ハーブで健康に??はるか昔から変わらないフォルスコリの健康パワーを求めて

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「フォルスコリ」というハーブ、日本人にはあまり馴染みがないかもしれません。
これは、古のインドで生まれた「アーユルヴェーダ」という、生命科学で用いられてきた植物です。
現代の日本人は、忙しく情報過多な環境下で過ごすあまりに、自分の体と向き合う時間がとれず、体調を崩すまで気づかない人も増えています。
古くから世界で愛されてきたフォルスコリの健康パワーを知り、自分の体と真摯に向き合っていきましょう。

フォルスコリとアーユルヴェーダ

目次

  1. フォルスコリとアーユルヴェーダ
    • フォルスコリとは
    • インドでのフォルスコリ
    • アーユルヴェーダとは
  2. アーユルヴェーダの考えに則り、体のバランスをとろう
    • 体のバランスを整える方法
    • アーユルヴェーダの医食同源
  3. フォルスコリの健康パワー
    • 現代が抱える大きな健康問題
    • フォルスコリの健康パワー
  4. フォルスコリを摂取する時の注意
    • 適正体重を維持しましょう
    • フォルスコリを摂取する時の注意
  5. まとめ

フォルスコリとは

フォルスコリとは、薄紫のキレイな花を付けるシソ科の植物です。
原産地はインドで、インド平野の乾燥した斜面などに生息します。
また、ヒマラヤ山脈のすそ野の地域、ネパール、スリランカ、ミャンマーなどの地域や、アフリカ東部などでも自生しており、19世紀ごろまでは観賞用の植物として珍重されてきました。
葉に強い香りがある多年草で、成長すると高さ60㎝に達します。
フォルスコリは、コレウス、コレウス・フォレスコリ、フォルスコールサヤバナなどと呼ばれることもあります。※1

日本でシソと言えば、薬味として使う青いシソや、梅を浸けるために使う赤しそをイメージするかもしれません。
フォルスコリは、新鮮な葉をピクルスとして食用に加工したり、乾燥した葉や乾燥した根を煎じて飲んだりという方法で利用されます※1
さらに広く海外に目を向けると、食用以外にも染料として、生垣を構成する植物として、バナナを熟させる葉としても利用されてきました。※2、3、4

インドでのフォルスコリ

インドには古くから伝わるアーユルヴェーダと呼ばれる伝統医学があり、各家庭に伝わる民間療法もあり、フォルスコリは、こうした伝統の中で利用されてきました。
そして、1970年にフォルスコリの中に含まれるフォルスコリンが人の健康を守る成分であるとして注目されました。
その後フォルスコリは、フォルスコリンのもつ健康パワーの仕組みが解明されるとともに西洋医学の一環として位置づけられ、インドとドイツの企業が研究を進めてきたといわれています。
元々は自然に自生する植物ですが、現在はインド国内で大規模栽培が行われており、その収穫量は、年間で1000トンにもおよびます。※1

ところで、フォルスコリは前述の通りシソ科の植物ですが、その中でもシソ科シソ目コレウス属コレウス・フォレスコリ種として分類されています。
コレウス属には他に6種類ありますが、フォルスコールサヤバナと呼ばれる種類にのみ、フォルスコリンが含まれています。
フォルスコリンは葉や根に多く含まれており、葉は緑色が強い新鮮なものを夏から秋にかけて収穫し、根はもっとも濃度が高くなる秋に収穫後に乾燥させて、利用されています。※1

