たんぱく質を上手に摂取するにはコツがある!?元気な体をつくるたんぱく質の秘密

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たんぱく質というと、「体を鍛えている人の筋肉を作る」というイメージがありませんか?
もちろん間違いはありませんが、たんぱく質にはその他にも大きな役割があります。
生命活動を維持するうえで欠かせないたんぱく質は、英語で「プロテイン」(ギリシャ語の「プロテオス」が語源)ですが、その言葉には「チャンピオン」「第一のもの」という意味があります。
大切な栄養素であるタンパク質を知り、元気な体を維持していきましょう。

目次

  1. たんぱく質とは
    • たんぱく質は三大栄養素
    • たんぱく質とアミノ酸の関係
    • アミノ酸の種類
    • 遺伝情報はたんぱく質でつくられる
  2. たんぱく質は体を作るだけじゃない
    • たんぱく質の働き
    • たんぱく質は「貯める」ことができない
  3. たんぱく質の摂り方を再確認
    • たんぱく質が不足すると
    • 「何から摂るか」が大切なたんぱく質
    • アミノ酸スコアとは
  4. たんぱく質の摂りすぎに注意
    • たんぱく質の目標量
    • たんぱく質は摂りすぎてもダメ
  5. まとめ

たんぱく質とは

たんぱく質は三大栄養素

たんぱく質は、筋肉を作るうえで欠かせない成分としてイメージされているのではないでしょうか。
栄養素の中でも「たんぱく質」、「脂質」、「炭水化物」の3つは体の土台をつくり、エネルギー源ともなるため、三大栄養素と呼ばれています。
人が生きていくうえで三大栄養素は極めて重要な働きをし、この三大栄養素がスムーズに働くためにはビタミンとミネラルが必要となります。
そして、三大栄養素にビタミンとミネラルを加えたものは五大栄養素と呼ばれています。

健康的な生活を送るためには1日に45~50種類の栄養素をバランスよく摂ることが大切とされています。
しかし、これらの栄養素は不足すると体に不調が現れるのはもちろんなのですが、過剰に摂取しすぎても悪影響となることがあります。※1、2、3、4、5
何事も、ほどほどがちょうど良いのです。

 

たんぱく質とアミノ酸の関係

たんぱく質は、アミノ酸が多数結合した高分子化合物です。
炭素に水素、酸素の他に窒素やイオウを含むといった特徴があり、アミノ酸の種類や量、配列順序によってたんぱく質の形状や性質、働きが異なります。

それでは、たんぱく質の種類を見てみましょう。
たんぱく質の種類にはアミノ酸だけで構成される単純たんぱく質と、アミノ酸以外の成分も含まれる複合たんぱく質に分類されます。

 

【単純たんぱく質】

  • アルブミン
  • グロブリン
  • グルテリン
  • プロラミン
  • 硬たんぱく質

 

【複合たんぱく質】

  • 糖たんぱく質
  • リンたんぱく質
  • 色素たんぱく質
  • リポたんぱく質
  • 金属たんぱく質

 

【その他】

  • 誘導たんぱく質 ※3、6、7

 

アミノ酸の種類

人の体は約10万種類ものたんぱく質で構成されているのですが、これらのたんぱく質は、わずか20種のアミノ酸の組み合わせによって作られています。
土台となるアミノ酸は1つの炭素原子に水素原子カルボキシ基アミノ基側鎖とよばれる部分が結合した形で存在しています。
アミノ酸の中にあるアミノ基とカルボキシ基は、脱水縮合※1という方法で結合します。
脱水縮合という結合方法はアミノ酸以外でもあるのですが、アミノ酸同士が結合する場合のみをペプチド結合と呼び、これによって出来た少し小さめな分子をペプチドと呼びます。
ペプチドの中にアミノ酸がいくつ含まれるかでペプチドの名称が変わります。
そしてたった3種類のアミノ酸から作られたトリペプチドには、20×20×20=8,000通りあります。
多数のアミノ酸が組み合わさったたんぱく質となれば、その組み合わせは膨大な数にのぼるため、20種類のアミノ酸でも生物の多様性は十分に確保できるのです。
また、アミノ酸のうち体内で必要量を合成することができないものは必修アミノ酸と呼ばれ、日々の食事から摂取する必要があります。
それでは、体を構成するアミノ酸の種類を見てみましょう。

