ローリングストックは難しい?!備蓄リストと収納のコツは?

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災害に備える新しい備蓄方法がローリングストックです。
ローリングストックのやり方は、普段使っているものを多めに買い、使った分を補充するというもの。
簡単そうに見えて、なかなかうまくいかない…難しい…という人もいます。
ローリングストックを上手に取り入れるために、やり方のコツや備蓄リスト、収納のポイントを解説します。

目次

  1. ローリングストックとは?
    • ローリングストックが注目されている理由
    • ローリングストックのメリット
  2. 意外と難しいってホント?ローリングストックのコツ
    • 基本的なコツは2つ
    • 日用品から始めると簡単
  3. 食品は何を何日分備蓄する?缶詰・生鮮品はいつ見直す?
    • 備蓄する食料は?
    • 食材選びのコツは栄養バランス
    • 食料のローリングストック、うまく循環させる管理方法
  4. ローリングストックの備蓄リスト
    • 日用品
    • 食品
  5. ローリングストックの難点、収納はどうする?
    • 収納場所は分散する
    • 毎日使うものとそれ以外で分ける
    • 立てて収納すると省スペースに
    • 取り出しやすいケースや箱を使う
    • 重さのあるものや壊れやすいものは下段に収納
  6. まとめ

ローリングストックとは?

ローリングストックとは、普段から使っている食料や日用品を家庭に一定量備蓄し、使った分だけ補充するという備蓄の方法です。※1
例えば、トイレットペーパーを1パック使い切ったら、保管してある1パックを使用します。
同時に1パック買い足し、消費と備蓄を繰り返します。
このように使いながら一定量の備蓄を保つのが、ローリングストックの基本的な考え方です。

 

ローリングストックが注目されている理由

災害時には、交通や物流の機能が停止し、物資が届かない、コンビニやスーパー、ドラッグストアから保存食や一定の消耗品が姿を消すことも考えられます。
東日本大震災や新型コロナウイルスの外出自粛時にも、一定の品が買えないこともありました。
さらに新型コロナウイルスの流行により、災害時には「在宅避難」が注目されています。※2
自宅が安全な状態であれば、自宅で過ごす方が感染のリスクにさらされずに済みますよね。
ものが手に入らないことへの対策だけでなく可能な限り自宅で過ごすためにも、家庭での日用品や食料の備蓄が重要です。
このような非常事態に備える方法の1つとして、ローリングストックが推奨されています。
またこれまでは、非常事態に備えた備蓄は「3日分」と考えられていました。※1
3日分であれば、普段から多めに食材を買い置きしておけば、特別な備蓄をせずとも足りそうですよね。
しかし、南海トラフ巨大地震のような甚大な被害が想定される災害に備えるには、1週間以上の備蓄を推奨すると内閣府が発表しています。※1
1週間分となると、冷蔵庫や食品棚の食料では足りず意識的に備蓄する必要が出てくることも、ローリングストックが注目される理由の1つです。

 

ローリングストックのメリット

災害に備えるためには、一定量の備蓄が必要です。
ただ従来の保存食は、賞味期限の管理が大変ですよね。
その点、普段使っているものを循環させるローリングストックでは、保存食を使い忘れて賞味期限が切れていた…ということもありません。
ローリングストックには、普段の生活に取り入れやすく、備蓄品の管理がしやすいなどのメリットがあります。


【ローリングストックのメリット】

  • 常に備蓄を循環させるので、賞味期限を気にする必要がない※1
  • いざという時にも、普段と同じものを使える安心感がある※1
  • 食品の場合、非常事態時でも満足度の高い食事ができる※1

今後の新たな災害に備える手段として、メリットも大きいローリングストックが推奨されています。
次章からは、ローリングストックのやり方を具体的に解説します。

※1 できることから始めよう!防災対策 第3回‐内閣府防災情報のページ / 内閣府 / 1月5日現在
http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/73/bousaitaisaku.html
※2 「コロナ禍の防災 在宅避難の備えは?」| くらし☆解説 | 解説アーカイブス | NHK/ 1月5日現在
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/435127.html

