まいたけは美味しいだけじゃない!!機能性食材「まいたけ」で菌活生活を!!

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まいたけといえば、しめじやえのきなどと同様に、日頃から食卓に上がることの多い食材なのではないでしょうか。
まいたけはカロリーも低く、食物繊維が豊富に含まれている、とてもよいキノコです。
まいたけもキノコですので、元は「菌」です。
「菌」とはいえ、まいたけの菌は体にとてもよい働きをしてくれます。
近年では「菌活」という、活動もありますし、まいたけを美味しく食べて、元気な毎日を送りましょう。

目次

  1. まいたけの特徴
    • まいたけとは
    • まいたけはどうやってできるの?
  2. まいたけの健康パワー
    • まいたけに含まれる栄養成分
    • 元気な体をつくるまいたけパワー
  3. まいたけの上手な摂取の仕方
    • 美味しいまいたけの選び方
    • まいたけの使い方
    • まいたけを使ったレシピ
  4. まいたけを摂取する時の注意
    • まいたけの1日の摂取量
    • まいたけとアレルギー
    • まいたけを摂取する時の注意
  5. まとめ

まいたけの特徴

まいたけとは

まいたけは担子菌類のヒダナシタケ目サルノ コシカケ科マイタケ属の中のきのこです。
日本には名前のついているきのこが約1,500種類もあるのですが、実際にはきのこの研究はあまり進んでいないため、まだ名前のついていないきのこが多数存在しているといわれています。
きのこは育成環境によって菌根金と腐生菌などに分類することができるのですが、まいたけは一体どちらに分類されるのでしょうか。
それでは、菌根金と腐生菌の違いをみてみましょう。※1、2、3、4


【菌根金】※4
まつたけほんしめじのように、生きている木の根に生えるものです。
植物から栄養を受け取るかわりに、植物の養分や水分の吸収を助ける関係があります。
また、この種類は列を作って増えていく性質があります。

 

【腐生菌】※4
生命を絶たれた植物や倒木、落ち葉などに生えるきのこで、植物を分解して土に返す働きがあります。
しいたけなめこがこの種類になります。腐生菌は人工栽培をすることができます。
まいたけは、ナラやカシといったブナ科樹木の大木の根本に自生する腐生菌のきのこです。
人工栽培のものが安定して出回っていますが、天然のまいたけは香りが良いため、まつたけ並みの高級品になります。
しかし、スーパーや八百屋などで見かけるまいたけは、お手頃な価格です。
これらはどのように栽培されているのでしょうか。※1、2、3、4

まいたけはどうやってできるの?

日本で最初にまいたけの人工栽培に挑戦したのは、昭和25年頃のことです。※2
当時は、なめこの栽培で有名な福島県西会津町で、ブナやトチなどの原木にまいたけの種菌を打ち込む方法が考案されましたが、この時はまだ、まいたけの発生には至りませんでした。
その後の昭和47年、培養した菌床を野外に埋め込んでまいたけを発生させる野外床栽培の成功や、山形大学農学部の安井教授により、専用のビンを使ったまいたけのビン栽培法が開発されました。※2
これが、マイタケの人工栽培の幕開けとなります。
現在では、きのこ栽培は企業が安心と安全を掲げ、徹底した環境管理の中で育てられたまいたけを、安定供給しています。
培地には害菌が入っていないかが厳しく検査された原料を使用します。植菌においてもほかの菌が入らないようクリーン装置の中で行うなど、まいたけが出荷されるまでしっかりとした管理体制が整えられています。
また工場によっては、時間の経過にあわせた温度の管理も行い、より自然に近い形でまいたけが育つように環境の管理も行われています。※2、3、4

※1 農林水産省 特集2 食材まるかじり(1)https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1009/spe2_01.html 2020年2月28日閲覧
※2 J-STAGE マイタケ(舞茸)https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1968/19/3/19_183/_pdf 2020年2月28日閲覧
※3 浜内千波著 2013年10月初版第1刷発行 きのこで毎日菌活レシピ 日東書院
※4 難波宏彰・宗像伸子著 2008年5月発行 きのこレシピ グラフ社

まいたけの健康パワー

まいたけに含まれる栄養成分

まいたけは、松茸やしいたけのような形とは異なる形状であることから、販路の拡張は決して順調ではありませんでした。
しかし近年では、味や香り、歯触りに加え、私たちの健康に役立つ栄養素が含まれていることが広まり、身近な食材となりました。
それでは、まいたけに含まれている主な栄養素をみてみましょう。※2、3、4


・食物繊維※4
食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維があり、まいたけにはどちらも含まれています
健康維持のために食物繊維が体内に必要な栄養素とされるようになったのは近年のことで、それまでは食べ物のカスとして扱われていました。
どちらの食物繊維も、体の中で不要となった物質と一緒に、便として排出されます。
つまり、食物繊維の多い食品は消化に時間がかかりますが、放っておくと体の中にたまる不要な物質を、外に追い出そうとしてくれるのです。※2、3、4


