ビタミンEで若々しく元気な毎日を送りましょう!!

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1922年に発見されたビタミンEは、私たちの体になくてはならない成分です。
そのため、ビタミンEが不足しないよう、1日の摂取基準も設けられています。
ビタミンには13種類あり、どれも必要とする量は微量でありますが、食べ物から毎日、きちんと摂取していく必要があるのです。
中でもビタミンEは、私たちの体を守るという大切な働きがあります。
ビタミンの大切さと、その隠れた健康パワー知り、日々の健康に役立てましょう。

目次

  1. ビタミンEとは
    • ビタミンの基礎知識とビタミンE
    • ビタミンEの別名がトコフェノールである理由
  2. ビタミンEの働き
    • ビタミンEの働き
    • ビタミンEが欠乏すると
  3. ビタミンEを多く含む食品
    • ビタミンEを多く含む食品
    • ビタミンEを美味しく摂取しよう
  4. ビタミンEを上手に摂取するには
    • ビタミンEを摂取する時の注意
    • 健康の秘訣は栄養バランス
  5. まとめ

ビタミンEとは

ビタミンの基礎知識とビタミンE

ビタミンEは炭水化物や脂質、たんぱく質の三大栄養素とは異なりエネルギー源や体を作る成分とはなりませんが、体の機能を正常に維持するためには欠かせない大切な栄養素となっています。
またビタミンEは13種類ある、ビタミンの中の1種となるのですが、このビタミンは大きく分けて脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分類することができます。
それでは、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの性質と種類をみてみましょう。※1、2、3


【脂溶性ビタミン】
・性質
水に溶けにくく、油脂やアルコール溶ける性質を持っています。
また脂溶性ビタミンは体内に蓄積されるため、必要以上に摂りすぎると何らかの不調を引き起こすことがあります。
しかし、通常の食事で得られるビタミンの量では、過剰症になる心配はほとんどありません。※3
・種類
1915年発見 ビタミンA (化学名・別名/レチノール、β-カロテン)
1919年発見 ビタミンD (化学名・別名/カルシフェロール)
1922年発見 ビタミンE (化学名・別名/トコフェロール)
1935年発見 ビタミンK (化学名・別名/フィロキノン)


【水溶性ビタミン】
・性質
水に溶けやすく、油脂には溶けにくい性質を持っています。
また、熱にも不安定なため、これらを含む食材の過剰な水洗いや長時間の加熱調理は避けましょう
8種類のビタミンB群とビタミンCがあり、過剰に摂取した場合でも体内には蓄積されず尿などにより体外へと排出されるため、毎食ごとに食べ物から一定量を摂取する必要があります。
・種類
ビタミンB群
1911年発見 ビタミンB1(化学名・別名/チアミン)
1920年発見 ビタミンC(化学名・別名/アスコルビン酸)
1933年発見 パントテン酸(化学名・別名/ビタミンB5)
1934年発見 ビタミンB6(化学名・別名/ピリドキシン)
1935年発見 ビタミンB2(化学名・別名/リボフラビン)
1936年発見 ビオチン(化学名・別名/ビタミンH)
1937年発見 ナイアシン(化学名・別名/ニコチン酸、ニコチン酸アミド)
1941年発見 葉酸(化学名・別名/プテロイルグルタミン酸)
1948年発見 ビタミンB12(化学名・別名/コバラミン)
水に溶けやすい、油脂に溶けやすいなど、溶解性の違いで2つに分類されているビタミンですが、そもそもビタミンとは「生命」を意味するラテン語の「VITA」が語源となっています。
どのビタミンも体内で必要とされる量はごくわずかですので微量栄養素とも呼ばれていますが、体内での役割はとても大きいのです。
いずれにしてもビタミンはデリケートな栄養素なので、上手に活用するには正しい調理法や保存方法を知ることが大切です。
ビタミンの中でもビタミンEは体内の多くの場所に存在し、その性状は淡黄色で粘性の油状であり、非常に酸化しやすいという特徴があります。※1、2、3、4

 

