唇の日焼けケア 痛い・治らない・ヒリヒリする場合の対策

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紫外線によるダメージが肌への影響が浸透し、顔や身体の紫外線対策をしっかりとしているなかで唇のケアは・・・なんてことはありませんか。
日焼けしてしまうからと、化粧下地やパウダーだけでも取り入れている方は多いと思いますが、UVカット効果のあるリップアイテムを選ぶことは少ないかもしれません。
唇はデリケートな部分ですが、忘れてしまいがちな唇の紫外線対策の方法や、症状、リップメイクの際の選び方などを紹介していきます。

目次

  1. 唇のヒリヒリは日焼けかも?紫外線に当たるとどうなるの?
    • 唇が紫外線の影響を受けやすいわけ
    • 唇が日焼けをすると
    • 冬でも注意
  2. 唇の日焼けケア、すぐに試したい対処法
    • 唇の乾燥にはたっぷりの保湿を
    • 痛い・ヒリヒリするときは冷やす
    • 唇が腫れたり水ぶくれができた場合
    • 食事でもケアを
  3. 唇の日焼け対策、日焼け止めは使える?どう対策する?
  4. UVカットリップの選び方
    • SPFとは?
    • PAとは?
    • リップクリーム正しい塗り方
  5. 唇の日焼けが気になる時の口紅やグロスの使い方
    • 口紅は使っても大丈夫?
    • リップグロスは?
  6. まとめ

唇のヒリヒリは日焼けかも?紫外線に当たるとどうなるの?

唇が紫外線の影響を受けやすいわけ

唇は他の皮膚部分と構造が違っていてとてもデリケートです。
唇は2種類の重層扁平上皮から構成されています。※1
解剖学的には、皮膚部、赤唇縁、粘膜部からなり、「唇」と呼ばれているのは赤唇縁のことです。※1
角質層が薄く、バリア機能や、水分の過剰な蒸発を防ぐ細胞間脂質(セラミドなど)も少ないうえに、汗腺や皮脂腺もないため水分を保つ力が低いのです。
また紫外線のダメージを抑えてくれるメラニン色素も少ないため、直接紫外線による影響も受けてしまいます。

唇が日焼けをすると

初めは荒れて乾燥したり、ヒリヒリしたりという症状が見られ、悪化すると亀裂や皮剥けが起こるようになります。
強い紫外線の影響で、水膨れや腫れるといった症状も見られることもあり、水膨れは口唇ヘルペスの場合もあります。
口唇ヘルペスはストレスや、過労、日焼けで発症することが多いので、その場合は自己判断せず早めに病院に受診しましょう。※1※2

冬でも注意

紫外線といえば夏ですが、年中降り注いでいるのでもちろん冬も注意が必要です。
冬の雪の日や、ウィンタースポーツ時の雪焼けもあります。
紫外線は空から降り注ぐだけではなく、空気の粒子に散乱されて届く紫外線の他に、地面に反射されて届くものがあります。
紫外線の反射率は、アスファルトなどの地面が10〜20%に対し、新雪は80%に達します。※3
ウィンタースポーツの際、ゲレンデでは空からの紫外線より、反射した紫外線の方が強いため、頬から下が日焼けしやすくなるので、唇の日焼け対策は忘れずにしましょう。※3※4

※1「化粧品用語集・唇」/日本化粧品技術者会/2020/2/20現在
 https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/443
※2「唇が腫れる」/メディカルノート /2020/2/20現在
https://medicalnote.jp/symptoms/%E5%94%87%E3%81%8C%E8%85%AB%E3%82%8C%E3%82%8B
※3「スキー時の雪焼けに注意!冬の紫外線対策の基礎知識 /ココカラファイン/2020/2/20現在
https://www.cocokarafine.co.jp/f/dsf_006008020?accessmode=pc
※4「紫外線の性質」/気象庁/2020/02/20現在
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-70uvindex_mini.html

