古来より元気な毎日を支えたすっぽん!!その健康パワーに迫ります

公開日:2019.11.14

すっぽんといえば、鍋のイメージが強い方もいるのではないでしょうか。
実は、古来より元気の源として重宝されてきたすっぽんには、いろいろな食べ方があります。
では、すっぽんにはどのような栄養素が含まれるのでしょうか。
高級食材のすっぽんがもつ秘められた健康パワーを知り、正しい栄養の知識を身につけましょう。

目次

  1. すっぽんとは何か
    • すっぽんとは
    • すっぽんの特徴
  2. すっぽんにも地域性がある?
    • 関西ではまるとよばれるすっぽん
    • すっぽんの生態と食材としての利用
  3. すっぽんの栄養成分とその摂り方
    • すっぽんの栄養成分
    • すっぽん料理はたくさんある
  4. 高級食材のすっぽんは手軽に摂取できるのか?
    • 日本におけるすっぽん食事情
    • すっぽんパワーを摂り入れるために
  5. まとめ

すっぽんとは何か

すっぽんとは

すっぽんと聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。
すっぽんとは、爬虫綱カメ目スッポン科キョクトウスッポン属に分類されるカメの一種です。
しかし、普段から見かけることは、あまり多くはない生き物ではないのでしょうか。
すっぽんは、日本や東南アジア、インド、インドシナ半島を中心とする地域と、アフリカ大陸、北米大陸の一部に生息しています。
すっぽんはカメの一種で、河川や湖沼といった淡水に生息していますが、臆病で用心深いことから日中の大半は水の中に潜み、繁殖期の一時期を除いては、あまり陸に上がりません。
動物学的にみても、すっぽんの生命力は非常に強く、水の中ではカエルや魚、水生昆虫などの生きた動物も食べ、水面から顔を出し空気を吸ったかと思うと、今度は水の中に半日もいたりします。
さらに、すっぽんは変温動物なので水温が低くなると冬眠してしまいますが、冬眠している間は餌を食べなくても生きていくことができます。※1、2

すっぽんの特徴

カメの一種とされるすっぽんですが、カメとの最大の違いは甲羅にあります。
カメの甲羅は背骨が変化したのでとても硬い性質があるのに対し、すっぽんの甲羅は皮膚であるため、質感は柔らかく、ゴムのように弾力があります。
すっぽんの先祖はカメと同じような甲羅を持っていたのですが、砂泥の中を移動するには固くて重たい甲羅が不便になり、次第に退化していったと考えられています。
現在、すっぽんのように皮膚の甲羅をもつカメは、世界に3種類しかいません。
ウミガメであるオサガメと、すっぽんもどきと呼ばれるブタバナガメです。
またカメの指は5本ありますが、すっぽんの指は3本しかないことも、特徴の一つです。
さらに、すっぽんとカメは目の位置も違い、すっぽんの目カメよりも上方に向いています。
これは、砂泥の中に潜むすっぽんが、頭上を通過する小動物を探しやすくするためです。
そしてもう一つの特徴として「噛んだら離さない」というのもあります。
ただしこれは少し誤解のある表現で、本当は噛む力がとても強いのが特徴といえます。
例えば指を噛まれたとしても、水の中にすっぽんごと指を入れると、すっぽんは噛むのをやめ泳いで逃げていくようです。
一方のカメは、顔の前に指を出すと、驚いて首を甲羅の中に引っ込めてしまうので、そもそも噛まれることが少ないようです。
そもそもすっぽんは、とても臆病な生き物であるといわれています。
顔の前に指を出されると、怖くて噛みついてしまうのかもしれません。
このように、すっぽんとカメはよく似た生き物ではありますが、いくつかの違いがあるのです。
では、人はいつの時代から、すっぽんを認識していたのでしょうか。
江戸時代の中期に作られた和漢三才図会※では、すでにすっぽんとカメは甲羅の書き方が著しく異なる形で描かれていたそうです。
和漢三才図会には10種類余りのカメが取り上げられていますが、すっぽんにはカメの甲羅にあるような六角形や鱗板状の鱗片が、描かれていなかったといわれています。
つまり、日本においては江戸時代の中期にはすでに、すっぽんとカメは見た目上の区分がなされていたことになります。※1、2
※和漢三才図会:江戸時代中期に編纂された日本の書物で、現在でいう百科事典にあたるもの

※1 千田稔・宇野隆夫編  亀の古代学 東方出版 2001年3月発行
※2 川上行蔵、西村元三郎監修 1990年8月初版発行 日本料理由来辞典 中 同朋者出版

すっぽんにも地域性がある?

