多く摂りたいときはぶなしめじなど、使い分けてみるのも良いでしょう。

※1 石澤清美著 2018年3月発行 毎日食べて糖尿病・高血圧・ガン・肥満を予防&改善! きのこレシピ 主婦の友社
https://books.rakuten.co.jp/rb/15332721/ 
※2 中村丁次監修 2017年2月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版 
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/
※7 吉田企世子監修 2017年10月発行 やせる!若返る!病を防ぐ! 色の野菜の栄養事典 エクスナレッジ
https://www.xknowledge.co.jp/book/9784767823812

きのこの上手な摂取の仕方

きのこの汚れは洗わない

ところで、きのこの正しい下ごしらえをご存知でしょうか。
きのこは洗ってしまうと、せっかくの風味が失われやすくなり、水気でも痛みやすい食品です。
栽培きのこは栽培環境が清潔であることや、加熱調理することから洗う必要はないとされています。※1
きのこの気になる汚れは、キッチンペーパーなどで優しく拭き取るようにしましょう。
また、生で食べるマッシュルームは洗ってもかまいません。
きくらげは洗っても傷みにくいため、こちらも洗っても大丈夫なきのことなります。
ちなみに、なめこは洗った方が独特の酸味がとれて美味しくなります。※1

きのこは冷凍すると美味しくなる

きのこの保存方法は、グアニル酸などの旨味成分が増える冷凍がおススメです。
しかも、冷凍きのこは解凍すると細胞が破壊され栄養素が溶け出し旨味が外へ出るため、煮物や汁物などに入れれば味わいもグッと増します。※8
冷凍保存の仕方も簡単です。
きのこを使いやい大きさにカットし、空気を抜いて保存袋へ入れるだけです。

しいたけは石づきを切り落とし、かさと軸にわけ丸ごと保存袋へ入れるか、かさを薄切りにするとよいでしょう。
しめじやえのきたけは根元を切り落とし、ほぐして冷凍すると使いやすくなります。
また、なめこはパッケージの袋ごと冷凍することができます。※8
袋の上から割りばしで分け目を付け、空気を抜いて保存袋へ入れておけば、必要な量だけ折って使うことができます。※8
凍ったまま調理することができる冷凍きのこは、そのまま炒めたりスープに入れたりなど、いろいろな料理に加えて毎日の食事の栄養価をアップさせましょう。※8
きのこを冷凍しておけば、いろいろな料理に加えることができますが、冷凍しているとはいえ美味しく食べるためにも冷凍から3~4週間を目安に使い切るようにしましょう。※8

旨味が凝縮される干しきのこ

天気のよい日には、きのこを干してみましょう。
太陽の恵みをいっぱい浴びた干しきのこは、凝縮された甘味と独特の食感が生まれます。
しっかりと干すには太陽に2~3日当てなければいけませんが、すぐに使う場合なら1~2時間太陽に当てセミドライの状態にするだけでも、風味はグッと増します。※9、10
干し方もあまり難しく考えなくて大丈夫です。
お布団を干すのと同じような感覚で、日当たりがよく、できるだけ風通しのよい場所に干します。
干す場所がない場合では室内の日なたでも干すことは可能で、時間がなければ株ごと干すこともできます。※9、10
ただし、市販の乾物とは異なり、自家製干しきのこは長期の保存には適していません。
余らせてしまった場合にはキッチンペーパーに包み、密閉容器に入れ、冷蔵庫で3日を目安に使い切りましょう。
使う時には一度干しきのこをテーブルに広げて湿気を飛ばすと干しきのこのシャキシャキした食感が戻ってきます。※9、10

