食物繊維で、身体スッキリ快調に!!

公開日:2019.06.17

かつて食物繊維はエネルギーにならないため「役に立たないもの」とされていました。
しかし、食物繊維は近年になっていろいろと身体を元気にする働きがあるとわかってきました。
たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルに次ぐ第6の栄養素といわれるようにまでなった食物繊維。
食物繊維を知り、健康でスッキリとした毎日を目指しましょう!

目次

  1. 意外と知らない食物繊維
    • きちんと知ろう「食物繊維」
    • 食物繊維の種類と特徴
    • 不溶性食物繊維とは
    • 水溶性食物繊維とは
  2. 食物繊維の力とは
    • 食物繊維と健康
    • 世界に誇れる日本食
  3. 食物繊維を効率よく摂ろう!
    • 食物繊維を多く含む食品
    • 1日に必要な食物繊維の量
  4. まとめ

意外と知らない食物繊維

オルニチンは、えのきなどのきのこ類やキハダマグロなどの魚類にも含まれていますが、「しじみ」がもっとも有名です。

 

きちんと知ろう「食物繊維」

食物繊維は、5大栄養素に次ぐ6番目の栄養素として注目されている栄養素であり、人の消化酵素では消化されにくいものを言います。
その種類も多く、構造も複雑であり、正しく理解している人は少ないかもしれません。
かつての食物繊維は 「ヒトの消化酵素で消化されない植物細胞壁成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)」に限定されたものでした。 ※1
特に数十年前までは、食物繊維はエネルギー源にも身体の構成成分にもならないため「役に立たないもの」と思われてきました。
しかし、食物繊維の機能や生理作用が理解されるようになったことで、次第に広義の意味で解釈がなされるようになり、小腸で消化・吸収されずに大腸に到達する食品成分はすべて、食物繊維に含めるという考え方となりました。※2、3

食物繊維の種類と特徴

不溶性食物繊維とは

不溶性の食物繊維には、以下の6種類があります。

 

【セルロース】
不溶性食物繊維の代表格であり、炭水化物に多く含まれ、繊維の素ともいわれている。
セルロースはほとんど分解されることがなく、水分を吸収して膨らみ、腸まで届く。※2

 

【へミセルロース】
セルロース同様に炭水化物など穀類に多く含まれる食物繊維で、水分を吸収して膨らみ、腸まで届く。※2

 

【ペクチン】
植物に最も多く含まれる食物繊維で、植物の成長過程によって含有量が異なる。
腸内細菌の「えさ」になる。※2

 

【リグニン】
木質素とも呼ばれ、木材に多く含まれる食物繊維で、ポリフェノールとしての機能も持つ。※2

 

【グルカン】
きのこ類に多く含まれる食物繊維で、ブドウ糖(グルコース)を多く含む。
構造などの違いにより、α-グルカンとβ-グルカンに分かれるが、一般的にグルカンといえばβ-グルカンを指す。※2

 

【アルギン酸】
褐色の海藻の主成分になるとされており、海中に含まれるさまざまな成分と結合して塩を形成する。
食品に粘りを与えたり、食感をよくするといった効果がある。※2

水溶性食物繊維とは

食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類に分類されます。

  • 不溶性食物繊維:腸を刺激して食物が消化管を通過する時間を短縮させるが、摂りすぎると下痢を起こす可能性がある
  • 水溶性食物繊維:消化管内で水分を吸って膨張し、小腸で糖と消化酵素を接しにくくし、一部の栄養素は体に摂りこみにくくするが、カルシウムやビタミン、鉄などの吸収を妨げてしまうこともある※1、2

次に水溶性の食物繊維です。


【ペクチン】
植物の細胞同士をつなぎ合わせるいわば接着剤のような役割をもった食物繊維で、不溶性と水溶性、どちらの作用も持つ。
熟した果実に多く含まれており、特に皮の部分に多く含まれる。※2