唇の日焼けケア、すぐに試したい対処法

では、唇の乾燥・ヒリヒリする・亀裂や皮剥け・水膨れや腫れなどの、症状別に対応したケアを紹介していきます。

唇の乾燥にはたっぷりの保湿を

唇は他の肌よりも紫外線の影響を受けやすい場所です。
紫外線のダメージによって乾燥してしまった、割と早い段階の皮剥けやひび割れの場合は、とにかくたっぷり保湿をしましょう。※5
皮をむしってしまったり、乾燥を防ごうとして、舐めて濡らしたり、リップクリームをなんども強く塗り込んだりするのは、悪化の原因になるので注意しましょう。※5
皮剥けがひどい場合は、ワセリンを塗ってふやかした後に、そっと取るようにします。※5

痛い・ヒリヒリするときは冷やす

日焼けは軽いやけどです。
痛みを感じる、ヒリヒリするときは、氷や冷水でしっかりと冷やしてあげることが良いでしょう。
冷やして落ちついたら、化粧水をのせて潤いを補給します。※5
さらにワセリンやリップクリームを塗り、ラップをあてて10〜15分ほどリップパックをします。
このケアで水分と油分の補給できますので試してみてください。※5
ラップパックをするときは、アルコールや香料が含まれている化粧水だと、刺激になって却って炎症がひどくなってしまう場合があるので、アルコールフリーのものがなければ、ワセリンのみでも充分です。
また馬油やアルガンオイルを使用しても良いでしょう。
またビタミンEが含まれているリップクリームやオイルなどは、ビタミンEの働きで肌の酸化を防ぎ、ハリや保湿力を促して炎症を抑えてくれます。※5

唇が腫れたり水ぶくれができた場合

紫外線を受けた量が多い場合、日焼けで唇が腫れたり、水ぶくれができたりしてしまいます。※5
腫れている時にも同様に冷やすことと、保湿をすることが大切です。※5
水ぶくれができてしまったときは、冷やす事を優先にし、水ぶくれは潰さないようにして安静に保ちましょう。※5
また日焼けしてしまったところを、さらに日焼けしないようにしましょう。
UV効果のあるリップクリームを使用したり、UV効果のあるマスクを使用したりするなど直接、紫外線が当たらないように対策することが大切です。※5

食事でもケアを

日焼け予防や日焼け後のケアとして、取り入れたいのはケアだけではなく、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの栄養素がある食事を取り入れることも大切です。※5

・ビタミンA
皮膚や、粘膜を健康に保つ働きがあります。※6
β―カロテンはビタミンAに変換され作用するので、一緒に摂取するとビタミンAが効率的に取れます。※6
緑黄色野菜はビタミンAが豊富です。※6

・ビタミンC
色素沈着の予防や、コラーゲンに影響すると言われています。※7
レモンやイチゴ、ブロッコリーや緑茶にも含まれます。※7

・ビタミンE
血行に作用します。※8
アーモンドなどのナッツ類や、植物油に含まれています。※8

荒れた唇への負担は日常生活にも潜んでいます。
歯磨き粉やマウスウォッシュはメントールなどが刺激になってしまいます。
使う時の量を減らすか唇になるべくつかないようにする、また低刺激性のものに変えるなどの対処をおすすめします。※5
唇の日焼け後のケアをしても、なかなか治らない時は皮膚科に受診しましょう。

※5「スキンケア美容医学事典」/著者:吉木伸子/株式会社池田書店/2011年9月発行/2020年2月20日現在
※6「ビタミンAの働きと1日の摂取量」/公益団体法人長寿科学振興財団/2020年2月20日現在
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-a.html
※7公益団体法人長寿科学振興財団/ビタミンCの働きと1日の摂取量/2020年2月20日現在
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-c.html
※8公益団体法人長寿科学振興財団/ビタミンEの働きと1日の摂取量/2020年2月20日現在
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-e.html

唇の日焼け対策、日焼け止めは使える?どう対策する?

