保健機能食品や栄養機能食品など、私たちの体の健康を守るさまざまな食品の違いを知ろう

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近年、健康への関心が深まり、健康への働きかけが期待できる食品などが、たくさん販売されています。
中には特定保健用食品(トクホ)と呼ばれるものや、栄養機能食品、機能性表示食品などがありますが、これらにはどのような違いがあり、どのように体へ働きかけるものなのでしょうか。
なんとなく「体によさそう」といったイメージだけで選ぶのではなく、それぞれの違いを知り正しい選択をしていきましょう。

目次

  1. 保健機能食品とは
    • 保健機能食品とは
    • 食品の機能と健康食品
    • 保健機能食品制度
  2. 特定保健用食品とは
    • 特定保健用食品とは
    • 特定保健用食品として申請できる素材
  3. 栄養機能食品とは
    • 栄養機能食品とは
    • 栄養機能食品の目的
  4. 機能性表示食品とは
    • 新しい制度の機能性表示食品
    • 機能性表示食品の内容
  5. まとめ

保健機能食品とは

保健機能食品とは

一般的に、健康と食生活の重要性について、どのように捉えられているのでしょうか。
日本での歴史をみると、ペニシリンなどの抗生物質が利用されるまでは、感染症である結核が死因の第1位でした。
しかし抗生剤が利用されるようになると感染症による死者は激減し、日本人の死因は生活の豊かさと相まって大きな変遷が起こりました。※1、2、3
1981年には悪性新生物が死因の第1位となり、それ以降、第1位の座は変わりません。※4、5
抗生剤が利用されるようになって以来、死因として上位に絶えず君臨する悪性新生物では、年代により大きな差が見られます。
一方、死因第2位以降の脳血管疾患や心疾患では、年代による増減は少なくなっています。
このような疾患は食生活の改善で予防できる可能性が高いことが、食生活改善運動や、疫学的調査により近年明らかになりつつあります。
つまり、死因の変化に大きく関係があるとされているものは食生活なのです。※1、2、3、4、5

食品の機能と健康食品

私たちが日頃口にしている食品は、味覚や嗅覚による刺激により体内に取り込まれ、体のいろいろな臓器で消化や吸収を行い、エネルギーを作り出しています。
文部省はこのような食品の働きの機能研究を行い、栄養素の働きを3つに分けました。

  • 食品の1次機能:栄養
  • 食品の2次機能:おいしさ
  • 食品の3次機能:病気の予防

近年では、国民の健康志向も高まり、テレビやインターネットなど、さまざまなところで健康に良いとされる商品が紹介されています。
健康食とはどのような食事なのか、健康食品とはどのようなものなのか、溢れかえる情報に振り回されないように正しく理解し、安易に「なんとなく体によさそう」という理由だけで商品を選ばないことが、賢い消費者ではないでしょうか。※1、2、3、4、5

保健機能食品制度

日本には現在、保健機能食品制度というものがあります。
これは、健康志向の高まりに伴い、消費者が食品を選ぶ際に過度の不安や、健康被害が起きないように、国がある程度の基準を決める制度として、2001年4月からスタートしました。
この制度では、国が安全性や有効性を審査して許可したものが、特別な表記をして販売できるようになります。
この時に誕生した保健機能食品制度は下記の通りです。

  • 特定保健用食品(トクホ)
  • 栄養機能食品

特定保健用食品は栄養改善法として1991年にはすでに存在していたのですが、この時には明らかに食品の形をしていることが条件となっていました。
しかし新しい制度では、食品の形をしていなくても錠剤やカプセルといった形でも良いことになりました。
これが、2001年にスタートした制度との大きな違いです。

しかし、製造販売側にはいくつかの問題があります。
例えば、特定保健用食品の申請にはコストがかかるため大手のみの独占となりやすく、中小の企業では違法商品や違法広告などが行われるといった問題が生じています。
また、保健機能食品を医薬品の代替品的に使用し、疾病の長期化や重症化を招く恐れも危惧されています。※1、2、3、4、5

