健康パワーを持つエクオールを体内で作れる人は、ラッキーな人!?

公開日:

健康ブームが高まり、健康によいものとされる商品をいろいろな場所で目にするようになってきました。
しかし、「エクオール」を目にしたことがある方は、案外少ないかもしれません。
エクオールは、比較的最近見つかった成分で、健康パワーが隠されている成分です。
しかし、エクオールの恩恵にあずかれるかどうかは、人によって少し違いがあります。
エクオールのスゴさを知って、そのパワーに圧倒されてみましょう。

目次

  1. エクオールとは
    • エクオールとは
  2. エクオールは体内で作れる人と作れない人がいる?
    • エクオールが産生できる人の割合
    • 低下するエクオールの産生能力
  3. エクオールはイソフラボンよりスゴイ?
    • エクオールはイソフラボンより偉大?
  4. エクオールを上手に摂取するには
    • エクオールが含まれる「豆」の基礎知識
    • エクオールを摂取する時の注意
  5. まとめ

エクオールとは

エクオールとは

エクオールとは、大豆由来の成分です。
別名、7,4'-ジヒドロキシイソフラボンといいます。
私たちが大豆を食べた時に、この大豆を消化するプロセスにおいて、体内で大豆の中に含まれるダイジンという物質が、エクオールという物質に変わります。
この化学反応を引き起こすのが、体内の細菌であるバクテリアです。

イソフラボンの配糖体の一つであるダイジンは、腸内でビフィズス菌や大腸菌、乳酸菌などの働きにより、ダイゼインと呼ばれる物質をつくり出します。
その後ダイゼインは、腸内細菌の働きによってジヒドロダイゼインと呼ばれる物質に変化し、さらにエクオールとO-desmethylangolensinと呼ばれる物質をつくり出します。
これらのとても複雑な化学反応は、腸内に住む細菌の働きによって起こっています。

エクオールにはRエクオールとSエクオールの2種類の形があります。
この2種類の違いは、エクオールがつくり出される反応において、光学異性体のS体とR体が存在するという、ごく小さな違いです。
どちらも同じように見えるかもしれませんが、動物では尿中などから検出されたエクオールはS体のみで、生体内で産生されるエクオールもS体のみとされています。
また、エクオールは人間以外のマウスやラット、ヤギ、羊、牛、鶏などの動物では個体差なく産生されるのですが、なぜか人では産生能が異なります。
しかも、人によっては全くエクオールを生産することができない人もいます。
大豆イソフラボンをエクオールに分解できる人は、エクオール作り出せない人よりも大豆から多くの健康パワーを得ることができ、このような人は「エクオール・プロデューサー(equol producers)」とよばれています。

では、エクオールを生産できる人はどのくらいの割合でいて、自分がエクオールを生産できるかどうかを調べる方法はあるのでしょうか。
そして、エクオールを生産できない人は、エクオールの健康パワーの恩恵にあやかることはできないのでしょうか。
これらの謎に少しだけ迫ってみましょう。※1、2、3、4

※2 J-STAGE エクオール / 2019年10月28日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/57/11/57_11_492/_pdf/-char/ja
※3 J-STAGE 腸内細菌が作り出す大豆イソフラボン代謝産物の有用性と安全性 エクオールの可能https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/51/2/51_74/_pdf/ 2019年10月28日閲覧
※4 J-STAGE 大豆由来の新規成分"エクオール"の最新知見
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/62/7/62_356/_pdf/-char/ja/ 2019年10月28日閲覧
※1 健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版<第6版> 一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター(Jahfic) 2019年7月第6版第1刷発行 同文書院

エクオールは体内で作れる人と作れない人がいる?

