室内の有酸素運動でも効果はある?器具なしで運動不足解消

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鏡を見た時や、新しい服を着た時、重い荷物を持った時など、日常の中で、身体の脂肪や運動不足が気になるタイミングはたくさんありますよね。
皆さんの今の体型は、ご自身にとって理想的でしょうか?
本日は、自宅に器具がない方でも、理想の体型に近付くためにしっかり効果を出すコツや、注意していただきたい点、特に気になりやすいお腹周りを鍛えるおすすめのトレーニングを徹底解説いたします。
ご自身の理想の体型をイメージして、さっそく取り組んでみましょう!

目次

  1. 室内でも効果あり!有酸素運動とは
    • 有酸素運動と脂肪燃焼のしくみ
  2. 器具なしでできる有酸素運動
  3. お腹を鍛えるには?
    • 腹直筋を鍛えるトレーニング
    • 腹横筋、腹斜筋を鍛えるトレーニング
  4. まとめ

室内でも効果あり!有酸素運動とは

有酸素運動と脂肪燃焼のしくみ

平成30年度の厚生労働省の調査では、メタボリックシンドロームが強く疑われる人の割合は、男女あわせて19.5%、予備群と考えられる人は14.5%と、その総数は4割近くにのぼります。※1
メタボリックシンドロームの診断基準のひとつとして、腹囲(内臓脂肪)が基準値以上であることが含まれるため、現在の状態より脂肪を減らす必要がある方は少なくないと考えられます。※1

全身の脂肪燃焼のためには、有酸素運動が効果的ということは広く知られていますよね。
では、どのような運動が有酸素運動に当てはまり、また、どのような仕組みで脂肪が燃焼されているのかはご存知でしょうか?
まず、運動の強度が小さく、比較的負荷が軽い運動のことを、有酸素運動と呼び、筋肉を動かすエネルギー源として血糖や脂肪を酸素と一緒に使用します。※2
一方で、運動の強度が大きく、負荷が重い運動は無酸素運動と呼び、筋肉を動かすエネルギー源として血糖のみを使用します。※2

実は全ての運動は、有酸素運動と無酸素運動の組み合わせによって構成されています。※2
運動をする際の、強度や継続する時間によって、有酸素性エネルギー代謝を行うのか、または、無酸素性エネルギー代謝を行うのかが、シーソーのような関係となってエネルギー源を供給しているのです。※2
有酸素運動は脂肪をエネルギー源とするため、体重や体脂肪の減少が期待できるだけでなく、ゆっくり呼吸しながら運動を行うことによって、心肺機能を適度に高めることも可能です。※2
そのうえ、無酸素運動に比べて器具を用いて負荷を重くする必要もないため、場所を問わず室内でも実施することができます。
ある研究では、心肺機能の低い集団は、高い集団の1.8倍、中程度の集団の1.6倍の高さで、メタボリックシンドロームに罹る危険があることがわかりました。※3
つまり、有酸素運動の実施により、運動不足の解消だけでなく生活習慣病のリスク軽減にもつながるということですので、健康維持のために是非とも今から始めていきましょう。※2
せっかく有酸素運動を行うのであれば、室内という限られた環境でも、しっかり効果は出したいですよね。
有酸素運動と無酸素運動のしくみを理解した上で、有酸素運動の室内で効果を出すコツをお伝えしていきます。
しかし、一見効果を出すコツとしてよさそうなことも、実際はあまり効果がない可能性がありますので、注意すべき点を2つ挙げて解説をしていきます。

 

【はりきって長時間運動を行わない】
今までの積み重なった運動不足解消のために、いきなり長時間運動してしまい、結局、数日間しか続かなかった経験はありませんか?
今まで運動習慣がない人の場合は、30分以上運動を続けると、交感神経が過剰に興奮状態となり、長時間になればなるほどストレスが増加します。※4
その結果、食欲が減ったり、眠りにくくなったり、そもそも運動自体が続かないといったことが起こり得ます。
運動をするうえで、何よりも大切なことは継続することです。
数か月から1年という単位で、継続的に有酸素運動を行うことを考えましょう。
そのためには、まずはウォームアップを含めて30分未満でメリハリをつけて運動し、ストレスの少ない環境で取り組むことが大切です。※4