アーユルヴェーダとは

では、冒頭でも触れたアーユルヴェーダについて、ざっくりとみていきましょう。
アーユルヴェーダは生命や寿命を意味する「アーユス」と真理や化学を意味する「ヴェーダ」が結合した言葉で、およそ5000年前にインドで発祥しました。
インドに伝わる古典医学書にはアーユルヴェーダは幸福で有益な長寿のための知恵であると記されています。
また幸福というものは、なるものではなく、幸福であることに気づくものだというのも、アーユルヴェーダでの考え方です。
古くから伝承されてきた理論と方法に基づいて自分を知り、健康・幸福な心身となり健康長寿ならぬ健幸長寿を実現する生命の科学がアーユルヴェーダなのです。
また人間には一人として同じ性質を持つ人はおらず、必ず個人差があります。
アーユルヴェーダは、一人一人の個性を見据えたうえで、自分にあった生き方の知恵を学ぶことを説いています。
教科書通りの指示ではなく、常に今の自分にあった適切なケアを行うという教えです。
アーユルヴェーダでは、自然のすべてのものは地、水、火、風、空の5つの元素で構成されており、私たちの体は5つの元素のバランスにより3つのタイプに分けられ、バランスが崩れることで体の機能も揺らぐとされています。※2、3、4、5

※1 世界薬用植物百科事典 アンドリュー・シェヴァリエ(原著) 2000年10月発行 誠文堂新光社 
※2 サプリメント健康辞典 一般社団法人日本サプリメント協会著 2017年6月発行 集英社
※3 サプリメント辞典第3版 蒲原 聖可著 2010年3月発行 平凡社
※4 インドの生命科学 アーユルヴェーダ 新版 上馬場和男 西川眞知子著 2017年3月第1刷発行 農文協
※5 アーユルヴェーダ入門 上馬場和男 西川眞知子著 2017年4月第7刷発行 地球丸からだブックス

アーユルヴェーダの考えに則り、体のバランスをとろう

体のバランスを整える方法

厚生労働省ではアーユルヴェーダを含めたいろいろな医療を融合した、患者中心の統合医療への取組を行い、統合医療分野の調査や臨床研究を支援しています。※6
健康な体になるためには、まず栄養が届く体にすることが大切なのですが、それぞれの体質ごとに体のバランスを整える必要があります。
アーユルヴェーダでは、体の性質を3つのタイプに分けています。

(ヴァータ体質の人)

  • 機敏で快活
  • 順応性があり、理解がはやい
  • 想像力が豊か
  • 気分が変わりやすい
  • ストレスを受けやすく、緊張しやすい

(ピッタ体質の人)

  • 情熱的で知的
  • 勇気がある
  • リーダーに向いている
  • 怒りっぽい
  • 完璧主義で見栄っ張り

(カパ体質の人)

  • 心が落ち着いている
  • 辛抱強く着実
  • 慈愛に満ちていて献身的
  • 鈍感で大雑把
  • 頑固で保守的

実際には、必ずしもこの3つに分かれるのではなく、2種類、3種類の複合体質の人もいます。

そして、それぞれをバランスさせる方法というものもあります。
いずれも、休息やリラックスを必要としながらも、

  •  ヴァータ:入浴でカラダを温め、オイルマッサージを行う
  •  ピッタ:熱した体を水泳などで冷ます
  •  カパ:寝すぎずに日中は活動的になり、朝に熱めのシャワーか入浴をする

などの違いもあります。※4、5、6

アーユルヴェーダの医食同源

アーユルヴェーダでも、健康な体のためにはを大切なものと捉えており、正しい食事9ヶ条と呼ばれるものがあります。

正しい食事9ヶ条

  1.  快適な場所で、座って落ち着いて食べる
  2.  食事の前には目を閉じて感謝の言葉を唱える
  3.  お腹がすいてから、時間をわきまえ、同じ時間帯に食べる
  4.  適度な速さで食事をし、よく噛み、食べ過ぎない
  5.  食後はすぐに動かず5分程度は座って消化を見届ける
  6.  昼食を主とし、夕食はバランスのとれたものにする
  7.  食事は温かうちに作った人の愛情を感じながら食べる
  8.  冷たいものは控え、白湯をすすりながら食べる
  9.  食べ合わせに注意する

そして、それぞれの体質をバランスさせる食事も少しずつ違います。

ヴァータの性質は風で、不規則な食事時間が乱れの原因です。
規則正しく、バランスの良い食生活を基本とし、冷たい食べ物や生野菜などは控えるとよいでしょう。

ピッタの性質は火で、熱い食材やスパイス、塩分の摂り過ぎが乱れの原因です。
過度の飲食を控え、ピッタを冷ます果物や生野菜を摂るとよいでしょう。

カパの性質は重性、冷性、油性、湿性であるため、これらと反対の食事をするべきだと考えられています。
食事の量は少なく、油、甘味、塩辛さを抑えた食事が適切で、冷たい食事よりも温かい食事、体を温める働きのあるスパイスを使うことが勧められています。※4、5