 

【リグナン】
植物の茎や根、皮や種子など、幅広い部分に分布している食物繊維。
わかめ、こんぶ、ひじき、もずくにも多く含まれる。
ポリフェノールの一種ともいわれている。※2

 

【ムチン】
糖とたんぱく質が結合した物質で、いわゆる「ネバネバ」を作り出す成分。
熱に弱いため、極力熱を通さずに生で食すと良い。※2

 

【アルギニン酸】
水溶性だけではなく、不溶性の食物繊維にも分類される。※2

 

【マンナン】
こんにゃくの主成分で、グルコマンナンという名前で知られている。
水を吸うとゲル化して膨らむため、少しの量でも満腹感を感じる。※2

 

【フコイダン】
フコースと呼ばれる、糖を主成分とした多糖類で、褐色の海藻に多く含まれる「ネバネバ」の元であり、乾燥や外敵から海藻を守る、バリアの役目を持つ。
熱に強いため、幅広い調理方法に適応できることが特徴。※2

※1 J-STAGE 食物繊維 辻 啓介
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber1944/46/10/46_10_P453/_pdf/-char/ja
2018年12月27日閲覧
※2 落合 敏著 2014年10月発行 新しい実践栄養学 主婦の友インフォス情報社
※3 吉岡 有紀子監修 2014年12月発行 やさしい解説でよくわかる 栄養の基本と食事の教科書 池田書店

食物繊維の力とは

食物繊維と健康

食物繊維は「消化酵素で分解されない」成分であり、別名として「難消化性多糖類」や、「ダイエタリーファイバー」などと呼ばれることもあります。
食物繊維には水溶性と不溶性それぞれで、作用に強弱はあるものの、ある程度共通して同じような生理作用が期待できます。※4
まず、食物繊維のもっとも大きな働きとして挙げられるのが「体内の掃除屋」というものです。
私たちが食事をすると、食べた食品は胃から小腸を通り、大腸まで到達、最後に便として体の外へ出ていきます。
例えばタンパク質や糖類などは、この胃から小腸を通り抜けるまでの間に、さまざまな酵素の働きによって分解され、小腸の内側の壁から、少しずつ吸収されていきます。
食べた食品が大腸に到達するころには、食物残渣と呼ばれる「カス」になっているわけです。
さらに大腸では、この食物残渣の中から、余分な水分を吸収し、ほどよい固さの便を作り、排泄します。
これが、多くの食品が便となるまでの流れです。
しかし、食物繊維は少し違います。
まず、その別名が表す通り、「消化が難しい」成分です。
つまり、胃から小腸を通り抜けても、酵素などで分解されることなく、大腸まで届きます。
また、余分な水分を吸い取り、ゲル状になることで、実際に食べた量よりも多くの「食物残渣」の一部となって、大腸まで届くのです。
小腸や大腸の壁の内側には、非常に多くの「シワ」があります。
タンパク質や糖分などは、このシワから吸収されていくわけですが、食物繊維は小腸や大腸を通り抜ける際に、このシワの内側にとどまっている食物残渣を、キレイに巻き取りながら進んでいきます
まるで、腸の内側を、くまなく雑巾がけしているかのように、流されていくのです。
食物繊維が「体内の掃除屋」と呼ばれるのは、このためです。
しかし一方で、食物繊維を含む食材は、その食材そのものに高い栄養価を含んでいるものが少ないという特徴があります。
中にはカロリーがほとんどないというものもあります。
海藻類やキノコ類、葉物野菜などは、イモ類や肉類、魚介類などと比較すると、非常にカロリーが少ない食材です。
食物繊維は、こうした食材に、多く含まれている成分なのです。
そのため、食物繊維を多く含む食材に偏った食生活をすると、人体にとっては「栄養不足」となることが分かっています。
食物繊維は、胃腸をキレイに掃除してくれる成分ではありますが、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることによって、初めて食物繊維の効果を実感することができます。
バランスよく栄養を摂り、食物繊維はあくまでも「健康へのサポートをしてくれるもの」として考えていくと、よいのではないでしょうか。※2、3、4

