カテキンの持つ健康パワーとお茶の関係

公開日:2019.10.31

カテキンとは、茶葉などに含まれる植物性化学物質(フィトケミカル)です。
一般的に、植物性の食品には私たち人の体ではつくり出せない、それでいて人の体にとって良い働きをしてくれる成分が、1万種類以上あるといわれています。
中でもカテキンは、私たち日本人はもとより、世界中の人にとってごく身近な成分といえるのです。
カテキンの持つ健康パワーと効果的な摂り方を知り、健康的な毎日を過ごしてみませんか。

目次

  1. カテキンとはどのような栄養素なのか
    • カテキンとは何か
    • カテキンはポリフェノールの一種
    • カテキンを多く含むのは、茶葉だけなの?
  2. カテキンといえば緑茶?
    • 緑茶も紅茶も、元は同じ茶葉から出来ている
  3. 世界中で愛されているカテキン
    • お茶を飲む「喫茶習慣」とは
    • 世界の喫茶習慣を比べてみると
    • 日本人の喫茶習慣
    • 日本人と緑茶の歴史
  4. カテキンを上手に摂るには
    • 日本人なら緑茶から?
    • 緑茶をもっと好きになる
    • 茶とはいえ、摂り過ぎには注意
  5. まとめ

カテキンとはどのような栄養素なのか

カテキンとは何か

カテキンとは、とても分かりやすい表現をするならば「お茶に含まれる成分」です。
お茶も植物から作られるものですが、植物性の食品には3つのはたらきがあります。
1つは体を維持するためのエネルギーやビタミンやミネラル源としてのはたらき、2つ目はその食品を食べた時に口や鼻などの感覚器にはたらきかけ味や香りなどを感じさせるはたらき、そして3つ目が近年認められるようになった生体をさまざまな方向から調節するはたらきです。
この3つ目のはたらきが植物性の食品には含まれており、こうした成分のことをまとめてフィトケミカル(ファイトケミカル)と呼んでいます。
さらにフィトケミカルは、その性質や成分によって次の5つのグループにわけることができます。

  • ポリフェノール類:赤ワインやココアの原料となる植物の色素やアクなどの成分
  •  β‐グルカン:多くのきのこに含まれる多糖類で食物繊維の一種
  • テンペル類:柑橘類などに含まれる香りや苦み成分
  • カロテン類:かぼちゃやにんじんなどの緑黄色野菜など含まれる色素成分
  • イオウ化合物:にんにくやねぎなどの刺激のある香り成分  ※1、2、3

カテキンはポリフェノールの一種

カテキンは、この5つの中ではポリフェノール類に分類される、フィトケミカルです。 ※3
フィトケミカルとはそもそも、植物が紫外線などの有害物質からその身を守るために作り出された成分で、人が体内に取り込むことでその力を享受できると考えられています。
ポリフェノールは多くの植物に含まれる成分であり、現在では5,000種類以上に及ぶともいわれています。さらにポリフェノールは、淡い黄色や単色の色素であるフラボノイド系ノンフラボノイド系に分けられ、カテキンはノンフラボノイド系に分類されています。

実はポリフェノールが現在のような評価を得る以前、カテキンや赤ブドウに含まれるアントシアニンなどは、苦味や渋味の原因だとして避けられていた物質でした。
ポリフェノールを含むが多く含まれる皮や種子といった部分は、食品加工の際に取り除かなければならなかったり、果物などの皮を剥いた後の変色もポリフェノールが原因であるため、ポリフェノールを少なくする品種改良がおこなわれたりと、あまり良いイメージをもたらさない成分として認識されていた成分でした。
しかし1900年代の終わりごろに「ポリフェノールのはたらき」などについて研究成果が相次いで発表されたことを受け、その効果が見直されたという経緯があります。 ※4

カテキンを多く含むのは、茶葉だけなの?