※6 厚生労働省 統合医療に対する厚生労働省の取組について(統合医療プロジェクトチーム第2回会合) / 2019年9月27日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/dl/s0426-9a.pdf
※4 インドの生命科学 アーユルヴェーダ 新版 上馬場和夫 西川眞知子著 2017年3月第1刷発行 農文協
※5 アーユルヴェーダ入門 上馬場和夫 西川眞知子著 2017年4月第7刷発行 地球丸からだブックス

フォルスコリの健康パワー

現代が抱える大きな健康問題

現代ではコンビニエンスストアだけではなく、早朝や深夜まで飲食店が営業を行っているため24時間いつでも食べたいものを食べることができます。
外での食事というものは、最近では健康志向の高まりからか、カロリーが低く野菜が多いもの増えてきていますが、やはり高カロリーで栄養バランスの偏ったものが多い傾向にあります。
日本食は、高塩分や、たんぱく質、脂質、カルシウム不足などの欠点があったのですが、近年の洋風化により、欠点が改善され栄養バランスが良くなりました。
この理想的な食生活は新日本型食生活として世界から高く評価されるようになりました。
しかし、ほどよい洋風化を超え、さらに洋風化が進んでしまうとカロリーの高い脂質の過剰摂取に繋がります。
高カロリーな食事は脂質の摂取量も必然的に増えるため、このような食生活を繰り返すと脂肪をため込んだ体型へと変化してしまうため、注意が必要です。
厚生労働省が行っている国民健康・栄養調査によると、2017年時点では、標準体重を大きく上回る人(BMI25.0を超えている人)の割合は、20歳以上の男性で30.7%、女性21.9%でした。
このような体型は「万病の元」といわれています。
日本が健康長寿ランキングの上位国になった背景には栄養バランスのよい食生活がありました。
これを維持するには、脂質の摂取増加や朝食抜きの傾向にみられる近年の栄養バランスの乱れを改善していく必要があります。※7、8、9

フォルスコリの健康パワー

では、私たちの体を健康にしてくれるフォルスコリについて詳しく見ていきます。
前述の通り、フォルスコリに含まれる健康成分の名称は、フォルスコリン。
いろいろな健康パワーが期待されている化学物質です。
では、フォルスコリの働きを見ていきましょう。

私たちの体の中では、エネルギー伝達物質であるATP(アデノシン三リン酸)が、cAMPと呼ばれる化学物質を合成しています。
その反応で必要となるのが、アデニル酸サイクラーゼと呼ばれる酵素です。
フォルスコリに含まれているフォルスコリンは、このアデニル酸サイクラーゼ働きを活性化させます。
cAMPとは、細胞の中での情報伝達を司っている化学物質であり、細胞内にあるプロテインキナーゼAと呼ばれる酵素を活性化させ、細胞の中ではさまざまな反応が加速されます。
細胞により、加速される反応は違いますが、例えば筋肉ならばその動きを調整したり、体の中に取り込まれた栄養素の消化吸収を調整したりしています。※10、11

少し難しい内容ですが、これらの反応は体の中で常に連続して起こっており、その反応を加速させる化学物質をつくり出す過程で、フォルスコリンが働いているのです。
また、これらの反応の中の一つに、食事から吸収された栄養素が分解される時その一部が体熱となって消費される、食事誘発性熱産生というものがあります。※12
安静にしていても、食後には代謝量が増えるのですが、フォルスコリンの働きにより、食事誘発性熱産生が増えることも分かっています。※2、3、13

