ラクトフェリン聞いたことあるけど何か知ってる?

公開日:2019.04.17

妊婦さんや乳幼児のママさんなら、一度は聞いたことがあるかもしれない「ラクトフェリン」。
母乳や牛乳に含まれる成分ですが、赤ちゃんの為だけの成分ではありません。
ヒトであれば誰でも、少なからずお世話になっている、ラクトフェリンのスゴイ力をお伝えします!

目次

  1. ラクトフェリンってなに?
    • ラクトフェリンは「乳」の中にある「鉄」
    • ラクトフェリンは1900年代前半に発見された
    • 考えるタンパク質、ラクトフェリン
    • ラクトフェリンが増やす菌って?
  2. ラクトフェリンはどこにあるの?
    • ラクトフェリンはヒトの母乳にたくさんある!
    • 牛乳よりも母乳、でも粉ミルクも頑張っている
    • お魚に与えると、表面のヌルヌルがアップ?
  3. 自然界のラクトフェリンは、どこにある?
    • 「乳」なら何でも良いわけではないらしい
    • ラクトフェリンを多く含む食品
    • ラクトフェリンの抽出法アレコレ
  4. ラクトフェリンで健やかな生活を
    • ラクトフェリンで、体の内側から元気になる!
    • オトナである私たち、ラクトフェリンはこうやって摂ろう
    • ただし、摂りすぎると良くないヒトもいるらしい
  5. まとめ

ラクトフェリンってなに?

ラクトフェリンは「乳」の中にある「鉄」

「ラクトフェリン」という言葉、聞き慣れている人はどれくらいいるでしょうか。
最近では、ベビー用品売り場などでも時々この言葉を見かけることがあります。
そう、ラクトフェリンとは、赤ちゃんにも関係する言葉なのです。
「ラクトフェリン」の語源は、「ラクト=乳」+「フェリン=鉄」であり、乳の中にある鉄のことを指します。
元々は牛乳の中から見つかったのですが、現在では牛乳、乳製品の他、母乳にも含まれていることが分かっています(詳しくは後述します)。
さらに、赤ちゃんを育てるための「育児ミルク」にも配合されることが増えてきたため、べビー用品売り場で見かけるようになってきたのです。※1、2、3

ラクトフェリンは1900年代前半に発見された

では、ラクトフェリンの歴史について、みていきましょう。
ラクトフェリンは、1939年にデンマークの化学者によって発見されたと言われています。
当時は、「牛乳の中にある“赤いタンパク質”」といわれていました。
これは、ラクトフェリンが鉄分と結合しやすい性質をもっており、赤みがかって見えるためです。
そこから30年近くの間、ラクトフェリンは“赤いタンパク質”という名前で呼ばれていました。
ところがその後、“赤いタンパク質”の研究が進むようになり、1960年代に入った頃に単離※1され、「ラクトフェリン」という名前が新たに付けられたといわれています。
それから10年ほどがすぎた頃、日本のある粉ミルクを製造しているメーカーは、ヨーロッパに作った施設で研究を進め、ラクトフェリンを大量に精製する技術を確立させます。
やがてこのメーカーは1986年、世界初の「ラクトフェリン入り粉ミルク」を発売しました。
当時の粉ミルクは、含まれる成分により、母乳には遠く及ばない、といわれていました。
粉ミルクで育つ赤ちゃんよりも、母乳で育つ赤ちゃんの方が、健康で丈夫だったためです。
しかし、母乳育児が難しい場合、どうしても粉ミルクを使用することになるため、母乳により近い、健康な体をつくる粉ミルクの登場が待たれていました。
それを叶えたのが、世界初の「ラクトフェリン入りの粉ミルク」だったのです。※2、3
※単離(たんり):さまざまな物質がまとまっている中から、目的の一つの物質を取り出すこと。

考えるタンパク質、ラクトフェリン

ラクトフェリンには、細菌の繁殖を助けると同時に、いくつかの細菌については増殖を抑制する働きがあるといわれています。
現在のところラクトフェリンには、私たちの体にとって「良い反応を起こす菌」を増やし、「悪い反応を起こす菌」を増やさない、という働きがあることが分かっています。
ラクトフェリンを始めとするタンパク質は、体の中で細菌と出会うたびに、さまざまな反応を起こしています。
私たちの体にとって良い反応がくりかえされることで、健康な生活が送れているのです。
中でもラクトフェリンは、出会った菌が私たちの体にとって「良い反応を起こす菌」なのか、「悪い反応を起こす菌」なのかをしっかりと見分け、その後の反応の仕方を正反対のものに変えているのです。※3、4

ラクトフェリンが増やす菌って?