※1 日本医師会 「機能性表示食品」 /  2019年9月27日閲覧
https://www.med.or.jp/forest/keyword/kinousei/index.html
※2 消費者庁 健康や栄養に関する表示の精度について /  2019年9月27日閲覧
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/
※3 機能性食品学 今井伸次郎著 2017年3月初版第1刷発行 コロナ社
※4 健康食品管理士認定試験のための問題解説集 第5版 加藤亮二 長村洋一編 2019年5月発行 日本食品安全協会
※5 保健機能食品学 長村洋一 平野和行 森下芳孝 熊取厚志編 2017年4月発行 日本食品安全協会

特定保健用食品とは

特定保健用食品とは

特定保健用食品は健康増進法・食品衛生法により、「特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該保健目的が期待できる旨の表示が許可された食品をいう」と定義されています。※1、3、4
また、特定保健用食品は食品ごとに許可申請を行う必要があり、安全性や有効性など科学的根拠を国に示し、消費者庁の許可を受けています。
現在、特定保健用食品は次のような項目の表示をすることが認められています。

  • お腹の調子を整える → 例「お腹の調子を整えます」
  • コレステロール関係 → 例「コレステロールが高めの方に適しています」
  • 血糖値関係 → 例「食後の血糖値の上昇を穏やかにします」
  • 血圧関係 → 例「血圧が高めの方に適しています」
  • 歯、歯茎関係 → 例「歯の健康維持に役立ちます」
  • 脂肪関係 → 例「体脂肪が気になる方に適しています」
  • 骨関係 → 例「カルシウムなどの吸収を高めます」
  • ミネラルの吸収関係 → 「貧血気味の方に適しています」
  • 疾病リスク低減 → 例「骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません」

また、これらを組み合わせて、脂肪&血糖値、脂肪&お腹、ミネラル&お腹、などでの表記も認められています。

しかし、逆の見方をすれば、これ以外は認められていないことになります。
これらの項目については適応対象を増やすべきだとの意見もありますが、安全性や昨今の行き過ぎた健康食品ブームに歯止めをかける必要も考慮しなければいけません。
特定保健用食品に認められている項目は直接的に疾患を限定するものはなく、明らかに特定の疾患に対しての食品であっても表示は定められてものでないといけません。
これは特定保健用食品と医薬品との識別が目的とされているためです。

特定保健用食品として申請できる素材

消費者庁では特定保健用食品として申請できる素材を以下のように決め、摂取上の注意事項も決められた通りに表示することとしています。

区分1(食物繊維)

  • 難消化性デキストリン
  • ポリデキストロース
  • グアーガム分解物

区分2(オリゴ糖

  • 大豆オリゴ糖
  • フラクトオリゴ糖
  • 乳果オリゴ糖
  • ガラクトオリゴ糖
  • キシロオリゴ糖
  • イソマルオリゴ糖

特定保健用食品は「糖尿病を予防する」などといった疾病に関する表示は認められていませんが、カルシウムと葉酸については下記のような疾病リスクの低減表示が認められています
ただし、摂取をする上での注意事項として、疾病そのもののリスクがなくなるわけではないという表示されていることが条件となっています。※3、4、5

 

・カルシウム
この食品はカルシウムを豊富に含みます。
日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません。

 

・葉酸
この商品は葉酸を豊富に含みます。
適切な量の葉酸を含む健康的な食事は、女性にとって、二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません。

また特定保健用食品のうち、現行の特定保健用食品の許可に必要とされる科学的根拠のレルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品については限定的な科学的根拠であるという表示をすることを条件として許可対象とされることになりました。
これは条件付き特定保健用食品とよばれ、通常の特定保健用食品のマークではなく、条件付き特定保健用食品のマークを付けることとなっています。※1、2、3、4、5