意外と難しいってホント?ローリングストックのコツ

ローリングストックを始めても、一定量の備蓄を保てなかったり、賞味期限を管理できなったりと、なかなか上手くいかないこともあるでしょう。
ローリングストック初心者に向けて、基本的なやり方のコツを解説します。

 

基本的なコツは2つ

基本的には、下記3点を守れば備蓄を循環できます。

  • 古いものから消費する※3
  • 使った分を買い足す※3
  • 古いものから消費する※3

使用する際には、必ず一番古いものから使います。

 

古いものから使い、備蓄は常に新しいものになるようにしましょう。
新しいものを右側に古いものは左側に配置するなど置き場所のルールを決めておいたり、購入日の付箋を貼っておいたりと工夫してみてください。

 

使ったら、忘れずに買い足します。
使ったものはリストにつけてお買い物に持参するなど、工夫して買い忘れを防ぎましょう。
買い足すのを忘れてしまったり、何がどれだけ減ったのか把握できなくなったりと、意外と難しいという声もあります。
備蓄を絶やさないよう、自分に合った管理方法を見つけてください。

 

日用品から始めると簡単

ローリングストックが上手くいかないときは、ストックしやすい日用品から始めるとよいかもしれません。
日用品として備蓄するものには、ペーパー類や洗剤、薬、袋、電池などがあります。
普段から1つ多めに買っておき、なくなったらそれを使い、備蓄用に1つ補充しておきます。
消費期限を気にせず普段から消費するものでもあるため、循環させやすいでしょう。

 

※3 災害時に備えた食品ストックガイド/農林水産省/ 1月5日現在
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook/pdf/stockguide.pdf

食品は何を何日分備蓄する?缶詰・生鮮品はいつ見直す?

日用品よりも、少し難しいのが食料のローリングストックです。
万が一に備えた、備蓄の目安は「1週間分」。※1
1週間分と聞くと相当な量に思えますが、保存食だけでなく冷蔵庫や冷凍庫の中身も合わせて「1週間分」を準備します。※1
非常事態の最初の3日分は冷蔵庫や冷凍庫の中の食材を、そのあとは備蓄している食料を消費する考え方で、備蓄量を調整します。※1

 

備蓄する食料は?

ローリングストックに向くのは、以下のいずれかの食材です。

 

【ローリングストックする食材】

  • 常温で保存できるもの※4
  • 調理しなくても食べられるもの※4
  • 消費期限、賞味期限が長いもの※4

生鮮品は日持ちする野菜や果物を、さらに保存食として缶詰やレトルト食品、乾物、インスタント食などのストックを意識するとよいでしょう。
具体的な食材リストは、次章でご紹介しています。

 

食材選びのコツは栄養バランス

備蓄する食品を選ぶ際には、栄養バランスもポイント。※3
栄養バランスをとるためには、下記3点に注意しましょう。

 

【食材選びのコツ】

  • 炭水化物を増やしすぎない
  • タンパク質は缶詰でも備蓄できる
  • 野菜類は日持ちする野菜や乾物で常備する

 

一般的に、災害直後は炭水化物の摂りすぎが懸念されるそうです。※3
炭水化物はエネルギー源になるため、とても大事な栄養素ではありますが、体調不良や病気を回避するためにも、なるべくバランスよく栄養を摂取する工夫が必要になります。
缶詰はたんぱく質を含む食材のラインナップも豊富です。※3
鯖やツナなどの魚介の缶詰や、コンビーフ、焼き鳥、うずらの卵の缶詰など、最近ではさまざまな種類の缶詰が市販されています。
味付けのバリエーションも多いので、いろいろな種類のものを備蓄しておくと災害時の食事も楽しめるでしょう。
賞味期限切れにならないよう、定期的に使うものを中心に用意します。
さらに過去の災害時には、野菜不足から口内炎や便秘に悩む人々も多くいたそうです。※3
ビタミンやミネラルを摂取するために、日持ちする野菜や、乾物も買い置きしておきます。※3
常温で日持ちする野菜やフルーツは、じゃがいもやかぼちゃリンゴなどです。
海藻類は、かさばらず調理不要のものもあるので普段から置いておくと安心ですね。