ビタミンEの別名がトコフェノールである理由

ビタミンEにはトコフェノールという名称があります。
ビタミンEはその化学構造上、4種類のトコフェノールと、4種類のトコトリエノールと呼ばれる同族体があります。
それぞれに、α-、β-、γ-、θ-の文字が付き、α-トコフェノールなどのように表記されます。
ただし、この8種類の成分は必ずしも同じくらいずつ存在するのではなく、自然界や私たちの体の中でもっとも割合が多くなるのは、α-トコフェノールです。
そのため、血液中のビタミンE量を測定するときなどは、実質上、このα-トコフェノールの量が測定されています。※1

※2 厚生労働省 水溶性ビタミン / 2019年9月27日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000067134.pdf
※3 厚生労働省 脂溶性ビタミン / 2019年9月27日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042635.pdf
※1 栄養の基本がわかる図解辞典 中村 丁次監修 2015年7月発行 成美堂出版
※4 これは効く!食べて治す 最新栄養英文辞典 中嶋洋子・蒲原聖可監修 2017年10月第1刷発行 主婦の友社

ビタミンEの働き

ビタミンEの働き

  • 呼吸により取り入れた酸素は体内で悪い働きを行う
  • ビタミンEは悪い働きを防ぐ働きがある

ビタミンEの体内での働きはとても大きなもので、日々私たちの体が健康な状態を維持できるように守る働きがあります。
例えば、揚げ物をした油をそのまま長時間放置しておくと、その油はどうなってしまうでしょうか。
油は空気中の酸素と結びつくと変化を起こし、悪臭を放ち黒ずんで固まってしまいます。
このような状態の油をそのままの状態で再び使用すると、体に不調を起こすことは容易に想像できるでしょう。
この油の変化と似た様なことが、実は体内でも起こっているのです。
私たちは生きていくうえで、1日に何度も呼吸を行い、酸素を体内へと取り入れています。
取り入れた酸素は、もちろんエネルギーをつくり出すのに必要で、生命の維持に活用されているのですが、利用されなかった酸素は体に害を与える原因となってしまいます。
酸素は多く取り入れれば、それだけ反応性の高い物質を生み出してしまうため、時には体に弾力を与える大切な成分ですら破壊することがあるのです
ビタミンEはこのような原因となる物質が溜まらないようにし、元気な体を維持するという大きな役割を担っています。
このような働きはビタミンEの他にも、ビタミンAやビタミンCなどにも認められています。
また、その他にもビタミンEは体の末梢血管を広げ、血の巡りをよくし、体の不調を和らげる働きも期待されています。※1、3、4、5

 

ビタミンEが欠乏すると

体の中に存在する悪者をやっつけてくれるヒーローのようなビタミンEは、その大きな役割から1日に必要な摂取量が厚生労働省の食事摂取基準により定められています。
成人のビタミンEの1日の摂取量は男性で6.5mg、女性では6.0mgとされています。
乳幼児や小児の場合、1日の摂取量は次のようになります。

  •  0~5か月:3.0㎎
  •  6~11か月:4.0㎎
  •  1~2歳:3.5㎎
  •  3~5歳:4.5㎎
  •  6~7歳:5.0㎎
  •  8~11歳:5.5㎎
  •  12~17歳:男7.5㎎、女6.0㎎
  •  18歳以上:成人と同じ

尚、11歳までは男女の体格差がほとんどないため、摂取量に男女差はありません。


また、妊婦の場合では成人男性と同じ6.5mg、授乳中の方では7.0mgが目安量とされています。
ビタミンEが体内で不足してしまうと体調不良の原因ともなり、時には重篤な欠乏症を起こすこともあるため、ビタミンEが不足しないよう、普段の食生活には気を配りましょう。※1、4、6、7

※3 厚生労働省 脂溶性ビタミン / 2019年9月27日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042635.pdf
※5 e-ヘルスネット 抗酸化ビタミン(こうさんかビタミン) / 2019年9月27日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html
※7 厚生労働省 日本人の食事摂取基準 / 2019年9月27日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
※1 栄養の基本がわかる図解辞典 中村 丁次監修 2015年7月発行 成美堂出版
※4 これは効く!食べて治す 最新栄養英文辞典 中嶋洋子・蒲原聖可監修 2017年10月第1刷発行 主婦の友社
※6 健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版<第6版> 一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター(Jahfic) 2019年7月第6版第1刷発行 同文書院