ラクトフェリンが「良い反応を起こす菌」を増やし、「悪い反応を起こす菌」を増やさないのは前述の通りです。
ではその仕組みをみてみましょう。
ある「悪い反応を起こす菌」の中にラクトフェリンを入れると、その菌が凝集※し、やがて死滅することが分かってきました。
どうやら、ラクトフェリンは、この「悪い反応を起こす菌」のもつ「鉄分」を奪っているようです。
この現象は動物の腸管内でも確認できたため、ラクトフェリンには「悪い反応を起こす菌」を追い出す働きがあることがわかりました。
さらに、ラクトフェリンには「良い反応を起こす菌」を増やす効果が確認されています。
ラクトフェリンは体内に入ると、消化酵素と反応して「ラクトフェリシン」と呼ばれる物質に代わります。
ラクトフェリシンとラクトフェリンには、機能がオーバーラップしていることが分かっており、最初にラクトフェリンとして、さらに消化されて今度はラクトフェリシンとして、働いていると考えられています。
しかし、ラクトフェリンがなぜ「良い反応を起こす菌」を攻撃せず、逆に増やす働きをしているのか、その理由はまだ分かっていません。
これからの研究課題となっているようです。※4、5、6、7
※凝集(ぎょうしゅう):液体などの中にある物質(粒子など)が集まってきて、固まりになること。

※1 J-STAGE 技術用語解説 ラクトフェリン(lactoferrin) / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/53/3/53_3_193/_pdf/
※2 公益財団法人 日本ビフィズス菌センター/腸内細菌学会 用語集 ラクトフェリン / 2019年1月17日閲覧
http://bifidus-fund.jp/keyword/kw017.shtml
※4 公益財団法人 日本ビフィズス菌センター/腸内細菌学会 用語集 ラクトフェリシン / 2019年1月17日閲覧
http://bifidus-fund.jp/keyword/kw016.shtml
※5 J-STAGE ラクトフェリンの生理機能 川瀬 興三、寺口 進
https://www.jstage.jst.go.jp/article/milkscience/45/4/45_A-75/_pdf
※3 木戸康博/桑波田雅士/中坊幸弘・編 2017年2月発行 栄養科学シリーズNEXT 基礎栄養学第3版 講談社
※6 蒲原 聖可著 2010年3月発行 サプリメント辞典第3版 平凡社
※7 中嶋 洋子 蒲原 聖可監修 2017年10月 これは効く!食べて治す 最新栄養成分辞典 主婦の友社

ラクトフェリンはどこにあるの?

ラクトフェリンはヒトの母乳にたくさんある!

ではラクトフェリンと母乳との関係を見ていきましょう。
前述の通り、母乳には赤ちゃんを健康で丈夫に育てる働きがありますが、ラクトフェリンは、この母乳にもっとも多く含まれているといわれています。
ラクトフェリンの研究が進むにつれ、母乳意外にも、ラクトフェリンは存在していることが分かっています。
例えば、涙、膵液(膵臓からの分泌液)、胆汁(胆嚢からの分泌液)、唾液などです。
しかしその含有量を見ると、母乳にもっとも多く存在していることが分かります。
・母乳:1~3㎎/ml
・涙:0.7~2.2mg/ml
・膵液:0.5mg/ml

・胆汁:10~40μg/ml
・唾液:5~20μg/ml
生まれてすぐの赤ちゃんは、とても弱い存在です。
しかし、お母さんの母乳を飲むことで、元気に丈夫に育っていきます。
ラクトフェリンは、母乳の中でも産後数日のうちに分泌される「初乳」に、もっとも多く含まれています。
その量は、産後数週以降の、なんと約3倍もあるのです!
赤ちゃんは、生まれた時から腸内にある程度の「良い反応を起こす菌」が存在しています。
しかし出産時に、お母さんから「悪い反応を起こす菌」を受け継いだり、出生時の状況によっては「良い反応を起こす菌」がなかなか増えなくなることがあります。
そんな時にお母さんから、ラクトフェリンをたくさん含んだ母乳(初乳)をもらうことで、お腹の中で一生懸命、「良い反応を起こす菌」を増やしているのです。※1、3、8、9、10、12