※1脱水縮合:2つの分子から水(H2O)が抜け、その分子同士が結合し新たな化合物を作る反応

 

【必須アミノ酸】

  • イソロイシン
  • ロイシン
  • リジン
  • メチオニン
  • フェニルアラニン
  • スレオニン
  • トリプトファン
  • バリン
  • ヒスチジン

 

【非必須アミノ酸】

  • グリシン
  • アラニン
  • バリン
  • セリン
  • アスパラギン酸
  • グルタミン酸
  • グルタミン
  • アルギニン
  • システイン
  • チロシン
  • プロリン

さらにこの20種類のアミノ酸以外にも私たちの体には体の材料にはならいアミノ酸が存在しています。
これらは遊離アミノ酸といわれ、その数は約500種類にも上ります。※1、2、3、7

 

遺伝情報はたんぱく質でつくられる

生物は、DNAの情報を元にたんぱく質を作り、時にはたんぱく質の構造を変異させながら進化し、多様化してきました。
少しミクロな話ですが、この「たんぱく質を作る」という過程には、実に複雑なメカニズムがあります。
DNAが持つ遺伝情報は、メッセンジャーRNAと呼ばれる高分子化合物に読み取られ、その情報を元に新たなたんぱく質が合成されます。
DNAは長い鎖状の構造をしていますが、全てを丸ごとコピーするのではなく、スプライシング※2と呼ばれる工程が必要です。
本来ならスプライシングを経ても元のDNAと同じものがつくられるはずですが、時には一部分を間違ってコピーしてしまうことがあります。
たった1個が異なるだけでも、体の中で生理機能を変わってしまう可能性があります。
時には重篤な症状となって現れる事もあり、こうしたたんぱく質中のアミノ酸の変異は「ミスセンス変異」と呼ばれ、多くの遺伝性疾患の原因となっています。※1、2、3、4、5、6、7、8

※2スプライシング:鎖状になっているDNAから意味を持たない部分を切り取り、再度つなぎ合わせること

※4 厚生労働省 1-2 たんぱく質 / 2019年12月25日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
※5 e-ヘルスネット たんぱく質(たんぱくしつ) / 2019年12月25日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
※1 栄養科学シリーズNEXT基礎栄養学第3版 木戸康博・桑波田雅士・中坊幸弘編 2015年1月第3刷発行 講談社
※2 世界一やさしい!栄養素図鑑 牧野直子監修 2016年9月発行 新星出版社
※3 栄養の基本がわかる図解辞典 中村丁次監修 2015年7月発行 成美堂出版
※6 これは効く!食べて治す 最新栄養成分辞典 主婦の友社編 2017年9月第1刷発行 主婦の友社
※7 知りたいサイエンス! タンパク質はすごい!~心と体の健康を作るタンパク質の秘密 石浦章一著 2013年12月初版第1刷発行 技術評論社
※8 重用ワードで一気にわかる 分子生物学超図解ノート 改訂版 田村隆明著 2011年10月第5刷発行 羊土社

たんぱく質は体を作るだけじゃない

たんぱく質の働き

たんぱく質の働きは体を作るビルディング・ブロックとしての役割が知られていますが、その他にも重要な働きがあります。
中でも、たんぱく質が脳に必要な成分であるということをご存知でしょうか。
脳内の伝達物質であるドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンなどもたんぱく質なのです。
これらは、必須アミノ酸であるフェニルアラニンやトリプトファンというアミノ酸からできています。

また、体内での化学反応はたんぱく質からできている酵素が大きく関与しています
よく知られているものでいえば、消化酵素です。
体の中ではさまざまな化学反応が起こっていますが、一つの化学反応に対して一つの酵素が関与します。
炭水化物の分解を担当している酵素だけでも唾液や膵臓から分泌されるアミラーゼ、腸で分泌されるマルターゼ、ラクターゼ、サッカラーゼなど分泌される場所や働きによって酵素はすべて異なるのです。
また、たんぱく質の分解では胃ではペプシンが、膵臓ではトリプシン、小腸ではペプチターゼなどが分泌されています。
このように食べ物の栄養素を分解するだけでも多くの酵素が関与していることがわかります。