 

【厚着で運動を行わない】
サウナスーツや長袖を着て有酸素運動を行うと、滴るくらいたくさん汗をかきますね。
汗をかくと、スッキリして身体が軽くなった気がしますが、一時的に身体の中の水分が減っているだけで、脂肪を燃焼しているわけではありません。
人間には体温調節機能が備わっており、体温が高くなると、汗をかいて熱を放出しようとします。
そのため、厚着をして体温が高くなりやすい状況で有酸素運動を行うと、体温調節のため、どんどん汗をかきますが、身体に含まれている約60%の水分のうちの一部が体温調節のために汗となって排出されているだけなのです。※5
汗には電解質も含まれていますので、たくさん汗を流すと脱水症状に陥るリスクも高まります。
運動中は、風通しの良い服を選び、しっかりと水分補給をしながら脱水予防をしていきたいですね。

※1 平成30年国民健康・栄養調査 /厚生労働省/2020年6月14日現在
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450171&tstat=000001041744&cycle=7&tclass1=000001139646&stat_infid=000031934564
※2 エアロビクス / 有酸素性運動 | e-ヘルスネット/厚生労働省/2020年6月14日現在
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-072.html
※3メタボリックシンドロームの定義と診断基準/厚生労働省/ 2020年6月14日現在
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000120907.pdf
※4 運動時間の違いによるストレスへの影響/第 49 回日本理学療法学術大会(横浜)/ 中野洋平, 立花貴弘, 古後俊介, 益満俊宏, 田島光純/2014年5月31日発行/2020年6月14日現在
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2013/0/2013_1036/_pdf
※5「若い、太りすぎの男性と女性の体重と組成に対する16か月のランダム化比較運動試験の影響:中西部の運動試験」
/https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12796071/
2003年6月9日発行/2020年6月14日現在

器具なしでできる有酸素運動

では、実際に室内で器具を使わずにできる有酸素運動を、取り組み方のコツとともにいくつかご紹介いたします。
とにかく楽しみながら、有酸素運動をしたい方は、踏み台昇降とダンスやエアロビクスをオススメしますので、それぞれ解説していきます。

 

1.踏み台昇降
踏み台昇降とは、高さのある台に、昇ったり降りたりを繰り返す運動です。
踏み台の代わりに自宅の段差や椅子、分厚い雑誌を使用することで、気軽に室内で踏み台昇降運動を行うことができます。
運動を行う際は踏み台がずれてしまわないかしっかり確認をしてから始めてくださいね。
手順は、片足で台に昇り、もう片方の足を台に上げて両足でまっすぐ台の上に立ちます。
次に、最初に台に昇った足から床に降ろし、もう片方の足を戻して最初の姿勢に戻ります。
昇る時には、膝が内側に入らないように、つま先から股関節までが一直線となるよう台に足を置きます。
その姿勢のまま、しっかりと身体を支えるイメージを持って台に昇り、もう片方の足を置きます。
降りる時にも、昇る時同様に膝が内側に入らないか注意してください。
どちらの足から先に昇るかは、時間を決めて半分ずつ行いましょう。
基本の動きに慣れてきたら、腕を大きく振ったり、ペットボトルなど重りになるものを持ったりすると、無理なく負荷をかけることができます。
踏み台昇降では、複雑な動きはなく、目や耳は自由な状態です。
なので、好きなテレビを見ながらや、音楽を聴きながらでもできるため、飽きにくく隙間時間でも行うことができます。

 

2.ダンス・エアロビクス
馴染みのある曲や、リズミカルな曲に合わせて踊るダンスやエアロビクスも、有酸素運動に当てはまります。※7
ちなみに、ダンスは左右非対称で曲線的・自由な振り付けを行うのに対し、エアロビクスは左右対称で直線的な動きを行うという違いがあります。
ダンスでは、バランスよく全身の筋肉を使う動きができますし、エアロビクスでは、体幹を意識した動きができますのでどちらも取り入れるといいですね。
最近では動画配信サイトで、無料で詳しい解説付きのダンスやエアロビクスの動画を観ることができるため、活用するとより意識するポイントがわかりやすいでしょう。
初心者向けの簡単なステップのものや、跳ぶ動きがないものなどバリエーションも様々です。