※1 石澤清美著 2018年3月発行 毎日食べて糖尿病・高血圧・ガン・肥満を予防&改善! きのこレシピ 主婦の友社
https://books.rakuten.co.jp/rb/15332721/ 
※8 鈴木徹 島本美由紀著 2018年11月発行 野菜のおいしい冷凍・解凍 毎日新聞出版
http://mainichibooks.com/books/hobby/post-608.html
※9 KAORU著 2016年4月発行 干し野菜手帖 野菜ソムリエKAORUが教える、干し方のコツとレシピ60 誠文堂新光社
https://books.rakuten.co.jp/rk/e7b6ea89bdbc3604ac7e9bbb4a07b33b/ 
※10 村井りんご著 2010年5月発行 もっと食べたい!干し野菜の深味レシピ 日東書院本社
https://books.rakuten.co.jp/rb/6431471/

きのこを摂取する時の注意

きのこ1日の摂取量

体の元気を支えるきのこには、健康によい成分がたくさん詰まっています
これらは、意識して積極的に摂取したい栄養素ではありますが、摂取する際には注意したいこともあります。

体の元気を支える仕組みの1つには、食物繊維が大きく関係しております。
きのこを毎日の食事の1品に加えると、食物繊維の摂取量をグンと増やすことができます。※2、11
しかし、健康によいからと毎日たくさんのきのこを摂りすぎてしまうと栄養の偏りから体調を崩してしまうこともあります。
きのこの1日に必要な摂取量というものは決められていませんが、健康な体を維持するためには、1日に45~50種類のいろいろな栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
野菜は1日に350g以上摂るようにし、その中でも120g以上はにんじんやカボチャ青菜といった緑黄野菜で摂取するように意識しましょう。※11 
きのこはカロリーも少ない食材ですから、1日に必要な栄養素はほかの食材できちんと摂取し、その中でうまくきのこを取り入れるようにすると良いでしょう。
たとえば、主食のご飯をきのこを使った炊き込みご飯にする、うどんやそばといった麺類ではきのこと野菜であんかけにする、汁物の具材の1つとしてきのこを摂り入れる、副菜の煮物や炒め物などにきのこを加えるなど、いろいろな調理にきのこを摂り入れるようにして不足しがちな食物繊維もしっかりと摂取していきましょう。※2、11

きのことアレルギー

きのこは、菌類です
そのため、人によってはアレルギー反応がみられることもあります
アレルギー反応には目の痒みやくしゃみ、嘔吐や咳などさまざまな症状がありますが、時にはアナフィラキシーショックといわれる意識障害や呼吸困難といった重篤な症状を引き起こすことがあります。※12、13
きのこ類全体でみると、アナフィラキシーの報告は少なく、しいたけや松茸などで散見される程度といわれています。※12、13
しかし、アレルギーには個人差もあるため注意が必要です。
アレルギーは時に、命に関わることもあります。

また、きのこはカリウムも含む食品ですが、基礎疾患などによりカリウムを摂らない方が良い方、あるいは摂り方に工夫が必要な方もいます。※14
アレルギーが心配な方は、かかりつけ医などに相談してみると良いでしょう。
基礎疾患があるなど必要に応じて、かかりつけ医から食事についてのアドバイスを受けることもあります。

きのこを摂取した後に体調を崩した場合には、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。※12、13

※2 中村丁次監修 2017年2月発行 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版 
http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415327433/
※11 e-ヘルスネット 野菜、食べていますか? / 2020年9月30日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-015.html
※12 アレルギー/64 巻 (2015) 1 号 エノキタケ(Flammulina velutipes)経口摂取によるアナフィラキシーの1例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/64/1/64_63/_article/-char/ja/ 2020年9月30日閲覧
※13 厚生労働省 第4章 食物アレルギー / 2020年9月30日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf
※14 東邦大学 栄養素の名は~カリウム制限と高カリウム血症予防の為に~ / 2020年9月30日閲覧
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/neph/patient/tjoimi0000000aor-att/tjoimi0000000b91.pdf

まとめ

きのこには健康成分がたっぷりと含まれているうえに、独特の旨味も兼ね備えています。
いつものおかずにきのこを加えるだけで、食物繊維をはじめとした栄養素が摂取でき、旨味をレベルアップすることもできます。
毎日の食生活にきのこを加え、食事全体をカロリーダウンしてスッキリとした元気な毎日をおくりましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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