エクオールが産生できる人の割合

体内でエクオールが生産できるか、できないかの違いには、男女差や遺伝的素因は関係ないとされています。
しかし、食物繊維や大豆、海草などの食物因子との関係や、年齢による違いなどがみられる傾向もあり、特に日本においては若年層でのエクオールの産生者の低下が示唆されています。
エクオール産生者の割合は欧米人では20~30%、日本人では約50%といわれています
世界のエクオール産生者の割合をみると、日本や中国、台湾といった大豆を食べる習慣がある地域ではエクオールの産生者は約 50%で、その他の欧米およびオーストラリアなどでは約20~30%といわれていますので、やはり大豆製品を食べる習慣とも関係がありそうです。

しかし、日本人は比較的エクオールを体内で生産することができる人が多く見えますが、それでも2人に1人は体内で生産ができないという事になってしまいます。
では、自分の体内でエクオールが生産できるかどうかはどのように調べることができるのでしょうか。
エクオールの検査はソイチェックともいわれ、医療機関はもちろんのこと、最近では薬局などでも検査キットの取り扱いがあります。
エクオールを体内で生産することができるかどうかを知りたい方は、医療機関や薬局などに問い合わせをしてみるとよいでしょう。
しかし、エクオールが体内で生産することができるとしても、現代の生活習慣ではエクオールの生産能力が低下している可能性もあります。
では、なぜエクオールの生産能力は低下してしまうのでしょうか。※2、3、4

低下するエクオールの産生能力

日本での、若年層におけるエクオールの産生能力の低下には、食生活が大きく関係しています。
日頃口にする食事は西洋化し、それに伴い大豆食品の摂取量は大きく変化しました。
また、体内のバクテリアもエクオールを作り出す環境の整備に必要な食物繊維など不足もあり、こうした理由による生産能力の低下も問題視されています。
仮に、エクオールを作り出せる体質の人だとしても、エクオールを生成するための環境が整っていなければエクオールを作り出すことはできません。
エクオールを作り出すためにも、本来の健康的な和食中心の食生活を心がけるようにすることが大切です。
目安として大豆イソフラボンは16~22㎎、食物繊維は男性で20g以上、女性では18g程度を摂れるように意識するとよいでしょう。

一方、エクオールを産生することができない人は、食生活を整え、乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維などを摂取し、体内の環境を改善しても、エクオールを作り出すことはできません。
ある程度環境が整っていても、体質(能力)が無い場合は、エクオールをつくり出すことが出来ないのです。

ところで、1997年から 2010 年までに探索されたエクオール産生菌は15株あります。
ほとんどの菌が、酸素のある状態では生育ができない絶対嫌気性菌です。
中には、乳酸菌として単離されたストレプトコッカス属のA6G-225株と、ラクトコッカス属のクトコッカス20-92株もあります。
エクオールの産生菌は、単一菌ではなく多種に渡り、エクオール産生者でも人ごとに体内に存在する菌種は異なっています。
そのため、体内に存在するエクオール産生菌を維持させるのであれば、その人に合ったオーダーメイドの方法が必要だとされています。※1、2、3、4

※2 J-STAGE エクオール  / 2019年10月28日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/57/11/57_11_492/_pdf/-char/ja
※3 J-STAGE 腸内細菌が作り出す大豆イソフラボン代謝産物の有用性と安全性 エクオールの可 / 2019年10月28日閲覧能https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/51/2/51_74/_pdf
※4 J-STAGE 大豆由来の新規成分"エクオール"の最新知見 / 2019年10月28日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/62/7/62_356/_pdf/-char/ja
※1 健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版<第6版> 一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター(Jahfic) 2019年7月第6版第1刷発行 同文書院

エクオールはイソフラボンよりスゴイ?