では、日焼け止めを使って対策をしたら良いのでは?と思いますが、顔用でもボディ用でも普通の日焼け止めは、唇には強い刺激で負担になってしまい使えません。※5
普段リップクリームを塗る部位には粘膜部も含まれるので、UVカット効果の高いものは皮脂を吸収する力が強く、皮脂腺のない唇には不向きなのです。※5
そのため更に乾燥してしまい荒れる原因になりますから、UV効果のあるリップクリームを使用し対策するのが良いでしょう。※5
また紫外線対策として、すでにされている方も多い日傘をさすこと、帽子の使用、紫外線防止マスクなどで、顔や唇への紫外線も防いでくれますから、同時にやっていただきたい方法です。※5
これらのアイテムはUVカット加工がされているとなお効果的です。※5

※5「スキンケア美容医学事典」/著者:吉木伸子/株式会社池田書店/2011年9月発行/2020年2月20日現在

UVカットリップの選び方

日焼け止めを選ぶ際に、パッケージに表記されているSPFやPAがとりあえず高いものをと選んでいる方も多いのではないでしょうか?
日焼け止めの仕組みと、SPF値とPA値について説明をしますが、まずは日焼けの原因である紫外線について説明します。
紫外線はUVA・UVB・UVCの3種類あります。

UVA
UVAは全紫外線の90%を占めていて、波長が長く、雲やガラス、衣服を透過する性質があります。※5
エネルギーは弱いですが、真皮層まで到達し、シミ・シワの原因になります。※5


UVB
UVBは波長が長く、エネルギーが強いので表皮に影響を受けます。※5
サンバーン(やけどのように肌が赤くなるような日焼け)や、皮膚癌の原因になるといわれています。※5


UVC
UVCはオゾン層で吸収されるため地上にはほとんど到達しません。※5
UVAとUVBからのダメージを防ぐのが大切で、特にUVAは地表に到達する90%を占めて、弱いエネルギーでじわじわとダメージが蓄積されていくため厄介です。※5


これらの紫外線を防ぐために日焼け止めなどで、皮膚を守らなければなりません。

 続いて、SPFとPA値について解説します。

SPFとは?

SPFはサンプロテクションファクターの略で、サンバーン(やけどのように肌が赤くなるような日焼け)の防止効果を表しています。※5
サンバーンはUVBの影響で起こるので、UVBによる日焼け防止効果の度合いを示しています。
数字が大きくなるほど、防止効果が高くなり、最高値は50です。※5
それよりも高いものは50+として表記されています。※5
20分間程度の間何もつけていない肌と比べて、日焼けが始まるまでの時間を何倍伸ばすことができるかを表し、例えばSPF30のものを使用した時は、30分×SPF30=900分、つまり15時間程度、肌が赤くなるのを伸ばすことができる考え方です。※5

シチュエーション別で使い分けられるようになっています。
・SPF15〜20:日常生活〜近所への買い物や通勤など。※5
・SPF 30:屋外での軽いスポーツやレジャー※5
・SPF 50:長時間の屋外での活動、炎天下でのスポーツ(ゴルフ、野球、海水浴など)※5

PAとは?

PAはプロテクショングレイドオブUVAの略で、UVAを防ぐ効果の指標です。
PAはUVA照射して2〜4時間後に皮膚が黒く変化する現象を起こすまでの紫外線量を測定し、防御効果の指標としています。※5
何も塗っていない肌と比べて、肌が黒くなる現象が起こるまでの時間を何倍に伸ばすことができるかという点での指標です。
防御効果の程度は+、++、+++、++++の4段階で分けられます。
+が多いほど効果が高いということになります。※5※9
リップケアではSPF20〜30、PA++程度のものが最適でしょう。※5

それでも日焼けが気になるという方は、日中と夜のアイテムを分けるのも効果的です。※5
日中はSPF、PA表示が高いリップクリームを使用し、夜は保湿力の高いものと使い分けることで、紫外線対策をしっかりとできます。※5
また唇に塗るということは口に入る可能性もあるので、気になる方はオーガニックコスメのものを選ぶのも良いでしょう。※5

 