さらに、たんぱく質は味覚にも深く関りがあります。
味覚に関わっているたんぱく質の代表がグルタミン酸です。
味覚は甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の五種類に分けることができ、グルタミン酸が関与しているのがうま味です。
うま味は日本を含めたアジアの地域で重視されてきた味覚のひとつで、実態が科学的になってきたのは近年のことです。
味蕾と呼ばれる舌の表面には、味覚をキャッチする受容体が多数存在しています。
味蕾を構成する細胞である味覚細胞にうま味受容体があることが発見されたのですが、これは食べ物に含まれているグルタミン酸をうまみ受容体がキャッチし、神経繊維をつたって脳に達することでうま味を感じることができているのです。
このようにたんぱく質は、筋肉や臓器など体を構成する最も重要な成分であるほかにも、酵素やホルモン、免疫抗体などの原料にもなり、体内でも大きな役割を担っています。※2、3、4、5、6、7

 

たんぱく質は「貯める」ことができない

人間の体の約20%を占めるたんぱく質は、とても大切な栄養素です。
三大栄養素の脂質と炭水化物には貯蔵庫があり、体が必要とする量を利用し、余分に残ったものは中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられるようになっていますが、たんぱく質にはこの貯蔵庫がありません。
しかも、たんぱく質には体内で合成することができない9つの必須アミノ酸もあるため、元気な体のためにはたんぱく質を毎食欠かさず摂る必要があります。※2、3、6

※4 厚生労働省 1-2 たんぱく質 / 2019年12月25日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
※5 e-ヘルスネット たんぱく質(たんぱくしつ) / 2019年12月25日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
※2 世界一やさしい!栄養素図鑑 牧野直子監修 2016年9月発行 新星出版社
※3 栄養の基本がわかる図解辞典 中村丁次監修 2015年7月発行 成美堂出版
※6 これは効く!食べて治す 最新栄養成分辞典 主婦の友社編 2017年9月第1刷発行 主婦の友社
※7 知りたいサイエンス! タンパク質はすごい!~心と体の健康を作るタンパク質の秘密 石浦章一著 2013年12月初版第1刷発行 技術評論社

たんぱく質の摂り方を再確認

たんぱく質が不足すると

たんぱく質は生命維持に必須な栄養素ですので、短期間でも不足するとさまざまなトラブルを引き起こします。
まず、体を十分に作ることができなくなり、弱い体になっていきます
さらに脳の神経伝達も十分ではなくなり、特に成長期の子供は元気な強い体が作れなくなります
長期間のたんぱく質不足では、生命そのものが危険です。
また、たんぱく質は適度な運動を行うことで体内での食事性たんぱく質の利用を高める一方、激しい運動ではたんぱく質の分解を亢進させることから、運動の強度に応じてたんぱく質の必要量は変化します。
運動不足の場合には、体たんぱく質の分解が亢進します
このことからも不活発な人もたんぱく質は不足しやすくなるため、意識して摂取する必要があります。※3、4、5、6

 

「何から摂るか」が大切なたんぱく質

それでは、たんぱく質を含む食品を見てみましょう。

  • 牛乳コップ1杯150ml・・・5.2g
  • パルメザンチーズ大匙1・・・2.6g
  • マカジキ1切れ100g・・・23.1g
  • 若鳥ムネ肉皮なし100g・・・23.3g
  • クロマグロ赤味刺身90g・・・23.8g
  • 牛ヒレステーキ肉120g・・・25.0g
  • カツオ刺身5切れ100g・・・25.8g

 

たんぱく質には、動物性たんぱく質植物性たんぱく質があります。
動物性たんぱく質は一般的に肉や魚、卵などの動物から摂れるたんぱく質のことで、植物性たんぱく質は大豆や穀物、野菜などに含まれているたんぱく質のことです。
動物性たんぱく質に比べると植物性たんぱく質の方が、脂質も少なくヘルシーであるイメージから体にもよいと思われがちですが一概にそうとは言い切れません。
その理由には植物性たんぱく質よりも動物性たんぱく質の方がアミノ酸スコアが高いことがあげられます。
それではアミノ酸スコアについてご紹介しましょう。※2、3、4

 