※9 厚生労働省 国民健康・栄養調査 / 2019年9月27日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html
※11 公益財団法人日本薬学会 薬学用語解説 cAMP / 2019年9月27日閲覧
https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?cAMP
※12 厚生労働省 e-ヘルスネット 食事誘発性熱産生 / 2019年9月27日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-030.html
※13 J-STAGE 卵巣摘出ラットの脂肪蓄積に及ぼすコレウスフォルスコリの影響 / 2019年9月27日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/125/5/125_5_449/_pdf/-char/ja
※2 サプリメント健康辞典 一般社団法人日本サプリメント協会著 2017年6月発行 集英社
※3 サプリメント辞典第3版 蒲原 聖可著 2010年3月発行 平凡社
※7 これは効く!食べて治す 最新栄養成分辞典 中嶋洋子 蒲原聖可監修 2017年10月第1刷発行 主婦の友社
※8 栄養の基本がわかる図解辞典 中村丁次監修 2017年2月 成美堂出版
※10 はじめの一歩の生化学・分子生物学 第3版 前野正夫・磯川桂太郎 2018年2月第2刷発行 株式会社羊土社

フォルスコリを摂取する時の注意

適正体重を維持しましょう

健康な体作りでは、栄養バランスの摂れた食事と適度な運動が最も大切とされ、適正体重を維持することは健康を保つためにも重要な位置づけを持っています。
国際的な標準指標である成人のBMIは体重(kg)/身長(m)2で求められ、この数値が18.5≤BMI<25.0であれば普通体重であるとされています。
18.5を下回る場合は低体重とされ、現代ではいつでも食に手が届くにも関わらず「やせ」による低栄養問題も起こっています。
一方で25.0を上回る割合は20代から50代まで右肩上がりに増加しています。

適正体重を維持するためには、自分に必要な1日のエネルギー量を知ることも大切です。
摂取カロリーは消費エネルギーと同じであれば体重の維持となり、摂取カロリーが多ければ体重の増加、少なければ体重の減少となります。
自分の現在の体重と照らし合わせ、摂取エネルギーと消費エネルギーを調整するようにしましょう。
また食べ過ぎないように気を付けることも大切なのですが、今日食べ過ぎたからといってすぐに脂肪となり身に付くわけではありません。
翌日の食事の量を調整したり、運動を行ったりすることで、摂取してしまったエネルギーは消費することができますから、日頃からしっかりと食事の管理と運動を行うようにしましょう。※8、13、14

フォルスコリを摂取する時の注意

それでは、健康を支えてくれるフォルスコリは、1日どのくらい摂取すればよいのでしょうか。
成人では一般的に、10%濃度のフォルスコリで1日500~1,000㎎の摂取が目安とされています。
ただし、体質によっては体調不良を起こすこともあるため、少量からスタートし、体調を確認しながら目安量まで増やしていくとよいでしょう。
また、日頃から医師に処方されたお薬飲んでいる方は、フォルスコリの摂取によりお薬の作用が増強されることもあるため、フォルスコリの摂取は医師への確認を行うようにしましょう。※1、2、3
特に、高血圧や、心臓または脳の血流を改善するようなお薬、気管支を拡張させるお薬を飲んでいる方は、フォレスコリを服用するとお薬の効果が強く出てしまうことがあります。※1、2、3

※13 e-ヘルスネット 肥満と健康 / 2019年9月27日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html
※14 e-ヘルスネット 若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題 / 2019年9月27日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-006.html
※1 世界薬用植物百科事典 アンドリュー・シェヴァリエ(原著) 2000年10月発行 誠文堂新光社 
※2 サプリメント健康辞典 一般社団法人日本サプリメント協会著 2017年6月発行 集英社
※3 サプリメント辞典第3版 蒲原 聖可著 2010年3月発行 平凡社
※8 栄養の基本がわかる図解辞典 中村丁次監修 2017年2月 成美堂出版

まとめ

人は、適正体重が健康につながると考えられています。
日本の「医食同源」は、日ごろから栄養バランスの良い食事を摂ることで健康を維持していこう、という考え方です。
一方、インドでは古くから「元気で健康に過ごすためのハーブ」としてフォルスコリが用いられています。
私たちもフォルスコリの持つ元気パワーで、健康な毎日を過ごしましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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