関西ではまるとよばれるすっぽん

現在のところ、すっぽんは3種類いることが分かっており、昔から日本にいるすっぽんの在来種は、ニホンスッポンという種類です。
大きなくくりでは、すっぽんはカメ目という分類になりますが、動物の分類基準ではすっぽん科に分類されるため、カメとは近しいけれど違う種類の生き物です。
そもそも、日本ですっぽんがブームになったのは、江戸時代です。
この時代の料理書である料理物語という書物には、真亀(すっぽん)は吸い物と刺身が美味しいと記されていました。
すっぽんを食す文化は、この頃から日本の文化として定着してきました。
ただ、江戸時代には「真亀」と表現されていたすっぽんは、いつからそう呼ばれるようになったのかがはっきりしていません。
また現在では、関東ではすっぽんという呼び方に馴染みがありますが、関西では甲羅が丸いことからマルと呼ばれることがあります。
さらに、中国では鱉(ビエ)と呼ばれますが、同じように甲羅の形から元菜(ユァンツァイ)、円菜(ユァンツァイ)などとも呼ばれています。※1、2

すっぽんの生態と食材としての利用

ニホンスッポンは本州、四国、九州地方に分布しています。
ウナギの養殖で有名な浜名湖では、すっぽんの養殖も行っています。
温度と乾燥の関係から、ニホンスッポンが津軽海峡を越えることは難しく、北海道には存在しないのだそうです。
たとえ誰かがニホンスッポンを北海道に運んだとしても、北海道で生きていくことは難しく、自然に繁殖していくことは不可能でしょう。
ニホンスッポンは主に食用とされるため、養殖場での養殖も行われています。
その見分け方としては、甲羅が黄色いものが天然物で、青いものは養殖と考えると良さそうです。
また、すっぽんの需要期は寒い間の10月から4月
特に「旬」にあたる冬眠直前の時期は、脂のくどさがなくなります。
すっぽんの中で食べられない部分は、膀胱と胆嚢、爪のみです。
それ以外の部位は余すところなく利用されるため、古来より肉だけではなく、甲羅や内臓、卵、血液などすべてが珍重されてきました。
とはいえ、丸ごとを食すわけではなく、予め「捌く(さばく)」必要があります。
まず、体を裏返しにし、首を伸ばしたところで包丁を首に差し込み、体を逆さまにして血抜きを行います。
血が抜けたら甲羅を丸く切り取り、内臓、膀胱、胆嚢を取り除きます。
続いてお腹側の甲羅を切り、足の爪を切り捨てながら、足も取ります。
すっぽんの身はとても美味しく、よい出汁もでるのですが、腸は珍味とされ百尋(ひゃくひろ)と呼ばれています。※1、2、3

※1 千田稔・宇野隆夫編 亀の古代学 東方出版 2001年3月発行
※2 川上行蔵、西村元三郎監修 日本料理由来辞典 中 同朋者出版 1990年8月発行 
※3 料理食材大辞典 主婦の友社 1996年7月発行

すっぽんの栄養成分とその摂り方

すっぽんの栄養成分

高級食材であり、庶民はあまり口にする機会のないすっぽんですが、実際にはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。
まず、100gあたりのカロリーをみてみると、鶏肉(もも皮付き、生)は253kcal、豚(ロース脂身付き、生)は263kcalなのに対し、すっぽんは197kcalとなっており、とてもヘルシーな食材です。
さらにすっぽんには、鶏肉や豚肉よりもビタミンB1、ビタミンB2を多く含みます。
中でもビタミンB1は、偏った食生活の現代社会において、日本人に不足しがちな栄養素の一つになってしまいました。
ビタミンB1には元々、食べたものから速やかにエネルギーをつくり出す働きもあるため、不足すると元気な毎日を送ることが難しくなってきます。
すっぽんと他の食材のビタミンB1含有量を比較すると、鶏肉では100gあたり0.07mg、豚肉では100gあたり0.69mgとなっていますが、すっぽんには100gあたり0.91mg含まれています。
また、ビタミンB2では鶏肉100gあたり0.23mg、豚肉100gあたり0.15mに対し、すっぽんは0.41mgです。
この他にも、すっぽんにはカルシウムや鉄、リノール酸、葉酸なども豊富に含まれています。
元気な体をつくるアミノ酸も含まれているといわれており、すっぽんはとても栄養バランスのよい食材といえます。
ただし、天然のすっぽんは衛生管理の行き届いた養殖場とは異なり、寄生虫やウイルスを保有している可能性があります。
仮に、自然の中で天然のすっぽんを見つけても、刺身や生き血など、生で食べるには注意が必要です。
では、すっぽんにはどのような食べ方があるのか見てみましょう。※2、3、4