では、カテキンはどのようなものに含まれるのでしょうか。
カテキンとは、日本人にとってなじみ深い緑茶に含まれる渋味や苦味のもととなるもの、たくさんあるポリフェノールの一種です。
カテキンには主に4つの種類があることがわかっていて、苦味をもたらす遊離型の仲間「エピカテキン(EC)」と「エピガロカテキン(EGC)」、苦渋味をもたらすガレート型の仲間「エピカテキンガレート(ECG)」と
エピガロカテキンガレート(EGCG)」です。
この種類の違いは、ポリフェノールの「分子内に複数のフェノール性水素基(-OH)を持つ」という特徴である化学構造の違いによるものです。
この4つのうち茶葉には「エピガロカテキンガレート(EGCG)」が一番多く含まれていて、その含有量は緑茶に含まれる全カテキンの50%程度を占めます。
また、4つのうち「エピカテキン(EC)」は他の食品にも含まれるカテキンですが、他の3つは茶葉特有のカテキンです。※2、3、4
さらに、カカオのカカオマスやブドウの種子、リンゴの果実などにも「エピカテキン」が含まれています。※5

※3 伊勢村 護  静岡県 緑茶と健康のメカニズム~機能効用ナビゲーション2013
https://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-340/documents/mechanism2013.pdf
2019年5月30日閲覧
※4 国民生活センター ポリフェノール含有食品の商品テスト結果
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20000508_1.pdf
2019年5月30日閲覧
※5 厚生労働省 高カカオをうたったチョコレート(結果報告)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/01/dl/s0114-10j.pdf
2019年5月30日閲覧
※1 栄養の基本がわかる図解辞典 中村 丁次 (監修) 成美堂出版 2015年7月発行
※2 おいしいお茶の秘密 三木 雄貴秀(著)SBクリエイティブ 2019年3月発行

カテキンといえば緑茶?

緑茶も紅茶も、元は同じ茶葉から出来ている

お茶といえば緑茶以外にも、紅茶やウーロン茶といったお茶も、よく飲まれています。
緑茶とそのほかのお茶には、どのような違いがあるのでしょうか。

これは意外かもしれませんが、実は先に挙げた3つのお茶の原料となる植物は、同じ種類のものです。
この植物は「チャ」や「チャノキ」と呼ばれるツバキ科属の常緑樹で、学名は「Camellia sinensis」といいます。※6
たくさんの種類が存在している「チャ」ですが、代表的なものが2種類あります。
ひとつは緑茶やウーロン茶としてよく使われる中国種、もうひとつは紅茶としてよく使われるアッサム種です。
中国種主に温帯と呼ばれる気候の国(中国や日本)で栽培されることが多く、これに対してアッサム種インドやスリランカ、インドネシアやケニアなどの熱帯や亜熱帯の地域で栽培されています。
見た目は、中国種が葉の長さ3~5cmで低木、アッサム種が葉の長さが10~18㎝で高木となります。
実際、日本の緑茶の産地では、茶摘みのシーズンになると腰をかがめる体勢で小さな葉を摘んでいるのを思い浮かべることができますよね。
これは元々、日本で栽培されるお茶の木が、低木であることに由来しています。※2、6

さらに2つの種類の違いは、茶葉の製造工程の違いにも関係します。
中国種で作られる緑茶や抹茶は発酵させません(ただし同じく中国種で造られるウーロン茶は半発酵という工程をたどります)。
一方のアッサム種で作られる紅茶は、茶葉を摘んでから乾燥させるまでの間に発酵の工程をたどります。それぞれの種類により、発酵しやすいかどうかという違いがあるようです。※2

