乾燥対策は、部屋の加湿やスキンケアに気をつけて

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昔からエアコンの使用のしすぎは、身体に良くないということは聞いたことがあると思います。
冷暖房で部屋が乾燥することを私たちは知っていますが、湿度はどのような影響をもたらしているのでしょうか?
また、冬になると肌が乾燥して気になる方もいらっしゃるかと思います。
今回は、これらの乾燥対策について、湿度をメインとした部屋の環境についてご紹介します。
乾燥すると何がいけないのかを知って、対策をしていきましょう。

部屋の乾燥対策、オフィスでも簡単にできる加湿方法

日本の気候は地域差がありますが、秋や冬は降水量が少なく乾燥しているという特徴があります。
空気に含まれる水分量は気温で変化します。
気温が高いときは水分量が多く、気温が低いときは水分量が少なく湿度も低くなります。
加えて、冬季の室内では暖房が使用されるため、さらに湿度が低くなり空気は乾燥してしまいます。※1

オフィスの乾燥対策

現在、オフィスの室内環境は事務所衛生基準規則において規則が定められていて、(相対)湿度40〜70%を維持するよう定められています。※2
加湿器を使用しているオフィスも多くあると思いますが、オフィスの広さに対して加湿が足りず湿度が低い可能性も考えられます。
湿度をこまめにチェックして、乾燥しているようであれば、下記のような対策を取りましょう。

【オフィスでできる乾燥対策】
・コンパクトな卓上加湿器を置く
・コップにお湯や水を入れて置いておく
・濡らしたタオルやハンカチをかけておく

大型の加湿器で湿度を上げるのが理想的ですが、オフィスで実現できるか分からないということもあります。
自然気化式やパソコンに繋いで使用できるコンパクトな卓上加湿器を自分のデスクに置いてみましょう。
また、コップにお湯や水を入れて置いておくだけでも加湿対策ができますし、タオルやハンカチを濡らしたものを掛けておくのも良いでしょう。

部屋の乾燥対策

オフィスほどではないかもしれませんが、自宅の部屋も乾燥します。
簡単にできる部屋の乾燥対策5つはこちらです。

【部屋の乾燥対策】
・エアコンの設定温度は20~22度に設定する
・浴室のドアを開けておく
・やかんでお湯をわかす
・鍋料理をする
・洗濯物や濡れたタオルを室内に干す

自宅ではエアコンは必要最低限の使用にし、設定温度は20〜22℃を目安で湿度を保つ心掛けをしましょう。
入浴後に浴室のドアを開けておくと、浴室の蒸気によって湿度を上げることができます。乾燥がひどい時には、浴槽にお湯を張った状態でドアを開けておくと、さらに高い加湿効果が期待できます。
やかんでお湯を沸かすことや、鍋料理をすることでも同様です。
洗濯物や濡れたタオルを室内に干すことでも加湿対策ができるので、これらの方法など取り入れて対策を行いましょう。※3

※1 「冬の乾燥対策」/一般財団法人京浜保健衛生協会/2019年11月16日現在
https://www.keihin.or.jp/77/
※2 「冬季のオフィス環境における低湿度の実態と対策について」/労働安全衛生総合研究所/2019年11月16日現在https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2014/75-column-2.html
※3 「冬になると風邪やインフルエンザが流行るのはなぜですか?」/空気を変えようエステー株式会社くらしにプラス/2019年11月16日現在
https://products.st-c.co.jp/plus/question/answer/14.html

肌の乾燥対策は、スキンケアと生活習慣に注意

乾燥する時期には、肌も乾燥してしまいます。
下記のような習慣を控えれば、肌の乾燥を招く外的要因を取り除くことができます。

肌が乾燥する外的要因

・洗いすぎている
・摩擦の刺激
・化粧品
・紫外線
・アトピーなどの皮膚炎
・室内の空気の乾燥
・高い温度での入浴やシャワー
・プールの塩素や温泉、硬水など

肌が乾燥すると角質層の表面を覆っていた皮脂膜が壊れて、肌の水分が蒸発していくとセラミドなどの細胞間脂質も不足して角質層がスカスカになってしまい、バリア機能がうまく働かなくなります。
外的要因で肌が乾燥し刺激に弱くなると、さらに乾燥が進むという悪循環を引き起こしてしまうのです。※4※5※6