すっぽん料理はたくさんある

すっぽん料理といえば、鍋と答える人が多いのではないでしょうか。
関西ではマルと呼ばれるすっぽんですが、鍋になってもこの呼び方はかわらず丸鍋と呼ばれることがあります。
すっぽん鍋は、他の鍋と異なり、あまり材料を入れないことが多いのですが、香りの強い春菊やゴボウ、ネギなどを加えることはあります。
また、すっぽん仕立てと呼ばれる、すっぽんを用いた汁もあります。
別名では丸仕立てともいわれ、すっぽんをはじめ、おこぜやこち、ナマズ、アナゴなどの旨味はあるものの、少し癖のある材料を酒でしめてから出汁を入れ、吸い物にする仕立て方です。
他にも、すっぽん煮といわれるすっぽんの煮物もあります。
これは別名丸煮ともいわれ、皮を除いたすっぽんを霜降りにし、野菜と油炒めにして酒、みりん、砂糖、醤油でこってりと煮あげたものです。
すっぽん煮はその色合いから、べっこう煮ともいわれています。
中国の上海料理では、すっぽんのスープ蒸しがあります。
この料理では、スープは澄み、すっぽんの型崩れもありません。
また、広東料理にはすっぽんの土鍋煮があります。
そもそも、食は個人的なものであり、社会が関与するものではありませんでしたが、飽食でありながらも深刻な食の乱れから健康を害することや、食料自給率の低下など、社会全体の問題となってきました。
そのため、特に子供に対しての食育が、日本全国で叫ばれるようになりました。
このような中、郷土料理講習会として大分県の宇佐市のとある高等学校では、毎年調理室ですっぽん料理を実施しています。
郷土料理の講習会では、最初は戸惑いながらすっぽんに接していた生徒たちも、すっぽんを捌くことで目の前で消えていく命を実感し、命を頂くことのありがたさと、同時に食べ物を粗末してはいけないことを改めて学んでいくといいます。
すっぽんの魅力と郷土の食文化を伝承する重要性でも、この取り組みはとても素晴らしいもので、さばき方だけではなく、すっぽん料理の歴史や文化などにも触れることができます。※2、3、5

※4 文部科学省 食品成分データベース 『すっぽん』 / 2019年5月30日閲覧
https://fooddb.mext.go.jp/
※5 農林水産省 食育月間以外の月の取組(6月を除いた4月~12月までの実績) / 2019年5月30日閲覧
http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/gekkan/attach/pdf/gekkan2-120.pdf
※2 川上行蔵、西村元三郎監修 日本料理由来辞典 中 同朋者出版 1990年8月発行
※3 料理食材大辞典 主婦の友社 1996年7月発行

高級食材のすっぽんは手軽に摂取できるのか?

日本におけるすっぽん食事情

日本国内で食べられているすっぽんは、そのほとんどが養殖です。
すっぽんは完全養殖ができ、商品価値も高いため、古くから有望な養殖業であるとされてきました。
しかし、すっぽんは養成期間が4~5年と長いことや、親や種が多くは無く、養殖技術が困難などの問題もあり、発展の妨げとなっています。
例えばすっぽんの孵化では、卵が乾燥しないよう水に浸かるように行った場合の孵化率が低く、さらに害敵の防除対策が必要などの問題点がありました。
近年のさまざまな技術の発展により、これらの孵化方法の改良策として孵卵器内を使用すると、卵を出したまま孵化させることができるため、解決できるとされています。
また、成長段階では水温が22℃以上の月にはよく育つため、養殖場によっては養成期間が約半分の2年に短縮されることもわかりました。
しかし、養殖におけるすっぽんの病気という課題が残されています
これに関しては、今後も継続して病理学的な調査や疾病対策が必要とされています。※1、6

すっぽんパワーを摂り入れるために

前述の通り、すっぽんには、思った以上にいろいろな食べ方があります。
しかし高級品とされるすっぽんは、栄養価に優れているといっても、頻繁に口にするのが難しい食材です。
外食では高級すぎて日常的に口にするこができず、かといって家庭で手軽にというにも近所のスーパーで店頭に並んでいるということもないため、なかなか手にすることは難しいでしょう。
また、すっぽんが手軽に手に入ったとしても、素人ではなかなか調理ができるものでもありません。
すっぽんは日常的に口にすることは難しいのですが、すっぽんの持つ元気パワーを毎日気軽に摂取したい場合には、すっぽんを丸ごと鍋用食材に加工したものや、すっぽんから抽出されたエキスを利用したもの(すっぽん鍋のスープなど)が市販されています。
すっぽんのもつ元気パワーは、時には外食で豪華に楽しみ、普段の食事にはこうしたものを取り入れるのも良いでしょう。※3、4

※4 文部科学省 食品成分データベース 『すっぽん』/2019年5月30日閲覧
https://fooddb.mext.go.jp/
※6 J-STAGE 亜熱帯地域のスッポンの養殖技術の研究-Ⅰ/2019年5月30日閲覧
https://www.pref.okinawa.jp/fish//kenkyu/jigyohokoku-data/jihous47_48/69_70.pdf
※1 千田稔・宇野隆夫編 亀の古代学 東方出版 2001年3月発行
※3 料理食材大辞典 主婦の友社 1996年7月発行

まとめ

一般的には、すっぽんを口にする機会は少ないかもしれません。
しかしすっぽんは、味だけではなく、たくさんの栄養素を摂り入れることができる食材です。
料亭で鍋や雑炊、スープといった味を楽しむだけではなく、すっぽんを家庭用に加工した食材などを利用し、毎日の溢れるパワーに役立ててみてはいかがでしょうか。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
公開日:2019.11.14
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