・紫外線吸収剤と紫外線散乱剤、どう違う?
UVカット効果のある成分には、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤の2種類があります。※10
散乱剤のみで作られたものは「ノンケミカル」または「吸収剤フリー」と記されています。
紫外線吸収剤は、膜を張って紫外線を反射させます。※10
紫外線を吸収し、熱など別のエネルギーへと変換し放散します。
こちらは負担が少なく、崩れにくく持続しやすいというメリットがあります。
しかし水や油を吸着するため、人によっては乾燥を感じます。
こちらはサラサラとして使用感がよく、化学物質のため形状の加工がしやすく、高いSPFを作ることができます。
ですが紫外線吸収をしながら化学変化が起こるため、負担がかかりやすいということがあります。※10

それぞれの紫外線防止成分にはメリット、デメリットがあります。
毎日敏感な唇への紫外線対策なので成分で選び、UVカット効果のあるものは乾燥しがちなため、保湿がしっかりとできるものを選ぶと良いでしょう。
唇は天然保湿因子が少ないので、セラミドなどの保湿成分が配合されたリップクリームは乾燥を防ぐことができおすすめです。
ホホバオイルや、シアバターなどの天然植物オイルのものは、優しく刺激が少なくうるおいを与えてくれます。

リップクリーム正しい塗り方

塗る前にティッシュなどで軽く汚れを拭き取っておき、リップクリームはすぐに塗らず、手で温めたりして柔らかくします。
柔らかくすることで、唇への刺激を減らすことができます。
塗るときは、唇のシワを埋めるように縦方向に端まで塗ります。※5
正しい方法で更にリップクリームを効果的に使用しましょう!

※5「スキンケア美容医学事典」/著者:吉木伸子/株式会社池田書店/2011年9月発行
※9「上手に選ぼう日焼け止め化粧品」/東京都健康安全研究センター/ 2020年2月20日現在
http://www.tokyo-eiken.go.jp/kj_shoku/cosme/suntan/
※10「紫外線散乱剤と紫外線吸収剤の違いは?どうやって見分けることができるの?」/花王株式会社 /2020/2/20現在
https://www.kao.com/jp/qa_cate/facesunscreen_04_02.html

唇の日焼けが気になる時の口紅やグロスの使い方

唇の日焼けでよくある症状として皮剥けや、乾燥です。
メイクをした際に、口紅をのせたいけど荒れているからと迷ってしまいます。

口紅は使っても大丈夫?

口紅を塗ることで、紫外線カットにもなるため薄くのせることは良いでしょう。
気になるかたはワセリンを口紅に少量混ぜて塗ると、乾きにくく保湿効果も高くなります。※5
しかし、リップメイクを落とす時のクレンジングの洗浄成分で、荒れてしまうことも考えられます。
クレンジングは負担の少ないクリームタイプやジェルタイプまたはオリーブ油やスクワランオイルを使用すると良いでしょう。※5
コットンの裏がしみるくらいの量を含ませたら、1分ほど口元にのせたら、軽くぬぐって落としましょう。※5

リップグロスは?

リップグロスは一見すると保湿力が高く見えますが、実は逆なのです。
口紅はミツロウや植物オイル練ったものと色素を混ぜて作られますが、リップグロスの質感は増粘剤という粘り気を出すものを使います。
唇の日焼けによるダメージがある時には使用は控えた方が良いでしょう。※5

※5「スキンケア美容医学事典」/著者:吉木伸子/株式会社池田書店/2011年9月発行

まとめ

美肌、美白に向けて定着した紫外線対策ですが、唇の日焼けもとても大切です。
健康のバロメーターとも言われる唇は粘膜を含む敏感な部位で、不調も肌と比べて、わかりやすいところでもあります。
肌の紫外線ケアと共に、唇の紫外線対策も意識をして、ふっくらと健康的に保った唇を手に入れましょう!

ライター
杉村
准看護師免許
人工透析で2年間、美容クリニックで半年勤務、その後、内科・皮膚科・美容皮膚科・形成外科・婦人科・乳腺科などの総合しているクリニックで現場主任を務める。
現在は、透析のクリニックに勤務しながら、現場で培った経験を元に、美容ライター業も行っている。
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