・ビタミンD※4
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種で、丈夫な体を維持する役割があります。
まいたけには、ビタミンDになる前のプロビタミンDという形で含まれています。
プロビタミンDは、紫外線にあたることによってビタミンDへと変換されます。
つまり、食べる前のまいたけを天日干しして乾燥まいたけにすると、結果的にビタミンDの含有量が多くなります。


・ビタミンB群※3
まいたけに含まれるビタミンB2やB6などはたんぱく質の分解や合成に関わる栄養素です。
たんぱく質の合成や分解がスムーズにいかなくなると、体は元気を失ってしまいます。
体の中から元気になることで、強い体をつくることにもなります。

元気な体をつくるまいたけパワー

近年、元気な体を作り悪い菌と戦う菌活という言葉が、広く一般にも広がっています。
菌活とは、体によい菌を食べてイキイキと暮らすというものです。
では、身近にあるよい菌にはどのようなものがあるのでしょうか。※3、4

  • 菌類(きのこ)
  • 乳酸菌(ヨーグルトやチーズ)
  • 酢酸菌(酢)
  • 納豆菌(納豆)
  • 麹菌(醤油・味噌・塩麹・甘酒)

 

菌類であるまいたけが持つ健康成分には、MD-フラクションX-フラクションと呼ばれるものがあります。
MD-フラクションとは、まいたけだけに含まれる、強い健康パワーを持つ成分で、その正体はβ―グルカンと呼ばれるものです。
β―グルカンは他のきのこにも含まれますが、まいたけから抽出されたβ―グルカンは、他のきのこ類のものとは、化学的な構造が少し違うという特徴があります。
まいたけを加熱した時に出る黒い汁にはMD-フラクションがたっぷりと含まれています。
もう一つのX-フラクションもMD-フラクションと同様、化学的な構造がほかのきのことは少し違う、β―グルカンの一つです。
これらは、少しずつ働き方は違いますが、いずれも健康を維持し、体をより元気にする働きがあると考えられています。
まいたけを毎日の生活に摂り入れ、美味しく元気な体を手に入れましょう。※3、4

※2 J-STAGE マイタケ(舞茸) https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1968/19/3/19_183/_pdf 2020年2月28日閲覧
※3 浜内千波著 2013年10月初版第1刷発行 きのこで毎日菌活レシピ 日東書院
※4 難波宏彰・宗像伸子著 2008年5月発行 きのこレシピ グラフ社

まいたけの上手な摂取の仕方

美味しいまいたけの選び方

まいたけは笠が大きくて、肉が厚いものを選びます。
パッと見た感じビロードのような肉質がおいしいまいたけであり、噛みしめるごとにまいたけ本来の旨味を感じることができます。
また、まいたけは石づきがないため、根本からそのまま使うことができます。
もちろん洗うと風味を損なうため、まいたけは洗わずにそのまま使うようにしましょう。
石づきを包丁やまな板を使って落とす必要もなく、洗うという下準備も必要ないため、料理を作る時間も節約できるまいたけを使って、旨味たっぷりの料理を楽しみましょう。※3、4

まいたけの使い方

まいたけは株を持ち、使いたい大きさに割ってほぐせば、後は使うだけです。
手で割ったまいたけは、裂けた部分がギザギザになっているため味が浸み込みやすくなっています。
まいたけを炒めたり、煮たりした時に出る黒い汁は健康成分がギュッと詰まっていますから、まいたけは汁ごと食べるようにしましょう。
まいたけの購入後ですが、開封する前は温度が一定な冷蔵庫の野菜室に保存するようにしましょう。
また、開封する前であっても風味はどんどん落ちていくため、購入後は1週間を目安に使い切るようにしましょう。
使いかけのまいたけは、ラップできちんと包み、同じく冷蔵庫の野菜室で保管します。
まいたけの鮮度が落ちてきたという判断は、表面を観察すると分かります。
笠の表面が水っぽく湿ったり、皺が寄っているときは、鮮度が落ちてきたときです。※3、4
まいたけを新鮮なうちに使いきれないという時には、冷凍保存をするようにしましょう。
この場合、細かくほぐしてからの方が急速冷凍されるので、風味が損なわれませんし、使いたい分量を取り出す時にも便利です。
冷蔵庫や冷凍庫に常備したまいたけを、毎日の調理に加えるようにしましょう。※3、4

まいたけを使ったレシピ

それでは、健康パワーの詰まったまいたけを使ったレシピを2つご紹介します。
まずは、おかずにはもちろん、お酒のおつまみにもピッタリなまいたけ餃子です。
まいたけはお肉との相性もバッチリですし、まいたけを肉だねに混ぜるため、肉の量を減らすこともできます。
もう1品は、作り置きにもってこいのまいたけのつくだ煮です。
自家製ならお好みの味に調整ができます。※3、4