 

食料のローリングストック、うまく循環させる管理方法

食料は賞味期限が短いものもあり、管理が必要ですよね。
上手にローリングストックするために、下記2点を試してみてください。

  • ストックしているものを冷蔵庫の扉に貼り付けておく
  • 定期的に「保存食を食べる日」を決めておく

 

冷蔵庫の中身を把握するため、ストックしているものを冷蔵庫の扉に貼り付けておくのもよいかもしれません。

また缶詰やフリーズドライなどの保存食は、定期的に「保存食を食べる日」を決めておくのも1つの方法です。※5

この時も、ストックしているもののうち消費期限が近いものから食べます。
「保存食を食べる日」があれば、「いつの間にか消費期限が過ぎていた…」ということも防げますね。
1週間分の食事量となると、例えば4人家族の場合、84食分が必要です。
3日分は冷蔵庫にあるもので済ませられれば、残りの48食分を保存食で賄うことになります。
1食を缶詰1缶とご飯やパンを1つ、野菜や果物とすると、缶詰・ご飯やパンを48個ずつ備蓄することになりますよね。
かなりの量が必要となるので、かさばらないフリーズドライなども上手に活用しましょう。

※1 できることから始めよう!防災対策 第3回‐内閣府防災情報のページ / 内閣府 / 1月5日現在
http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/73/bousaitaisaku.html
※3 災害時に備えた食品ストックガイド/農林水産省/ 1月5日現在
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook/pdf/stockguide.pdf
※4 ローリングストック / トップバリュ / 1月10日現在
https://www.topvalu.net/rolling-stock
※5 ローリングストックをはじめよう! / こちら防災やまがた! / 1月10日現在
https://www.pref.yamagata.jp/020072/bosai/kochibou/bousaijouhou/sonae/yamagata_rollingstock.html

ローリングストックの備蓄リスト

ローリングストックの基本的な備蓄リストを日用品と食品にわけてご紹介します。
この他にも、ご家庭ごとに必要なものがあるはずです。
このリストを参考に、家族で足りないものを話し合ってみてくださいね。

 

日用品

  • トイレットペーパー※6
  • ティッシュペーパー※6
  • 大きめのウェットティッシュ※2※6
  • 使い捨てマスク※2
  • 消毒液※2
  • 口内洗浄液※2
  • ポリ袋※3
  • ラップ※3
  • アルミホイル※3
  • クッキングシート※3
  • キッチンペーパー※3
  • 生理用品※6
  • 常備薬、市販薬※6
  • カセットボンベ(カセットコンロ)※6
  • 乾電池※6
  • おむつ(赤ちゃん用)※6
  • 肌着(赤ちゃん用)※6
  • お尻拭き(赤ちゃん用)※6

 

食品

  • 水※3
  • 日持ちする野菜類(じゃがいも、玉ねぎなど)※3
  • 日持ちする果物(りんご、みかんなど)※3
  • 精米・無洗米※3
  • 肉・魚・豆などの缶詰※3
  • フルーツ・野菜などの缶詰※3
  • レトルト食品※3
  • 充填豆腐※3
  • フリーズドライソース類※3
  • 野菜・果物ジュース※3
  • 乾物※3
  • インスタント食品※3
  • 即席ソープ類※3
  • パックごはん※3
  • 小麦粉※3
  • 餅※3
  • 乾麺/カップ麺※3
  • ドライフルーツ※3
  • スキムミルク※3
  • 粉チーズ※3
  • お菓子・嗜好品※3
  • 各種調味料※3
  • 漬物※
  • ふりかけ※3
  • ジャム/はちみつ※3
  • ゼリー※3