大豆イソフラボンが「体によい」ということを耳にしたことがあるかもしれませんが、大豆イソフラボンとはそもそも、植物エストロゲンの一つといわれるポリフェノールに属する水溶性の植物色素です。
エクオールの素晴らしさは、その成分にあるのですが、まずはイソフラボンの特長を見てみましょう。
イソフラボンは人の体内で、ホルモンであるエストロゲンと同じような働きをするという特徴があります。
イソフラボンとは、野菜や豆類、イモ類、海藻、果物などの食物が持つ紫外線や害虫、有害物質から身を守るために自らが作り出したとされる苦みや色素、香り、辛みなどの成分であるフィトケミカルの一種です。

イソフラボンは、この中でもポリフェノール群に分類され、ポリフェノール群はさらにフラボノイド系フェノール酸系に分けられます。
また、フラボノイド系の仲間には次のようなものがあります。※1、5、6、7

【フラボノイド系】

  • イソフラボン
  • アントシアニン
  • ルテオリン
  • ヘスペリジン
  • ケルセチン
  • カテキン

 

エクオールはイソフラボンより偉大?

ポリフェノールは、その有能な健康パワーが注目されたため、いろいろなところで目や耳にしたことがあるのではないでしょうか。
現在では、その機能的役割が明らかになりつつあります。
このポリフェノールの成分の一種であるイソフラボンをも上回る機能性の高さで注目を集めている成分がエクオールです。
体内で作られるエクオールは、元のイソフラボンよりも健康パワーに優れ、とても強力な力があると注目されるようになってきています。
エクオールは脂質をエネルギーに変換する働きに影響を与えると考えられ、大豆や大豆の加工食品を摂取した人の中でも、エクオール濃度の高い人ほど、血中でのトリグリセリドが低くなる傾向にあるとされています。

特に女性は40代以降になってくると、特有の体調の変化や感情の変化が現れてきます。
エクオールは、この不安定に傾いていこうとする体の変化を和らげるという働きがあり、いつまでも自分らしくいられるよう支えてくれる働きがあるのです。
さらに、エクオールは丈夫な体を維持する働きもあるため、年を重ねる毎に脆くなっていく体には、とても役立つ成分といえるでしょう。
エクオールは、自分の体内で作り出せる人と、つくり出せない人がいて、作り出せる人の中でも、その生産能力には個人差があるとされています。

エクオールを作り出せない人は、エクオールを摂取することで、中年期以降の特有の変化が落ち着くこともあるといわれています。
エクオールを体内で作り出せないからといっても諦める必要はないのです。
この素晴らしいエクオールの健康パワーは、毎日の食生活で体内に取り入れることが可能となっています。
日頃の生活習慣から、エクオールを体内で生産できる人でも体内生産量は減少傾向にあり、またエクオールを産生できない人もいるため、日常的にエクオールを摂取することは、健康を維持する上でとても大切といえるのではないでしょうか。
毎日の健康を支え、安定しない時期には特にエクオールをしっかりと摂取し、長い人生明るく元気に過ごしていきましょう。※1、2、5

※2 J-STAGE エクオール  / 2019年10月28日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/57/11/57_11_492/_pdf/-char/ja
※6 J-STAGE 大豆イソフラボンアグリコンの更年期障害に対する効果について / 2019年10月28日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ningendock1986/17/2/17_172/_pdf/-char/ja
※1 健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版<第6版> 一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター(Jahfic) 2019年7月第6版第1刷発行 同文書院
※5 養の基本がわかる図解辞典 中村 丁次監修 2015年7月発行 成美堂出版
※7 図解食卓の薬効辞典 野菜・豆類・穀類50種 池上文雄 農文協

エクオールを上手に摂取するには

エクオールが含まれる「豆」の基礎知識

それでは、健康パワーがギュッと詰まったエクオールは、どのように摂取するのがよいのでしょうか。
エクオールは大豆由来の成分であるため、大豆だけではなく、大豆加工品も摂取するとよいでしょう。
大豆加工品とは、納豆や豆腐、豆乳などことで、近年では低脂質で低カロリーでありながら高たんぱくな畑の肉として大豆ミートといった、大豆からたんぱく質を取り出し繊維状にして肉のように仕立てたものも人気があります。
また、大豆にもいくつか種類があり、主に次のようなものがあります。