牛乳よりも母乳、でも粉ミルクも頑張っている

では、私たちがもっとも簡単に手にすることができる乳、牛乳はどうでしょうか。
もちろん、牛乳にもラクトフェリンは含まれています。
しかし、その含有量は、母乳には及びません。
前述の通り、母乳には1~3㎎/mlのラクトフェリンが含まれますので、コップ1杯、およそ100mlの母乳にはラクトフェリンが100~300㎎、含まれているのだそうです。
初乳はその3倍ですから、母乳100mlあたり、およそ600㎎のラクトフェリンが含まれていることになります。
しかし牛乳の含有量を見ると、02㎎/ml、コップ1杯、およそ100mlの牛乳には、20㎎程度しか含まれていません。
牛も子牛を育てるために母乳を出しますが、その初乳にも80㎎/100mlくらいしか、ラクトフェリンは含まれていないそうです。
尚、粉ミルクにもラクトフェリンを添加したものがありますが、それでも粉ミルク100gあたり80㎎くらいですので、母乳ほどではないことが分かりますね。※1、3、11、13

お魚に与えると、表面のヌルヌルがアップ?

ところで、哺乳類の乳に多く含まれるラクトフェリンは、他の生物にもあるのでしょうか。
実は、魚類などはラクトフェリンを持っていないことが分かっています。
しかし、いくつかの研究により、魚の水槽にラクトフェリンを与えると、その水槽での死亡率が低くなる傾向があることが分かっています。
さらにある研究では、いくつかの種類の魚の水槽にラクトフェリンを与えたところ、いずれの魚種でも死亡する魚が少なくなる傾向が確認され、さらに体表面の粘液成分の分泌量がアップしたのだそうです。
魚にとって、体表面を保護する働きのある「粘液成分」は、生きていく上で非常に重要なものです。
ラクトフェリンにより、これが活性化され、元気に泳ぎ回ることが出来ることは、魚にとって健康で長生きすることを意味します。
ラクトフェリンには、乳を必要とする哺乳類以外にも、役立つ働きがあるということですね。※6、14

※1 J-STAGE 技術用語解説 ラクトフェリン(lactoferrin) / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/53/3/53_3_193/_pdf/
※8  J-STAGE 九州歯会誌 62(6):253~256, 2009. 多機能タンパク -ラクトフェリン‐ 中島 啓介 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kds/62/6/62_6_253/_pdf/-char/ja
※9  J-STAGE  Milk Sciense Vol.61,No.2 2012 機能性食品素材としての鉄・ラクトフェリンの応用 上 野 宏 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/61/2/61_105/_pdf/-char/ja
※10  J-STAGE 日本網内系学会会誌 正常ヒト血球におけるラクトフェリンの局在 斎藤 永仁、竹森 信男、立花 法子、林下 尚之、桜田 恵右、宮崎 保 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslrt1961/28/1/28_1_121/_pdf/-char/ja
※12  J-STAGE 膜(MEMBRANE), 30(4),192-197(2005) 膜技術を活用したラクトフェリンの製造 田村 吉隆、齋藤 仁志 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/membrane/30/4/30_192/_pdf/-char/ja
※13 森永乳業の研究開発 研究開発ストーリー / 2019年1月17日閲覧
https://goo.gl/nYH8yJ
※14  J-STAGE ラクトフェリン投与による海産魚の体表粘液分泌充進 角田 出、佐藤 利夫、川口 明廣 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/swsj1965/51/1/51_51/_pdf/
※3 木戸康博/桑波田雅士/中坊幸弘・編 2017年2月発行 栄養科学シリーズNEXT 基礎栄養学第3版 講談社
※6 蒲原 聖可著 2010年3月発行 サプリメント辞典第3版 平凡社
※11 中村 丁次監修 2015年7月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版

自然界のラクトフェリンは、どこにある?

「乳」なら何でも良いわけではないらしい

ラクトフェリンは前述の通り、牛乳にも多く含まれています。
つまり、牛乳や乳製品から摂れば良いわけです。
しかしラクトフェリンはタンパク質ですから「熱に弱い」という特徴があります。
従って、加工の過程で熱を加える乳製品では、タンパク質が壊れてしまうためラクトフェリンの含有量は減ってしまいます。
乳製品などからラクトフェリンを摂るときは、加熱加工をしていないものを選ぶと良いでしょう。※7、15、16