・スキンケアに注意
お手入れのために毎日行っているスキンケアが乾燥トラブルの原因になってしまう場合もあります。
クレンジングは拭き取るタイプのものは肌を擦って傷つけてしまうので、洗い流すタイプのものを選びます。
クレンジングにかける時間は短めを心がけましょう。
皮脂を過剰にとってしまうことは乾燥につながるので、洗顔料も洗浄力が強すぎないものを選び、クレンジングを行う際と同様に、擦らないように指の腹を使って優しく洗い、泡のすすぎ残しがないようにしっかりと流します。
洗顔後にタオルで水分を拭き取る時も、ゴシゴシと拭かず肌に押し当てるように水分をとっていきます。
洗顔後の肌は皮脂が取り除かれてデリケートですので、気を付けましょう。

・セラミドで補う
本来、肌は何もつけなくても自然に潤い皮脂を取り戻しますが、現代の生活環境において乾燥しがちな肌にはしっかりと水分補給と保湿を行います。
肌の潤いをキャッチする役割のあるセラミド(角質細胞間脂質)が減ってしまうと、肌の水分量も低下しバリア機能も弱くなります。
セラミド本来の底力で乾燥から肌を守るために、セラミド配合のスキンケア用品でセラミドを補うと良いでしょう。
セラミドに類似した成分を使用したものもあるので、セラミド2、3、10と数字が記載されているものは通常化粧品に使用されるセラミドが配合しているので、数字もチェックするのも良いでしょう。

・セラミド不足にならないために規則正しい睡眠を
冷暖房で肌が乾燥していると自覚できる時には、内部も乾燥傾向にあると言われています。
肌のセラミドが減少していると、肌は乾燥しやすくなります。
セラミドの減少は加齢や、洗いすぎなど間違ったスキンケアなどによって、肌のうるおいを守っているセラミドは失われ、乾燥に繋がります。
このようにセラミドが少なくなっていると、エアコンの冷暖房による乾燥も影響し、さらに乾燥するという悪循環に陥っている可能性があります。
肌の代謝が活発な睡眠中にセラミドも作られていますから、規則正しい睡眠リズムや、時間を取るように心掛けましょう。※6

・ワセリンを使う
セラミド以外に、広く使われているのがワセリンです。
ワセリンは、石油を蒸留した残渣から得られたものです。
植物油でも動物油脂でも、空気に触れると1日で酸化を始めますが、ワセリンは酸化するまでに数年掛かりなかなか優秀なのです。
保湿の際は米粒の半分くらいを目安に塗布しましょう。
適切な量を使えば、ワセリンのベタベタで使いにくいという問題はなくなるでしょう。
上手に使用できればワセリンは、他のオイルやクリームよりも肌に優しく、万能な保湿剤といえます。
ワセリンは肌に染み込んでいきにくいという特性と極めて酸化しにくく、肌の刺激となることなく保湿をすることができます。
皮膚病や、ジュクジュクした火傷などの傷にも患部の保護として使用されてきました。
つまりワセリンは肌の保湿と、乾燥の原因となる外的刺激から肌を守ることができるためひどくなど乾燥しているなと感じたら、ワセリンを適正な量を塗布できるように気をつけて、取り入れてみてはいかがでしょうか?※4※5※6

・室内の保湿も心掛ける
肌の乾燥対策で気をつけたい生活習慣として、室内も保湿をしてあげることが大切です。
湿度が30%以下になると、肌は乾燥してきますから、加湿器などを使って湿度は40〜50%に保つことを心掛けましょう。

・水分補給も忘れずに
体内の水分は、皮膚や粘膜など通し蒸発しています。
冬は発汗の機会が、夏と比べて少なくなりますが、空気の乾燥によって体内の水分の蒸発が多く起こります。
気温が低い時や、汗をかかないからと水分を摂っていないと脱水状態になってしまうかもしれません。
肌を含めた全身の保湿と、健康のためには水分をしっかり摂取しましょう。
1日の摂取目安量は、体重1gあたり25〜50ccです。
体重が50kgの人なら、1.25〜2.5Lになる計算です。
摂取しすぎた水分は尿で排出されますが、ナトリウム、カリウムなどの電解質も一緒に排出してしまうので、飲みすぎには注意が必要です。
アルコールやカフェイン入りのものは利尿作用が強く、水分補給には適していないので、身体への負担の少ないお水や経口補水液で補給します。
毎日のご飯や野菜などの食事などにも水分は含まれていますので、自身の体重に適した分の水分をこまめに摂取し、体の中から乾燥対策をすると良いでしょう。
また、湯温が40℃を超えると肌表面の油分が取り除かれてしまうので、入浴の際の湯温にも気を付けましょう。※1※5※7