・黄大豆
皮の色が黄白色~黄色の豆で、よく店頭などで見かける種類の大豆です。
大粒の物は料理に利用され、中粒以下では味噌や醤油などの加工品に使われています。

・青大豆
青緑~緑色をした大豆で、熟しても油分が少なく糖分が多いのが特徴です。
主な利用はキナコや煮豆ですが、最近では青大豆納豆も増えています。

・黒大豆
黒豆と呼ばれ、見た目は真っ黒な大豆です。
煮豆に使われるのが一般的ですが黒大豆納豆や黒大豆豆腐も作られ、丹波黒、中生光黒などがあります。

大豆の歴史は古く、4,000年以上前から東アジアで栽培され、日本では縄文時代の遺跡から発見されています。
室町時代の終わりには醤油が誕生し、現在でも大豆は調味料の原材料としても欠かせない、大切な存在となっています。
大豆の国内での生産は北海道や宮城県、佐賀県、福岡県などで行われていますが、国内での生産量だけでは消費量に追い付かず、特に加工品の大部分は輸入に頼っているのが現状です。

大豆は柔らかく煮て食べると栄養成分を吸収しやすくなるのですが、一般的に安価で手に入れやすく、保存しやすいのが乾燥大豆です。
それでは、乾燥大豆の戻し方をご紹介します。

 

  1. 豆は水洗いし、たっぷりの水に(夏場は冷蔵庫で)一晩漬けておく
  2. 豆をザルにあげ、鍋に水を入れアクを丁寧にとりながら弱火で茹でる
  3. 食べてみて、少しポクポクとした歯ごたえが残るくらいになったら茹で上がり

ゆでた大豆が冷めたら、使う分量ごとに小分けにし、薄く広げて冷凍保存します。

このように、大豆の戻し方は少しの時間と手間が必要です
時間のある時にまとめて冷凍しておけば、使う時は常温で自然解凍できるため重宝します。
また、蒸した大豆を平たく潰して乾燥させた打ち豆は、2~3分水に浸しただけで味噌汁や煮物に加えることができ、加熱時間が短いだけではなく、大豆からの良い出汁がでて、栄養価までアップさせることができます。
健康のためにも、豆類は1日100g以上を目標に摂取するようにしましょう。※1、8

 

豆乳に関する記事は畑のお肉からできた飲み物「豆乳」。豆乳で健康とキレイを手に入れよう!をご覧ください。

エクオールを摂取する時の注意

エクオールは、厚生労働省では1日の摂取量が決められていません。
それは、エクオールが体を作るうえでの最低条件とされている栄養素ではないからです。
しかし元気な体を維持する上ではとても大切な栄養分で、納豆であれば1パック程度を毎日摂取することで、エクオールを生産できない人だけではなく、エクオールを生産できる人でも食生活が乱れがちな人には健康パワーを底上げしてくれます。

一方、エクオールを摂取する際には注意も必要です。
エクオールは女性ホルモンであるエストロゲンと似たような働きを持つため、エストロゲン製剤を服用中の方は、エストロゲンの効果や副作用を増大させる危険性があります。
避妊薬にもエストロゲンを含んでいるものがあるため、ご自身のお薬に含まれる成分をよく確認しましょう。
その他にもエクオールは利尿剤と同じ働きをするため、利尿剤の効果や副作用が増大される可能性もあります。
日頃から医師に処方されたお薬を飲んでいる方や持病のある方は、エクオールを摂取する前に主治医に確認をとるようにすると安心です。※1、9

※9 厚生労働省 「健康食品」のホームページ / 2019年10月28日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
※1 健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 日本対応版<第6版> 一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター(Jahfic) 2019年7月第6版第1刷発行 同文書院
※8 NHK出版からだのための食材大全 NHK出版編 2018年11月第1刷発行 NHK出版

まとめ

年を重ねることは素敵な事です。
しかし、この「年を重ねる」という過程では、時に大波や小波のような体調の変化が訪れることがあります。
このような不安定な時期こそ前向きに過ごしていくことが大切です。
元気な体であってこその人生、まずは自分を大切にするために、エクオールの力を借りてみてはいかがでしょうか。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
公開日:
上へ