ビタミンEを多く含む食品

ビタミンEを多く含む食品

それではビタミンEを多く含む食品について、一食当たりの目安量に含まれる含有量を合わせてご紹介します。
(魚)
・キングサーモン1切れ(150g)/含有量 5.0mg
・ウナギのかば焼き1串(100g)/含有量 4.9mg
・マグロ油漬け缶詰1/2缶(50g)/含有量 4.2mg
・子持ちガレイ1切れ(130g)/含有量 3.8mg


(油)
・ひまわり油大さじ1(12g))/含有量 4.6mg
・綿実油大さじ1(12g))/含有量 3.4mg
・サフラワー油大さじ1(12g))/含有量 3.3mg

 

(その他)
・カボチャ120g/含有量 5.9mg
・アーモンド10粒(14g)/含有量 4.0mg
・小麦麦芽10g/含有量 2.8mg
このようにビタミンEは魚介類や植物油、種実類、カボチャなどに多く含まれています。※1

 

中でもカボチャはビタミンEだけではなく、ビタミンC、カリウム、食物繊維などもバランスよく含まれておりその栄養価の高さは野菜の中でもトップクラスとなっています。

また、ふだん捨ててしまうカボチャの種も実は栄養価が高いため、捨ててしまうのは勿体ない食材です。
カボチャの種はワタを取りのぞき、水気をしっかりと拭いたらオーブントースターの低温で15分程加熱し、粗熱が取れたら裏返して再度15分程、薄く色づいて殻がいくつかはじけるまで焼いてみましょう。
後は好みで塩を振って殻を剥きながら食べると、栄養満点のおつまみとなります。※2
ところで、ハウス栽培で収穫した野菜と土の中で越冬させた野菜では、ストレスを与えた野菜の方がビタミンEの含有量が多くなることをご存知でしょうか。
同じホウレンソウでも、ストレスを与える寒じめ栽培ではビタミンEは3.4mgだったのに対し、市販品では2.5mgだったというデータがあります。
植物は寒さや紫外線などのストレスと戦い、生き抜くパワーを自力で増やしていま
このような植物の生き抜く力は、私たちが摂取すると健康パワーとなり、体を守ってくれるのです。※1、2、4

 

ビタミンEを美味しく摂取しよう

  • ビタミンEの美味しい摂取方法
  • 調理の際に気を付ける事

ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ると健康パワーがアップします。
また、β-カロテンやビタミンB2、セレンなどもそれぞれの健康パワーを持っているため、あわせて摂取することで、体に嬉しい働きをしてくれます。
いろいろな食品を組み合わせ、より健康パワーを摂取できるようなレシピをご紹介します。
その前に、ビタミンEは植物油に多く含まれているのですが、古くなった油や1度加熱した油は体によくない成分に変わってしまっている可能性があります。
封を切った植物油は早めに使い切るようにしましょう。

 

【カボチャの肉巻き天ぷら】
材料(2人分)
カボチャ250g(小ぶりのカボチャ1/4分度)、豚バラ薄切り肉150g、揚げ油適量
A【てんぷら粉1/2カップ、塩小匙2/3、胡椒少々、水100ml】
作り方

  1. カボチャは種とワタを取り除き、6等分のくし形切りにする。
  2.  切ったカボチャ1切れずつに豚肉をらせん状に巻きつける。
  3.  ボウルにAを入れ、さっくり混ぜる。
  4.  揚げ油を170度に熱し、肉を巻いたカボチャを3.の衣にくぐらせ、カラリとするまで揚げ、油を切って器に盛る。※1、2、4

※1 栄養の基本がわかる図解辞典 中村 丁次監修 2015年7月発行 成美堂出版
※2 野菜まるごと大図鑑 主婦の友編 2011年2月第1刷発行 主婦の友社
※4 これは効く!食べて治す 最新栄養英文辞典 中嶋洋子・蒲原聖可監修 2017年10月第1刷発行 主婦の友社