ラクトフェリンを多く含む食品

乳製品の中でも、65℃30分以上の加熱処理※をしないもの、ヨーグルトやナチュラルチーズなどには、多く含まれているとされます。
例えば、ナチュラルチーズの場合、100g中に300㎎程度、ラクトフェリンが含まれているそうです。
また、「ラクトフェリンを添加したヨーグルト」という食品もあります。
ラクトフェリンはそもそも、牛乳から分離された上澄み液(ホエイといいます)から抽出されますので、ヨーグルトなどに後からラクトフェリンを追加することもできるのです。
あるヨーグルトには、1つの製品(112g)中、100㎎のラクトフェリンが含まれています。
ただし、同じ乳製品の中でも、ゴーダチーズやプロセスチーズは、製造工程の中に「加熱処理」があるため、ラクトフェリンの含有量は少なくなっています
※65℃30分以上の加熱処理:ラクトフェリンが失活してしまう温度と時間です。※6、8、11、17.

ラクトフェリンの抽出法アレコレ

ラクトフェリンは、「ホエイ」と呼ばれる牛乳の上澄み液から抽出されます。
ココに必要な技術は、ズバリ「膜」です。
日本の粉ミルクメーカーが、1960年代後半頃からヨーロッパの施設で研究を始めたときも、この「膜」を使った技術でラクトフェリンの分離に成功しています。
当初は、チーズ製造における副産物である「チーズホエイ」から、ラクトフェリンの分離技術を確立しました。
また、分析技術等の進歩により、イオン交換という方法も追加され、現在ではこれらの方法を組み合わせながら、ラクトフェリンは抽出され、さまざまな用途に利用されています。※3、12、18

※8  J-STAGE 九州歯科誌 62(6):253~256, 2009. 多機能タンパク -ラクトフェリン- 中島 啓介 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kds/62/6/62_6_253/_pdf/-char/ja
※12  J-STAGE 膜(MEMBRANE), 30(4),192-197(2005) 膜技術を活用したラクトフェリンの製造 田村 吉隆、齋藤 仁志 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/membrane/30/4/30_192/_pdf/-char/ja
※15  J-STAGE  Milk Sciense Vol.62,No.2 2013 ラクトフェリンに夾雑する成分のプロテオーム解析 川上 浩、早川 江、永田 宏次、田之倉 優 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/62/2/62_29/_pdf/-char/ja
※16  J-STAGE  Milk Sciense Vol.62,No.3 2013 ラクトフェリンの生体防御作用に関する研究 織田 浩嗣 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/62/3/62_105/_pdf/-char/ja
※17  J-STAGE  Milk Sciense Vol.64,No.3 2015 免疫流動食へのウシラクトフェリンの配合 武田 安弘、瀬戸 菜実子、橋本 潤一、篠田 一三、高瀬 光徳、東 徳洋 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/64/3/64_223/_pdf/-char/ja
※18  J-STAGE  Milk Sciense Vol.61,No.2 2012 機能性食品素材としての鉄・ラクトフェリンの応用 上野 宏 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/61/2/61_105/_pdf/-char/ja
※3 木戸康博/桑波田雅士/中坊幸弘・編 2017年2月発行 栄養科学シリーズNEXT 基礎栄養学第3版 講談社
※6 蒲原 聖可著 2010年3月発行 サプリメント辞典第3版 平凡社
※7 中嶋 洋子 蒲原 聖可監修 2017年10月 これは効く!食べて治す 最新栄養成分辞典 主婦の友社
※11 中村 丁次監修 2015年7月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版

ラクトフェリンで健やかな生活を

ラクトフェリンで、体の内側から元気になる!

ところで、人間の腸管には、非常に多くの「細菌」がすんでいます。
これらは菌種ごとにまとまりを作り、腸管の内側の壁にびっしりと張り付いています。
これを「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼びますが、実際に腸内にすんでいる細菌は100兆から1000兆個、重さにして1~2㎏ほどあります。
腸内フローラを構成する細菌の種類は人によって異なりますが、その働きから大きく3つに分けることが出来ます。
増えることで私たちの体を守るように働く「良い反応を起こす菌」、増えすぎると体に悪影響を与える「悪い反応を起こす菌」、状況によってどちらかの見方をする、どっちつかずの菌です。
人の体にとっては、良い反応の菌2・悪い反応の菌1・どっちつかずの菌7 のバランスで腸内フローラが形成されると良いとされています。
しかし、生活環境の乱れやストレス、食事内容などによって、このバランスは日々変化しています。
私たちが長く健康に過ごしていくためには、これらのバランスを上手く維持していくことが必要なのです。※3、19
現在、ラクトフェリンには、いくつかの「良い反応を起こす菌」を増やす効果があることが分かっています。
ラクトフェリンは考えるタンパク質ともいえますので、体の中に入ると、自分自身がターゲットとする細菌を探しだします。
そして、ターゲットとなる細菌を見つけると、特定の細菌の繁殖を助けるだけではなく、逆にいくつかの細菌の繁殖を抑える、という働きをしているのです。※8、13、16、19