 

3.ラジオ体操
次に、手軽に始めたい方にはラジオ体操がオススメです。
振りつけを覚えることが苦手でも、まずは誰でも一度はやったことがあるラジオ体操であれば、手軽に始めることができます。
国民の体力向上や健康増進を目的として、1928年(昭和3年)にラジオ体操の前身となる「国民保健体操」が誕生しました。※8
その後、時代に合わせて変化し、現在では「ラジオ体操第一」「ラジオ体操第二」「みんなの体操」が広く親しまれています。
ラジオ体操では、呼吸を止めずに指先までしっかり伸ばし、大きく動くことで大きな効果が得られます。
早すぎず一定のリズムで行いますので、体力に自信がない方でも無理なく行うことができるでしょう。

 

4.ヨガ
自立神経を整えたり、リラックス効果もほしい方には、ヨガがオススメです。※9
最近多くの人に趣味として親しまれている有酸素運動のヨガは、ゆっくり深く呼吸を行い、様々なポーズをとることで身体の柔軟性を高めるだけでなく、リラックス効果も期待できる運動です。※9
ヨガを行う際のポイントとして、呼吸をあまりせずに行うと有酸素運動としての効果が低くなってしまうため、腹式呼吸を意識して行いましょう。※9
腹式呼吸の方法は、まず、背筋を伸ばし鼻からゆっくり息を吸い込みます。
横隔膜を広げて空気を溜めるイメージを持ち、吸いきったら、鼻から吸い込んだ時と同じスピードで、口から息を吐きます。
可能であれば、窓際やベランダで行うと、日光も浴びることができて、よりリラックス効果が高まりますね。

※7エアロビクス/有酸素運動 | e-ヘルスネット/厚生労働省/2020年6月14日現在
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-072.html
※8「ラジオ体操誕生の背景とは」/NHKテキストビュー/2020年6月14日現在/
http://textview.jp/post/health/408
※9ヨガ/ e-ヘルスネット/厚生労働省/2020年6月14日現在
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-085.html

お腹を鍛えるには?

脂肪を燃やすためにオススメの有酸素運動をご紹介いたしましたが、次は、お腹周りを鍛えるトレーニングとそのポイントをご紹介いたします。

 

【まずは腹筋の構造を知る!】
具体的なトレーニングをご紹介する前に、まずは簡単に腹筋の構造を確認しましょう。
腹筋は、腹筋を鍛えるトレーニングだけでなく、他の部位を鍛えるトレーニングや、日常生活の中でも必ず使用する部位です。
身体の中でも大きい分類に入る筋肉なので、鍛えることによって基礎代謝の上昇も期待できます。

腹筋に重点的に効果を出すためには、パーツ毎にわけてアプローチをすることが大切です。
腹筋は、大きく4つのパーツに分かれています。※10
腹部の前面に縦長にあり、体幹の屈曲を支える「シックスパック」と呼ばれる腹直筋と、コルセットのように体幹に巻き付くインナーマッスルで、腹圧の維持に関わる腹横筋、腹横筋の外側にあり、骨盤を引き上げ、体幹をねじる際に支える内腹斜筋と外腹斜筋です。※10
自分がどんな腹筋になりたいかのイメージに合わせて、各パーツのトレーニング回数を調節しましょう。
シックスパックを目指したい方や、縦線の入った女性らしいボディを目指したい方、ぽっこりお腹が気になる方は、腹直筋を多めに鍛え、有酸素運動を併用して体脂肪率を下げることで、変化を実感しやすくなります。
また、細く美しいくびれを目指す方は、腹横筋や腹斜筋を多めに鍛えましょう。
では、実際におすすめのトレーニングをご紹介いたします。