ところで、緑茶も紅茶も、茶の楽しみは味わいだけではありません。
その香りもお茶の楽しみではないでしょうか。
現在、お茶の香りに関する成分について同定されている化合物は700種類以上あり、これらは栽培中や製茶の課程で、もともと生の葉に含まれていたテルペン配糖体、脂肪酸、アミノ酸、カロテノイド、カテキン類、リグニン類、糖などの成分が変化したものとされています。
たとえば、玉露など栽培の課程で覆いをして成長させた茶樹は、「覆い香」と呼ばれる海苔のような独特の香りがあります。
これは、製茶の課程で覆いをすることで、アミノ酸の一種であるメチルメチオニンスルホニウム(ビタミンU)が増加し、加熱によりジメチルスルフィドという物質に変化します。
この物質こそが、「覆い香」の原因となる物質なのです。
またウーロン茶や紅茶には花や果物に例えられる香りを持つものがありますが、果物の香りの原因となる物質が複数あることもありますし、そもそもひとつのお茶が持つ香りがいくつもあることもあります。
こうして香りの原因となる要素がいくつも重なり合って、あの複雑なお茶の香りを創り出しているのです。※2

※2 おいしいお茶の秘密 三木 雄貴秀(著)SBクリエイティブ 2019年3月発行
※6 スタジオタッククリエイティブ (著) 日本茶の事典 2013年3月発行 スタジオタッククリエイティブ

世界中で愛されているカテキン

お茶を飲む「喫茶習慣」とは

朝起きて一杯のお茶を飲み、食事とともにお茶を飲み、喉の渇きをいやすためにお茶を飲む、このように生活の中にお茶の習慣が溶け込んでいることを、喫茶習慣といいます。

お茶の起源は、何世紀も昔の中国なのですが、中国の雄大な歴史の中で、お茶は神話や伝承と複雑に絡み合っており、実は確かなことが分かっていません
しかし、紀元前の頃から、人々の間ではお茶の葉を摘み取りそれを煎じて飲むという習慣があったと、中国の古い書物に残されているのだそうです。 ※6、7

世界の喫茶習慣を比べてみると

お茶には多くのカテキンが含まれますが、カテキンという物質が見つかったのは、20世に入ってからです。
しかし日本を含む世界各国では、それよりもずっと以前から、喫茶習慣を楽しんできました。

例えば中国では、貧富に関わらず、昼でも夜で、お茶を飲んでいます。
中国人の家庭では、お茶を飲む容器の中に、茶葉と温度が低めのお湯を入れ、ふたをした状態で出てきます。
もし「おかわりはいかがですか」などと言われたら、それは「早く帰ってほしい」合図となるようです。※6

イギリスはお茶といえば紅茶ですが、イギリスには「アフタヌーン・ティ」という習慣があります。
これは、19世紀の初めごろの食習慣と関係していたようです。
当時の中流階級以上の人たちは、朝食が非常に多く、昼食は軽め、夕食は20時を過ぎたころでした。
そこで、夕方にケーキや紅茶を飲む習慣が出来、これがアフタヌーン・ティという習慣になったといわれています。※6

アメリカには、イギリスの喫茶習慣が、オランダを経て伝わったといわれています。
ニューヨークが、ニュー・アムステルダムから改名された1600年代後半以降、イギリスの「紅茶が楽しめる公園」というスタイルが定着し、その公園周辺は流行最先端の行楽地となりました。
当時、お茶を淹れるための良質な水を売る商売ができ、一時はこの商売が発展し過ぎたために、「茶用の水売りを規制する」という法もできたほどでした。※6

日本人の喫茶習慣

では、日本の喫茶習慣を見てみましょう。
日本でのお茶の楽しみ方は大きく2つあります
1つは日本茶(緑茶やほうじ茶)として茶葉をお湯(または水)で濾して楽しむもの、もう一つは粉状にした茶(抹茶)を点てて楽しむもの、いわゆる「茶道」での楽しみ方です。
抹茶の粉も、同じ茶葉から作られています。※2、6、7

日本人と緑茶の歴史

お茶は西暦800年頃、唐(今の中国)から帰国した最澄によって、日本へ伝えられたとわれています。
その後、1191年頃に栄西禅師が、お茶の健康に対する効果を記した書物を残しています。
当時の日本はまだ「お茶を淹れる」習慣がなく、最初はみな「抹茶を点てる」という飲み方でした。
そして15~16世紀ごろに千利休が「茶の湯」というお作法を確立させ、庶民の間でも喫茶習慣が広がります。
そして1654年に明(今の中国)から帰国した隠元禅師が、釜入りした茶葉に熱湯を注いでお茶を淹れる「淹茶法」を伝えました。
これが庶民に広がり、現在の一般家庭へも受け継がれてきた淹れ方です。
つまり、日本のお茶は「抹茶を点てる」習慣から始まり、後に「お茶を淹れる」習慣が広がった、ということになります。※6、7