オトナである私たち、ラクトフェリンはこうやって摂ろう

オトナである私たちは、母乳からラクトフェリンを摂るわけにはいきませんので、ラクトフェリンを多く含む食品から、その成分を摂ることになります。
しかし前述のように、ラクトフェリンは「熱に弱い」成分です。
牛乳やナチュラルチーズ、ラクトフェリンを添加したヨーグルトなどから、ラクトフェリンを摂る必要があります。
また、ラクトフェリンは毎日少しずつ摂ることが良いとされていますので、コップ1杯の牛乳やヨーグルトなどを、毎日摂る習慣をつける必要があります。※18、19、20

ただし、摂りすぎると良くないヒトもいるらしい

ラクトフェリンは、元は牛乳や母乳に含まれる成分ですから、人や動物の体にとって悪い影響を与えることは考えにくい成分ではあります。
例えば、内閣府の食費安全委員会が公表している資料では、2,000㎎/kg体重/日、体重50㎏の人なら100,000㎎(100g)くらいまでは、1日のうちで摂取しても毒性はないとされています。
これは、動物での実験の結果ではありますが、今のところはこれらくらいの量をとっても、人体への直接的な影響は少ないと考えられています。
ただし、中には一時的に体調を崩す人もいます
ラクトフェリンは、腸内での細菌が占める割合を少し変えるため、大腸での水分の吸収量が変わります。
また、加熱殺菌しない牛乳やナチュラルチーズなどでお腹の調子が変わる人は、ラクトフェリン摂取に対し、少しだけ慎重になる方が良いかもしれません。
いきなりたくさんのラクトフェリンを摂るのではなく「少し試す」ことから始め、体調を崩すことが無ければ増やしていくようにすると良いでしょう。
1日の推奨摂取量は特に決まっているわけではありませんが、ラクトフェリンの効果を引き出すための最小量は、1日あたり150㎎程度であるといわれています。※19、21、22

※8  J-STAGE 九州歯科誌 62(6):253~256, 2009. 多機能タンパク -ラクトフェリン- 中島 啓介 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kds/62/6/62_6_253/_pdf/-char/ja
※13 森永乳業の研究開発 研究開発ストーリー / 2019年1月17日閲覧
https://goo.gl/nYH8yJ

※16  J-STAGE  Milk Sciense Vol.62,No.3 2013 ラクトフェリンの生体防御作用に関する研究 織田 浩嗣 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/62/3/62_105/_pdf/-char/ja
※18  J-STAGE  Milk Sciense Vol.61,No.2 2012 機能性食品素材としての鉄・ラクトフェリンの応用 上野 宏 / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/61/2/61_105/_pdf/-char/ja
※20  J-STAGE  Milk Sciense Vol.61,No.2 2012 生体内に受容体をもつ乳タンパク質の生物学的意義 川上 浩  / 2019年1月17日閲覧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/61/2/61_125/_pdf
※21 臨床ラクトフェリン研究会 ラクトフェリンに関するQ&A 3.ラクトフェリン服用時の注意点、服用方法 / 2019年1月17日閲覧
http://www.clinical-lactoferrin.com/clinical/q3.html
※22 食品安全委員会 動物用医薬品評価書 ラクトフェリン / 2019年1月17日閲覧
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_douyaku1_lactoferrin_240223.pdf
※3 木戸康博/桑波田雅士/中坊幸弘・編 2017年2月発行 栄養科学シリーズNEXT 基礎栄養学第3版 講談社
※19 日本乳酸菌学会編 2010年12月発行 乳酸菌とビフィズス菌のサイエンス 京都大学学術出版会

まとめ

今回は、ラクトフェリンはどういう成分なのか、どんな食材に含まれているのか、ご紹介しました。

同じ乳製品でも、チーズになるといくつかの種類にしか含まれなくなるラクトフェリン。
毎日の食卓で手軽にラクトフェリンを摂るなら、ヨーグルトからもおススメです。
バランスのよい食事で、元気で健やかな毎日を過ごしましょう!

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
公開日:2019.04.17
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