※1「冬の乾燥対策」/一般財団法人京浜保健衛生協会/2019年11月16日現在
https://www.keihin.or.jp/77/
※4「おとなの肌のかゆい!を治す」/著者:衛藤光/株式会社大泉書店/2005年7月発行/2019年11月16日現在
※5「肌の悩みがすべて消えるたった1つの方法」/著者:宇津木隆一/青春出版社/2012年2月発行/2019年11月16日現在
※6「素肌美人になるためのスキンケア美容医学事典」/著者:吉木伸子/株式会社池田書店 2011年9月発行/2019年11月16日現在
※7「健康のために水を飲もう推進運動」/厚生労働省/2019年11月16日現在
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/nomou/index.html

ひどい乾燥で目や喉が辛いときの対策

空気が乾燥していると、目や喉の乾きや痛み、鼻水、鼻づまりなどの症状が出ることあります。
目や喉の乾燥についてご紹介します。

喉や鼻の乾燥

体に入る空気は上部気道を通るうちに、気道粘膜から加湿加温されて、異物が取り除かれ肺に到達します。
しかし、空気が乾燥していると気道粘膜での加湿が間に合わず、乾燥した空気が入り込みます。
これによって異物を取り除くための力が衰え、鼻や喉の痛みなどに繋がります。

・湿度が低いと感染しやすくなる
風邪の症状の原因はほとんどウイルス感染です。
湿度が40%以下になるとウイルスの水分が蒸発して軽くなり、空気中に漂う時間が長くなり感染しやすくなります。
湿度を適正に保つことで、こういった症状の予防や緩和する対策になります。

・マスクを着用する
乾燥しやすい季節はマスクを着用することも大切です。
感染予防や拡大を防ぐ目的でもありますが、マスクを着用すると呼気で湿気が留まり、気道粘膜の乾燥を防ぎ保湿効果が得られます。※2※3※5

・寒暖差アレルギーと乾燥
気温や湿度の差が原因で起こる寒暖差アレルギーというものも、鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状が現れます。
気温が7℃以上の差があることで起こり、湿度が低く乾燥していると悪化する特徴があります。
気温差で鼻粘膜の血管が拡張し浮腫み、これらのアレルギー反応様の症状が出ますが、実際にアレルギー反応が起きているわけではありません。
この気温や湿度の差によって自律神経が適切に働かなくなることで、鼻炎などが引き起こされてしまいます。※10
エアコンの使用が多くなった現代では、室内外で気温や湿度の差が強い場所が多くなり、寒暖差アレルギーが起きやすい環境といえます。

対策としては、こちらの3つが考えられます。
・体感差を小さくする
・筋肉をつける
・自律神経のバランスを整える

・体感差を小さくする
気温が低い時はマスクや衣服で、気温が高い時や場所との差が大きくならないようにしましょう。
加湿器などを使って、湿度が低く、空気が乾燥することがないように心掛けましょう。
・筋肉をつける
筋肉は身体の中で最も多く熱を作り出します。
筋肉を増やすことで、体内に熱を保つことができ、急激な寒暖差に対応できる身体になります。
・自律神経のバランスを整える
自律神経には2種類あり交感神経と副交感神経があります。
精神的、肉体的ストレスが多い生活や、就寝時間がバラバラな不規則な生活は自律神経のバランスが乱れてしまいます。
生活リズムが整えられそうな部分を見つけ、自分なりのリラックス方法で休むなどを意識し、規則正しい生活を送るように心掛けましょう。※10

目の乾燥が辛い時の対策のコツ

目の乾燥が辛いときの対策を5つご紹介します。

・目元をじんわり温める
・目のストレッチで涙を送る
・室内の湿度のバランスをとる
・加湿器が清潔かチェック
・作業環境が適切であるかチェック

目が乾燥していると、涙の量が少なくなり、涙の役割である細菌やウイルスの殺菌効果の低下、角膜への栄養補給ができにくくなってしまいます。
乾燥がひどくなっていくと、目の表面に傷ができるなど悪影響になります。
こうした色々な役割を持っている涙は、水分・ムチン・油分で構成され、この油分はマイボーム腺という出口から分泌されています。
油分が固まり、マイボーム腺のつまりによって働きの低下や部屋の湿度、温度や風邪なども影響し乾燥の原因となります。