アミノ酸スコアとは

アミノ酸スコアは分かりやすくいうと食品に含まれる必須アミノ酸のバランス度がわかる表のことです。
食品に含まれるたんぱく質と、体を構成するたんぱく質は組成が異なるため、体のたんぱく質のアミノ酸構成に近いものほど効率よく吸収することができます。
効率よく吸収できるものは良質たんぱく質とよばれ、それぞれの食品が良質であるかどうかの見極めに、体が欲求する必須アミノ酸の量を想定し、食品の必須アミノ酸の構成と比較して算出されたのがアミノ酸スコアです。
食品に含まれるたんぱく質は、アミノ酸スコアが100に近いほど良質とされ、100未満のものは制限アミノ酸とよばれています。
また最も低いものは第一制限アミノ酸とよび、アミノ酸の働きは残念なことに、この番低いアミノ酸レベルに制限されるという特徴があります。
しかし、アミノ酸の体内利用効率は食べ合わせで高めることができます。
例えば、白米には大豆に多く含まれるアミノ酸のリジンが少ないのですが(65で第一制限アミノ酸になっている)、大豆に少ない含硫アミノ酸を多く含んでいる(白米の含硫アミノ酸は110)ため、納豆ご飯はまさにお互いをカバーしあう理にかなった食事です。
このように組み合わせを工夫することで必須アミノ酸のバランスは改善され、栄養価も高めることができます。
それでは、主な食品のアミノ酸スコアをみてみましょう。※2、3、6

  • 鶏卵・・・100
  • 牛乳・・・100
  • サケ・・・100
  • 牛肉・・・100
  • 豚肉・・・100
  • 鶏肉・・・100
  • 精白米・・・65(第一制限アミノ酸:リジン)
  • 小麦粉・・・44(第一制限アミノ酸:リジン)
  • 大豆・・・86(第一制限アミノ酸:含硫アミノ酸)
  • 木綿豆腐・・・52(第一制限アミノ酸:含硫アミノ酸)
  • ほうれんそう・・・50(第一制限アミノ酸:含硫アミノ酸)
  • トマト・・・43(第一制限アミノ酸:ロイシン)

※4 厚生労働省 1-2たんぱく質 / 2019年12月25日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
※5 e-ヘルスネット たんぱく質(たんぱくしつ) / 2019年12月25日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
※2 世界一やさしい!栄養素図鑑 牧野直子監修 2016年9月発行 新星出版社
※3 栄養の基本がわかる図解辞典 中村丁次監修 2015年7月発行 成美堂出版
※6 これは効く!食べて治す 最新栄養成分辞典 主婦の友社編 2017年9月第1刷発行 主婦の友社

たんぱく質の摂りすぎに注意

たんぱく質の目標量

たんぱく質の1日の摂取量は、厚生労働省の食事摂取基準では総エネルギー摂取量の13~20%が望ましいとされています。
年齢や性別によって1日の総エネルギー量は変わりますが、たんぱく質はそのうちの13~20%という割合は変わりません。
摂取エネルギーの適量は体格や活動量によっても異なりますが、成人が1日に必要とするたんぱく質の量は体重1㎏につき1.1~1.2gと考えることができます。
体重50㎏の人は1日に55~60gのたんぱく質が必要です。※2、3、6、8

 

たんぱく質は摂りすぎてもダメ

1日の必要量よりも過剰に摂取されたたんぱく質は排泄物として体の外へ出されてしまいます。
そのため、たんぱく質を過剰に摂取し続けると、体に負担がかかりトラブルを引き起こしてしまうこともあります。
また、たんぱく質の豊富な食品はカロリーが高めです。
頑丈な体を作ろうと意識的にたんぱく質を摂っていると、カロリーオーバーになってしまうこともあります。
ヘルシーに元気な体を作っていきたい人は、脂質の少ない食品を選ぶようにするなどの工夫をし低カロリー高たんぱくな食事を心がけるようにしましょう。※2、3、6

※8 厚生労働省 日本人の食事摂取基準 / 2019年12月25日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
※2 世界一やさしい!栄養素図鑑 牧野直子監修 2016年9月発行 新星出版社
※3 栄養の基本がわかる図解辞典 中村丁次監修 2015年7月発行 成美堂出版
※6 これは効く!食べて治す 最新栄養成分辞典 主婦の友社編 2017年9月第1刷発行 主婦の友社

まとめ

たんぱく質は、私たちの体をつくるためにとても大切な栄養素です。
現在は飽食の時代といわれますが、いつまでも元気で健康な体を維持するには、たんぱく質を中心としたさまざまな栄養素を、バランスよく摂ることが大切です。
日々の食生活を見直し、栄養素のバランスに偏りや過不足が無くなるよう心掛けましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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