※1 日本医師会 「機能性表示食品」 /  2019年9月27日閲覧
https://www.med.or.jp/forest/keyword/kinousei/index.html
※2 消費者庁 健康や栄養に関する表示の精度について /  2019年9月27日閲覧
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/
※3 機能性食品学 今井伸次郎著 2017年3月初版第1刷発行 コロナ社
※4 健康食品管理士認定試験のための問題解説集 第5版 加藤亮二 長村洋一編 2019年5月発行 日本食品安全協会
※5 保健機能食品学 長村洋一 平野和行 森下芳孝 熊取厚志編 2017年4月発行 日本食品安全協会

栄養機能食品とは

栄養機能食品とは

栄養機能食品とは、厚生労働省大臣が定める基準に従い表示を行った食品です。
特定保健用食品には厳しい認定基準がありますが、栄養機能食品は既に科学的な根拠が確認されたビタミンやミネラルなどの栄養成分を基準量含んでいれば、表示することができます。
現在は栄養素のうちビタミン12種類、ミネラル5種類について、規格基準が定められています。
例として、亜鉛について、見てみましょう。※3、4、5

【栄養成分/亜鉛】 
・下限値2.10㎎ 上限値15㎎

・栄養機能表現 
亜鉛は味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。
亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
亜鉛はタンパク質・拡散の代謝に関して、健康の維持に役立ち栄養素です。

・注意喚起
本品は、多量摂取により疾患が治癒したり、より健康が増進するものではありません。
亜鉛の摂りすぎは、銅の吸収を阻害するおそれがありますので、過剰摂取にならないよう注意してください。
1日の摂取目標量を守ってください。
乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。※1、2、3、4、5

また、栄養機能食品では法令で表示が義務づけられている事項や表示が禁止されている事項があります。
特に留意が必要な物は次の3つです。

  • 栄養機能食品の規格基準が定められている栄養成分以外の成分の機能の表示や特定の保健の用途を表示してはいけない。
    (例)ダイエットできます。疲れ目の方に。
  • 栄養機能表示をする栄養成分の名称を栄養機能食品の表示に続けて表示すること。
    (例)栄養機能食品(ビタミンC)
  • 消費者長官が個別に審査などをしているかのような表示をしないこと。
    (例)消費者庁長官認定規格基準適合※1、2、3、4、5

栄養機能食品の目的

栄養機能食品は、高齢者や食生活の乱れにより1日に必要な栄養成分を摂取できない場合などに、ビタミンやミネラルの補給、補完を目的としたものです。
人間の生命活動に不可欠なビタミンは全部で13種類あり、いずれも必要量はごくわずかなため微量栄養素ともいわれています。
ミネラルは体内で合成することができないため、食事から摂取する必要があり、必須ミネラルとよばれ、現在までに16種類が知られています。

ビタミンとミネラルは、不足すると体調不良を引き起こすため、日々摂取することが望ましい栄養素です。
一方でビタミンやミネラルの中には過剰症が心配されるものもあります。
体によいからと一度にたくさん摂取してしまうと、思わぬ症状が現れることがあるため、適量を摂取することが大切です。※1、2、3、4、5

※1 日本医師会 「機能性表示食品」 /  2019年9月27日閲覧
https://www.med.or.jp/forest/keyword/kinousei/index.html
※2 消費者庁 健康や栄養に関する表示の精度について /  2019年9月27日閲覧
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/
※3 機能性食品学 今井伸次郎著 2017年3月初版第1刷発行 コロナ社
※4 健康食品管理士認定試験のための問題解説集 第5版 加藤亮二 長村洋一編 2019年5月発行 日本食品安全協会
※5 保健機能食品学 長村洋一 平野和行 森下芳孝 熊取厚志編 2017年4月発行 日本食品安全協会