【まいたけ餃子】※3
材料(20個分)/まいたけ1パック、豚ひき肉180g、塩小匙1/2、胡椒少々、餃子皮20枚、ごま油大匙1

  1. まいたけを、粗いみじん切りにする
  2. 肉に塩、胡椒をふって粘り気が出るまでしっかり捏ね、まいたけとよく混ぜ合わせる
  3. 2を餃子の皮で包む
  4. ごま油の半分を薄く塗ったフライパンに3を並べて焼く
  5. 焦げ目が付いたら、熱湯50ccを注ぎ、蓋をして中火で蒸し焼きにする
  6. フライパンの水分がなくなったら、残りのごま油を全体にかけて、カリカリに焼き上げ、皿に盛る

 

【まいたけつくだ煮】※3
材料/まいたけ1~2パック
煮汁(醤油・酒・みりん各大さじ3、砂糖小さじ2)
※煮汁の材料はお好みで調節してください

  1. まいたけは食べやすい大きさにほぐす.
  2. .小鍋に煮汁の材料とまいたけを入れて中火にし、煮汁がなくなるまで煮る
  3. .まいたけが冷めたら保存容器に移す

 

※3 浜内千波著 2013年10月初版第1刷発行 きのこで毎日菌活レシピ 日東書院
※4 難波宏彰・宗像伸子著 2008年5月発行 きのこレシピ グラフ社

まいたけを摂取する時の注意

まいたけの1日の摂取量

健康成分のたくさん詰まったまいたけは意識して積極的に摂取したい栄養素ですが、摂取する際には注意したいこともあります。
私たちの体の重さのうち1~1.5㎏は細菌の重さとされ、この細菌の中で、善玉菌が多ければ体の内側は元気だとされています。※3
体の中の元気には食物繊維が関係しているのですが、ここでまいたけの出番です。
まいたけを食事の1品の中に加えれば食物繊維の摂取量を増やすことができ、善玉菌も増やすことができます。
まいたけの1日に必要な摂取量というものは決められていませんが、健康によいからと毎日たくさんのまいたけを摂りすぎると反対に体調を崩してしまうこともあります。
まいたけを過剰に摂取するのではなく、野菜を1日に350g以上摂るように意識し、そのうちの120g以上はにんじんやカボチャ、青菜といった緑黄野菜を摂取しましょう。※5
まいたけはエネルギーも低く、こんにゃくや海藻などと同じ超低エネルギー食品です。
しかし、まいたけだけをたくさん食べようとすると、やはり栄養バランスが崩れてしまいます。
スッキリとした体を維持する時にも適した食材ではありますが、1日に必要な栄養を摂取しながらまいたけをプラスするなど、上手にまいたけを摂り入れるようにしましょう。※3、4、5

まいたけとアレルギー

まいたけは菌類であるため、人によってはアレルギー反応がみられることがあります。
アレルギー反応には嘔吐や咳、くしゃみ、目の痒みなどさまざまな症状があります。
時にはアナフィラキシーショックといわれる意識障害や呼吸困難といった重篤な症状を引き起こすことがあるため注意が必要ですが、きのこ類全体でもアナフィラキシーの報告は少なく、しいたけや松茸などで散見される程度です。
しかし、アレルギー体質の方はもちろん、少しでも心配な方は専門医に相談をしてからまいたけを摂取するようにしましょう。
また、まいたけを摂取した後に体調を崩した場合には速やかに医療機関を受診するようにしましょう。※6、7、8

まいたけを摂取する時の注意

まいたけを日常的な食事の中に取り入れるくらいなら、アレルギー以外の問題は特にありません。
しかし食品以外からまいたけの成分を摂取する場合、まだ十分に解明されていない部分もあります。
また、まいたけの成分をたくさん摂ると出血のリスクが高まる可能性がありますので、向こう2週間以内に手術を受ける予定の人は注意しましょう。
妊娠中の方や授乳中の方が食事以外からまいたけの成分を摂る場合は、安全のためにも医師に確認してからにしましょう。※5、8

※6 J-STAGE エノキタケ(Flammulina velutipes)経口摂取によるアナフィラキシーの1例 https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/64/1/64_63/_pdf 2020年2月28日閲覧
※7 厚生労働省 第4章 食物アレルギー https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf 2020年2月28日閲覧
※3 浜内千波著 2013年10月初版第1刷発行 きのこで毎日菌活レシピ 日東書院
※4 難波宏彰・宗像伸子著 2008年5月発行 きのこレシピ グラフ社
※5 中村丁次監修 2017年2月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版
※8 日本医師会/日本歯科医師会/日本薬剤師会(監修) 2019年7月第6版第1刷発行 健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版<第6版> 同文書院

まとめ

まいたけは美味しいだけではなく、健康成分もたっぷりと含まれた食品です。
しかも価格が安定しているため、炊き込みご飯や中華丼といった主食から、主菜や副菜、汁物にも加えることもできます。
毎日の食生活に低カロリーで食物繊維が豊富なまいたけを取り入れ、元気でスッキリとした生活をおくりましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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