ビタミンEを上手に摂取するには

ビタミンEを摂取する時の注意

ではビタミンEを摂取する場合には、どのようなことに気を付けるとよいのでしょうか。
健康な成人の場合、ビタミンEが過剰になることはほとんどありません。
とはいえ、ビタミンEを長期に渡り過剰摂取を続けていると、肝臓の機能が十分に働かなくなるといったこともあるため、体にいいからと過剰に摂取をすることは好ましくありません。※1
何事にも適量というものがあります。
好きものを大量に摂ることが体に良くないように、体に良いとされるものでも過剰に摂取することは、かえって体に悪い影響を及ぼしてしまうことがあります。
また、植物油やナッツ類にビタミンEは多く含まれているのですが、これらの食品は脂質が多く、摂りすぎは脂質の過剰摂取に繋がることもあるため注意が必要です。※4
さらに、これらの食品は古くなると体には不要な脂質過が増える性質があるため、食品が新鮮なうちに食べきるようにしましょう。
日頃から医師から処方されたお薬を服用されている方もビタミンEの摂取には注意が必要です。
例えば、血液凝固を抑制するワルファリンカリウムを服用されている方はビタミンEを摂取すると、お薬の効果が必要以上に高くなる可能性があります。
その他にも、ビタミンE、β-カロテン、ビタミンCセレンを併用すると、血清コレステロール値を下げる特定のお薬の働きが弱くなる可能性などがあります。
日常的に服用しているお薬がある方や、持病のある方は、食事以外でビタミンEを摂取するならば、医師に確認をとるようにしましょう。
妊娠中の方や授乳中の方も医師の指導を仰ぐと安心です。※1、4、6

 

健康の秘訣は栄養バランス

健康の秘訣は毎日の栄養バランスと適度な運動です。
しかし運動においては、通勤時間を利用してなるべく歩く時間を増やすなどで改善していくことは可能ですが、忙しい現代では栄養バランスを考えながら3食の食事を手作りで用意するのは大変な事です。
まずは1日に「何を」「どのくらい」食べるのが健康によいかの目安を知り、どのような栄養素が不足し、何を食べ過ぎているのかを自覚しましょう。
ビタミンEは、脂肪分を多く含むものに比較的多く含まれています
前述のように、魚類や植物性の油、植物の中でも比較的油分の多いアーモンドなどがその例です。
ビタミンEの1日の摂取目安量は、成人男性での6.5㎎程度ですから、例えばアーモンドなら1日20粒食べると、1日の摂取目安量を超えることになります。※1、4、8
ビタミンEには、1日の摂取に対する耐用上限量もあります。
成人男性なら1日800㎎まで、成人女性なら1日650㎎までです。
ビタミンEは確かに、体にとっての健康パワーにあふれていますし、他のビタミン類と一緒に摂取すると、より効果的に健康パワーを獲得できます。
しかし、何事にも限度はあります
魚類でも、1食分の量(1切れ程度、100~150g程度)を食べれば1日の摂取目安量に近づきます。
1日の食事の中での栄養バランスに気を配り、健康な体を維持しましょう。※1、4、8

※8 厚生労働省 「食事バランスガイド」について / 2019年9月27日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
※9 e-ヘルスネット 食事バランスガイド(基本編) / 2019年9月27日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-007.html
※1 栄養の基本がわかる図解辞典 中村 丁次監修 2015年7月発行 成美堂出版
※4 これは効く!食べて治す 最新栄養英文辞典 中嶋洋子・蒲原聖可監修 2017年10月第1刷発行 主婦の友社
※6 健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版<第6版> 一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター(Jahfic) 2019年7月第6版第1刷発行 同文書院

まとめ

現代では、コンビニエンスなどの普及により、手軽にいつでも美味しいものが手に入るようになりましたが、毎日バランスよく栄養を摂取することは、なかなか難しいものです。
外食などが続くと、どうしても脂っこいものが多くなって…そんな時は、ビタミンEをたくさん含んだ旬の野菜を食べ、健康な毎日を目指しましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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