機能性表示食品とは

新しい制度の機能性表示食品

機能性表示食品自主的かつ合理的な商品選択の機会の確保を促す制度として、2005年4月に制定されました。
保健機能食品制度が発足したのは2001年。
その後の2003年6月、政府は米国のダイエタリーサプリメント制度を真似て日本に新しい制度を設けると指示を出しました。
これにより、消費者庁は新しい機能性表示食品制度を発足させ、保健機能食品の中に加えられることとなりました。
この制度では、国の定めるルールに基づき、食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要事項を、販売前に消費者庁長官に届ければ、機能性を表示することが可能となりました。
新制度により機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やしたことで、消費者が商品の正しい情報を得て選択できるようになりました。※1、2、3、4、5

機能性表示食品の内容

機能性表示食品は特定保健用食品とは異なり、国による安全性と機能性の審査は行われないため、事業者が自らの責任において臨床試験や研究レビューにより科学的根拠を説明する必要があります。
また機能性表示食品の対象食品では、次の5つの項目に該当するものは対象食品となりません。

● 疾患に罹患している者、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦を対象に開発された食品
● 機能性関与成分が明確でない食品
● 機能性関与成分が、厚生労働大臣が定める食事摂取基準に基準が定められた栄養素である食品
● 特別用途食品(特定保健用食品を含む)、栄養機能食品、アルコールを含有する飲料
● 脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類(単糖類または二糖類であって、糖アルコールでないものに限る)、ナトリウムの過剰な摂取につながる食品

新制度では食品の販売60日前までに、消費者庁に機能性表示食品として販売する旨を届け出ることが必要ですが、厳しい審査などは無いため、これまで特定保健用食品の分野に参入していなかった中小企業にも門戸が開かれました。
機能性表示食品制度の導入により期待される効果は次の4つです。※3

1. 安全な商品の拡充
2. 機能性範疇の拡大
3. 効果が期待できないイメージ商品の排除
4. 市場拡大

機能性表示食品の届け出は、安全性に関わる根拠の資料が求められるため、食の安全につながることが期待されています。
また特定保健用食品の範疇に含まれなかった機能性の表示(花粉症やアトピー性皮膚炎など)も可能となるため、特定保健用食品で定めらえた9種類以外の疾患や、健康状態を対象とした食品の開発も期待されています。

従来の健康食品では体によさそうなイメージで売られている物が多かったのですが、新制度では機能効果について不確かなものは流通を抑制することが可能となり、業界内では科学的根拠の必要性や安全性への意識が高まり、業界全体が健全化することで市場の拡大が見込まれています。
一方で、機能性表示食品は、消費者庁の審査を通したものではなく、いわば企業の自己申告といえます。
機能性表示食品を適切に選択するためには、消費者が今の自分に必要な食品を見極める力を持つことが必要ですが、健康食品ブームの拡大の早さを考えると、実際には消費者のスキルが追い付いていない部分もあるかもしれません。※1、2、3、4、5
消費者はこれからも、安全で安心な食品が、健全に流通することを望むでしょう。
これは、保健機能食品すべてにおいて言える課題ではないでしょうか。

※1 日本医師会 「機能性表示食品」 /  2019年9月27日閲覧
https://www.med.or.jp/forest/keyword/kinousei/index.html
※2 消費者庁 健康や栄養に関する表示の精度について /  2019年9月27日閲覧
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/
※3 機能性食品学 今井伸次郎著 2017年3月初版第1刷発行 コロナ社
※4 健康食品管理士認定試験のための問題解説集 第5版 加藤亮二 長村洋一編 2019年5月発行 日本食品安全協会
※5 保健機能食品学 長村洋一 平野和行 森下芳孝 熊取厚志編 2017年4月発行 日本食品安全協会

まとめ

健康機能食品である、「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」についてご紹介しました。
名称は似ていますが、それぞれ違う働きをもつものとして定義されています。
いずれも、健康の維持や増進を目的としたものであり、病気を治す治療薬でないことを理解したうえで、自分に必要なものを見極めて賢く利用していきましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
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