世界に誇れる日本食

昭和30年代後半頃まで、日本人の食生活は主食である米飯を中心として、魚介類とイモや野菜の煮物、味噌汁、漬物といった構成が主流でした。
このような食生活をしていた頃は、特に意識をしなくても、食物繊維については、しっかりと1日の必要量を確保できていました
主には、味噌汁に含まれる海藻や、煮ものに使われる野菜からです。
しかし、時代が進むにつれて、私たち日本人の食生活は変化し、こってりとした洋風の食事パターンが増え、肉の摂取量の増加、清涼飲料水や菓子類をはじめとする糖分の摂取量増加、そして、主食として親しまれてきた米飯の摂取量減少などの傾向が見られるようになりました。
さらに、昭和30年代後半あたりまで日本人が生活の中で積極的に食べていた「玄米」は徐々に姿を消し、今では多くの家庭が精製された白米を食べるようになっています。
食物繊維は、玄米にも多く含まれていますし、いわゆる「麦飯」の元となる押し麦にも、多く含まれています。
また、みなさんの中で毎日たくさんの野菜サラダ(葉物野菜)を食べている人は、どれくらいいるでしょうか。
これらの背景がもたらす食生活の変化により、日本人の食物繊維の摂取量は大幅に減少してきています。
現在、多くの日本人が意識して食物繊維を摂る食事をしなければ、普通の食生活で1日に必要な量の食物繊維を摂取することは不可能であるといわれています。
また、近年の研究により、食物繊維には「掃除屋」としての働きだけではなく、腸内細菌による分解・発酵を経てエネルギー源となることや、短鎖脂肪酸と呼ばれる成分に変化してさまざまな生理作用をもたらすことが分かってきました
食物繊維の栄養成分としての有用性が証明され、さらには日本食と食物繊維の関係性がわかってきた現在、健康の源である食を見直し、私たち日本人が今一度、伝統的な日本食の良さを意識して、世界に発信していくことが必要なのかもしれません。※3、5、6

※5  e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
2018年12月27日閲覧
※6 公益社団法人千葉県栄養士会 生活習慣病の予防と食物繊維
http://www.eiyou-chiba.or.jp/commons/shokuji-kou/health_and_diet/seikatusyukan_yobou/
2018年12月27日閲覧
※2 落合 敏著 2014年10月発行 新しい実践栄養学 主婦の友インフォス情報社
※3 吉岡 有紀子監修 2014年12月発行 やさしい解説でよくわかる 栄養の基本と食事の教科書 池田書店
※4 中村 丁次監修 2015年7月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版

食物繊維を効率よく摂ろう!

食物繊維を多く含む食品

食物繊維は、その種類によって含まれている食品が異なることが特徴です。
食物繊維の種類とそれを含んでいる食品は以下のようになります。※2

  • セルロース;小麦ふすま、玄米、ゴボウ、おから、エンドウ豆、切り干し大根など
  • へミセルロース:小麦ふすま、玄米、エンドウ豆、ゴボウ、大豆、とうもろこしなど
  • ペクチン:パプリカ、にんじん、グリンピース、トマト、オートミール、りんご、柑橘類、すもも、桃、いちじく、あんず、カシス、カキなど
  • リグニン:ココア、チョコレート、ふすま、豆類、イチゴやラズベリーなどの種の部分、切り干し大根やダイコンなど
  • グルカン:干しシイタケ、マツタケ、なめこ、しめじ、きくらげ、ひらたけ、えのきだけ、大麦など
  • アルギニン酸:わかめ、こんぶ、ひじき、もずくなど
  • リグナン:わかめ、こんぶ、ひじき、もずくなど
  • ムチン:オクラ、モロヘイヤ、つるむらさき、里芋、山イモ、なめこ、納豆などの粘りのある食材
  • マンナン:こんにゃく、海藻、ゾウゲヤシの実など
  • フコイダン:こんぶ、わかめ、めかぶ、ひじきなど