腹直筋を鍛えるトレーニング

腹直筋は縦に長い筋肉なので、腹直筋上部と腹直筋下部に分けて鍛えることがおすすめです。

 

(1)クランチ(腹直筋上部)
仰向けで両手を頭の後ろで組み、胸をおへそに近付けるように上体を丸めながら身体を起こします。
上体は完全に起こさずに負荷をかけたままゆっくりと元の位置に戻り、同じ動きを繰り返します。

 

(2)レッグレイズ(腹直筋下部)
仰向けになり、両手は軽く広げて身体の横に置きます。
膝をできるだけ曲げずに、ゆっくりと両足を90度になるまで上げ、同じようにゆっくりと戻します。
同じ動きを繰り返しますが、負荷が抜けないように、下げた足は床につけてはいけません
レッグレイズでは、腰が沿ってしまうことによって痛めやすいため、腰が浮きやすい方はお尻の下に両手を入れることによって、腰への負担を減らすことができます。

 

(3)ニートゥチェスト
床に座り、背中を丸めて顎を引きます。
手を軽く後ろについて足をあげ、膝と胸を引き寄せます。
近付けた後は、ゆっくり足を戻しますが、床にはつけずに繰り返します。
床についている手に体重をかけすぎると、負荷が抜けてしまうので、しっかり腹筋で支えることを意識しましょう。

腹横筋、腹斜筋を鍛えるトレーニング

(1)ツイストレッグレイズ
仰向けになり、両手は斜め45度に広げます。
レッグレイズと同様に、膝をできるだけ曲げずに、ゆっくりと両足を90度になるまで上げ、左右に下ろします。
その際も、足は床につけないように動かしましょう。
肩が浮くと腹斜筋を効果的に鍛えることができないので、肩は浮かないよう意識してくださいね。

 

(2)バイシクルクランチ
仰向けで両手を頭の後ろで組み、膝を直角に曲げて床から浮かせます。
自転車を漕ぐようなイメージで、右肘と左膝、左肘と右膝を交互に引き寄せます。
時間を決めてテンポよく繰り返すと、じわじわとお腹の横側が熱く感じることができます。

 

(3)デッドバグ
仰向けで両手をまっすぐ上に挙げ、膝を直角に曲げて床から浮かせます。
右手をバンザイにするとともに、左足は床につかない程度までまっすぐ伸ばしてください。
伸ばしきったら、ゆっくりと元の形に戻り、逆側で同様の動きを行い、繰り返します。
腹筋にしっかり力を入れ、時間をかけて行うことによって、すっきりとしたくびれを作ります。

※10「腹筋群の筋力トレーニング」/日本パワーリフティング協会/ 2020年6月14日現在
/https://www.jpa-powerlifting.or.jp/lowerabs

まとめ

今回は、有酸素運動と脂肪燃焼のしくみから、初心者の方が間違いやすい知識と効果を出すコツ、器具を使わなくても今日から始めることができるおススメのトレーニングをご紹介いたしました。
この中から好きなトレーニングを組み合わせて行うと、ストレスも少なく楽しく運動が行えるのではないでしょうか。
まずは、できるだけ毎日継続できる工夫と、間違ったトレーニングを行わないことが大切です。
その日によって、テレビを観ながら行ったり、音楽を聴いたり、または家族と一緒に取り組んだりすると、飽きることなく継続しやすいのではないでしょうか。
運動を行う際には、前後でのストレッチをしっかりとしてから無理のない範囲で取り組んでみてくださいね。

監修者
栗原
看護師、保健師、アロマリンパオイルテラピスト
大学病院の総合外科で、消化器・呼吸器・乳腺・血管専⾨病棟で 3年勤務。
過労にて⼼身ともに体調を崩すも⾃身の健康を守るため予防医学と美容に特化したクリニックに転職し、クリニックの広報の他、健康メディアのライターも務める。 美容健康セミナーなどのイベントも開催し、SNSでは予防医学・ 健康的なダイエット法・自⾝身の経験から看護師の働き⽅方について発信。
プロダンサーとしても、都内・海外で活動を行い、看護師の新たな働き方のモデルケースになるべくマルチに活動を行っている。
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