・蒸しタオルで目元を温める
目元を約40℃の蒸しタオルを目元に乗せて温めることによって、マイボーム腺から分泌されにくくなった油分が溶かされ、ドライアイが和らぎます。
またこの方法では、筋肉も和らげることができ、眼精疲労対策にもなります。

・まばたきストレッチ
目が乾燥してつらいとき、すぐ出来る対策はまばたきストレッチです。
目が乾燥しているということは、涙の量が少なくなっているようですから、意識的にまばたきをして、涙の分泌量を増やしましょう。

【ドライアイを改善!まばたきストレッチのやり方】
① 瞼に力を入れてギュッと目を2〜3秒閉じた後に、目は閉じたまま力を緩めます
② 瞼に力を入れてギュッと目を2〜3秒閉じた後に、目を見開く
この目のストレッチを数回行い、目の乾き対策をしましょう。

・エアコンの風があたらないよう工夫を
また室内でエアコンを使用する時に顔や目に、エアコンの風が当たっていませんか?
使用する際は、風が直撃しないように送風口の向きにも気を付けましょう。
目の乾燥には点眼薬(人工涙液)で一時的に補うこともできます。
これらの対策を行い、乾燥、乾燥によって起こりやすくなるウイルス感染や、病気を防ぎましょう。※8※9

・加湿しすぎてないか確認を
通して湿度が低くならないように加湿をと、繰り返していますが近年では加湿のしすぎも問題になっており、湿度が高すぎるとカビが発生し空気中に舞いおりて、喘息などを引き起こすと言われています。
風が直接当たる場所に加湿器を置かず、加湿器のタンク洗浄は毎日行い、専用の除菌剤など使用して清掃しましょう。

・パソコン作業はモニターの位置など見直しを 
仕事をする環境の見直しも大切です。
パソコンを使って作業する場合は、モニターの角度は目の下にくるように配置し、室内の照明より少し暗い程度の適度な明るさにします。
照明や太陽の光がモニターに反射すると、目の乾きや疲れにつながるので、反射しない位置で作業するようにしましょう。

※1「冬の乾燥対策」/一般財団法人京浜保健衛生協会/2019年11月16日現在
https://www.keihin.or.jp/77/
※3「冬になると風邪やインフルエンザが流行るのはなぜですか?」/空気を変えようエステー株式会社くらしにプラス/2019年11月16日現在
https://products.st-c.co.jp/plus/question/answer/14.html
※5「肌の悩みがすべて消えるたった1つの方法」/著者:宇津木隆一/青春出版社/2012年2月発行/2019年11月16日現在
※8「これで解決!眼のトラブル相談室」/著者:井上賢治・若倉雅登/株式会社共同通信社 2010年4月発行
※9「仕事中のドライアイ、目の乾きや不快感が気になる原因と対策」/花王ヘルスケアナビ/2019年11月16日現在
※10「気温差がアレルギーの原因に、対策とは?」/ココカラファインクラブ/2019年11月16日現在
https://www.cocokarafine.co.jp/oyakudachi/health/201609153.html

クーラーでも乾燥する!冷房による乾燥対策

エアコンの冷暖房でも乾燥をしてしまいます。
対策法も、加湿器の設置や、濡れたタオルを掛けておくなどの対策はこちらでも有効的ですから取り入れてみましょう。
エアコンを使いすぎてしまう方は、寝る前にタイマー機能を使えば、一晩中冷気にさらされることの防御になります。
ここ数年の記録的な猛暑によって、熱中症が取り上げられクーラーの使用が必須な夏が続いています。
エアコンを使用して室内が乾燥することで、冬場の暖房と同じく感染のリスクもありますから注意しましょう。

まとめ

室内が乾燥することで、喉や目が乾くなどの経験をしたという方も多いのではないでしょうか?
空気が乾燥していると、自覚しているように実際に身体も乾燥していて病気にかかる原因になっていました。
室温だけでなく湿度にも気にかけて、エアコンとの適切な付き合い方で、快適な生活環境を整えましょう。

ライター
杉村
准看護師免許
人工透析で2年間、美容クリニックで半年勤務、その後、内科・皮膚科・美容皮膚科・形成外科・婦人科・乳腺科などの総合しているクリニックで現場主任を務める。
現在は、透析のクリニックに勤務しながら、現場で培った経験を元に、美容ライター業も行っている。
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