また、ここに挙げたもの以外にも、さつまいも、かぼちゃ、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、小豆などにも、食物繊維は含まれます。
これらは多くの食物繊維を含む食材ではありますが、同時に、特にイモ類はカロリーも高めの食材であるため、多く摂取すれば良い、というわけではありません。
摂りすぎることによって、過剰なカロリー摂取にもつながってしまうからです。
さらに、食物繊維は果実類にも多く含まれているものがありますが、これらを過剰に摂ると、食物繊維だけではなく、果糖も過剰に摂ることになってしまいますので、注意が必要です。※2、3


このように、同じ食物繊維であっても、その種類によって含まれる食品が異なり、野菜や海藻など幅広い分類の食品に含まれているため、前述した食物繊維の特徴と照らし合わせたうえで、実際に食べる食材を選択していくとよいでしょう。
また、無意識に食事をしていても食物繊維は2~3gほど摂取することができるとされています。
しかし、これらの食品を意識して摂ることで、さらに食物繊維の摂取量を増やすことができます。
さらに、特定保健用食品の中にも、食物繊維を多く含んでいるものがあります。
こういった食品も積極的に活用していくことで、効率よく食物繊維を摂ることができるでしょう。※2、3

1日に必要な食物繊維の量

食物繊維の摂取基準量は年齢、性別によって異なります。
厚生労働省では1日当たりの平均目安摂取量として、

  • 30~49歳の男性:20g以上
  • 30~49歳の女性:18g以上
  • 70歳以上の男性:19g以上
  • 70歳以上の女性:17g以上

としており、1日のカロリー摂取量を加味しても1000kcalあたり10gの食物繊維を摂取することが推奨されています。


かつての日本、1950年代の1人当たりの食物繊維平均摂取量は、1日20gを超えていました。
しかし、食生活の欧米化や、ライフスタイルの変化に伴い、年々摂取量は減少しています。
現在では1人当たり平均して、1日に14gほどしか摂取できていないとされています。
食物繊維は、毎日の食事の中で、意識して摂るように心がけましょう。※4、7
ただし、体をスッキリさせてくれる食物繊維ですが、摂りすぎても良くないこともあります。
食物繊維は前述のように、体の中の「掃除屋」です。
もしも、それほど多くのゴミ(食物残渣)が無いにも関わらず、フルパワーで掃除をしたら、どうなるでしょうか。
もちろん、ゴミ(食物残渣)が無くなるのは良いことなのですが、逆に「これから摂りこまれようとしている成分」まで、巻きとって排出してしまうことがあります。
体にとって必要な栄養成分が、上手く吸収されなくなることもあるのです。※2、3

※7 J-STAGE 穀類に含まれる食物繊維の特徴について 青江 誠一郎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/49/5/49_297/_pdf/-char/ja
2018年12月27日閲覧
※2 落合 敏著 2014年10月発行 新しい実践栄養学 主婦の友インフォス情報社
※3 吉岡 有紀子監修 2014年12月発行 やさしい解説でよくわかる 栄養の基本と食事の教科書 池田書店
※4 中村 丁次監修 2015年7月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版

まとめ

普段の食事から必要とされる量の食物繊維を摂るのは、なかなか難しいものです。
なるべく意識して積極的に摂り入れることで、不足しがちな栄養素を補うようにしていきましょう。
栄養のバランスなどを考え、それでも食物繊維の不足を感じるなどの不安がある人は、サプリメントで補っていくのが良いでしょう。
食物繊維を意識して摂ることで、毎日スッキリ元気な身体を作っていきましょう!

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
公開日:2019.06.17
上へ