これらは、保存しやすいものばかりです。
家庭ごとに必要なものは異なるものの、こちらのリストを参考に家庭の備蓄を見直してみてください。

 

※2 「コロナ禍の防災 在宅避難の備えは?」| くらし☆解説 | 解説アーカイブス | NHK/ 1月5日現在
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/435127.html
※3 災害時に備えた食品ストックガイド/農林水産省/ 1月5日現在
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook/pdf/stockguide.pdf
※6 家庭の備蓄・ローリングストック法 / 青森県防災ホームページ / 1月5日現在
http://www.bousai.pref.aomori.jp/rollingstock/index.html

ローリングストックの難点、収納はどうする?

備蓄をするとなると、問題になるのが収納スペースですよね。
少ないスペースで効率よく収納するコツを5つご紹介します。


【ローリングストック、収納のコツ】

  • 収納場所は分散する
  • 毎日使うものとそれ以外で分ける
  • 立てて収納すると省スペースに
  • 取り出しやすいケースや箱を使う
  • 重さのあるものや壊れやすいものは下段に収納

 

収納場所は分散する

1か所にまとめて収納しようとすると、まとまったスペースが必要になってしまいますよね。
非常時に使うものは、何か所かに分散して収納します。※3
1か所は玄関近く、もう1か所はクローゼットという具合に分散することで、非常時に閉じ込められた場合でもものが取り出せるメリットもあります。※7

 

毎日使うものとそれ以外で分ける

食品や調味料など毎日使うものは、冷蔵庫やキッチンの収納などに保管します。※3
たまにしか使わないものは、クローゼットや空きスペースに移動しましょう。※3
常温保存できるストック用の食品や調味料などは、キッチン以外に置いておくことで分散にもなります。

 

立てて収納すると省スペースに

かさばるものは、立てて収納する工夫をしてみましょう。※3
ミニマリストな生活は、持ち物も収納もシンプル

にある通り、立てて収納することで見えやすく、取り出しやすいものです。
カセットコンロやラップ類、袋に入っているものなども、立てて収納する方がスペースを取りません。

 

取り出しやすいケースや箱を使う

何がストックしてあるのか見やすくするために、ケースや箱などを使うのもコツです。※3
ケースに入れておけば、手前から使って奥に補充するのも簡単にできるでしょう。
自分で出し入れできる年齢の子供がいるご家庭では、ケースなどに入れておくと子供でも取り出しやすいメリットもあります。
子供が使うものは、子供が自分で取り出せる高さに収納しておくのもよいでしょう。

 

重さのあるものや壊れやすいものは下段に収納

コンロや水といった重さのあるものや壊れやすいものは、下段に収納します。※7
吊戸棚や天袋といった上段には、食料の備蓄やペーパー類などを収納しましょう。
また高齢者の場合、危険度が高いため天袋に収納することは普段から避けましょう。※7
また小さいお子様のいるご家庭も、危険なものは低い所に収納しておくと安心ですね。

 

※3 災害時に備えた食品ストックガイド/農林水産省/ 1月5日現在
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook/pdf/stockguide.pdf
※7 防災備蓄収納のチェックポイント / 農林水産省 / 1月10日現在
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/jirei_point.html

まとめ

いざという時のために、日ごろから取り組みたいのがローリングストックです。
普段使っているものを、少し多めに買ってストックしておくので、災害時にも普段と同じものが使えるのはメリットです。
子供やお年寄りは特に、普段と違う環境や食事はストレスでしょう。
非常時にも、食べ慣れているものが食べられ、使い慣れているもので暮らせるのは、心強いことです。
今回ご紹介した備蓄リストを参考に、ぜひ普段のお買い物にローリングストックを取り入れてみてください。

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