※2 おいしいお茶の秘密 三木 雄貴秀(著)SBクリエイティブ 2019年3月発行
※6 スタジオタッククリエイティブ (著) 日本茶の事典 2013年3月発行 スタジオタッククリエイティブ
※7 ロマンス・オブ・ティー -緑茶と紅茶の1600年 W.H.ユーカス 杉本 卓(訳)八坂書房 2018年10月発行

カテキンを上手に摂るには

日本人なら緑茶から?

カテキンは、お茶以外のさまざまな食品にも含まれていますが、もっとも簡単に、手軽に摂取するならば、やはり日本人になじみ深いお茶ではないでしょうか。
カテキンが含まれるお茶にもさまざまな種類がありますが、日本人にとって味、淹れ方ともに緑茶が馴染みやすいかもしれません。※2
緑茶は、急須やティーポットを使うことで簡単に淹れることができますし、近年では、ペットボトル入りの緑茶の種類が豊富になりましたので、手軽に美味しく、さまざまな緑茶を楽しむことができます。

緑茶をもっと好きになる

一言で「緑茶」といっても、実はさまざまな種類があります。
それぞれに含まれているカテキンの量が違います。
カテキン以外にも200種類以上のさまざまな成分が含まれています。
例えば「緑茶」とひとくくりにしてみると、それに含まれる成分のうち、10~15%がカテキンだとされています。
細かくみていくと、煎茶なら15%程度、番茶なら13%程度、玉露茶なら10%程度です。
カテキンは「渋みの成分」といわれますので、より渋いお茶の方が、カテキン含有量が多いと考えられます。
尚、紅茶にもカテキンは含まれますが、その量は5%程度のようです。※8

茶とはいえ、摂り過ぎには注意

日本のことわざに「朝茶は七里帰っても飲め」や「朝茶は福が増す」というものがあります。
これらには、朝のお茶は体を元気にし、福を増すものだから飲んでおけ、という先人の知恵が込められています。
一日を元気に過ごしたり、食事のときに一緒にお茶を飲むことで食事を食べやすくしたりするなどの効果が期待できるからです。※9
しかしこれは逆に、お茶を飲むタイミングによっては、元気になり過ぎてしまうことも意味します。
例えば、朝起きた時や仕事中にお茶を飲むのは良いのですが、寝る直前に飲むことはあまりお勧めできません
また、お茶にはカテキン以外にもカフェインなどが含まれていますし、お茶をたくさん摂るということは、それだけポリフェノール類や水分も多く摂ることになります。
こうしたお茶の特性を踏まえ、自分自身が元気で過ごせる量を考えながら、お茶を楽しむことをお勧めします。
尚、一説によるとカテキンは牛乳に含まれるたんぱく質と結合しやすい性質を持ち、牛乳と一緒に摂るとカテキンの効果が十分に発揮されないともいわれています。※10、11

※10 北海道立消費生活センター 国民生活センターペットボトル入りお茶のカフェインはどれくらい?
http://www.do-syouhi-c.jp/test/kira101otyanokafein.pdf
2019年5月30日閲覧
※11 食品安全委員会 ファクトシート 食品中のカフェイン
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf
2019年5月30日閲覧
※2 三木 雄貴秀(著) おいしいお茶の秘密 2019年3月発行 SBクリエイティブ
※8 島村忠勝 奇跡のカテキン―お茶に潜む驚異のパワー 2000年4月発行 PHP研究所※9 新明解故事ことわざ辞典 第二版 2016年4月発行 三省堂編修所

まとめ

健康長寿を支える大きな要因は、毎日の食事や栄養の摂り方にあります。
中でもお茶は、ことわざにもなるほど古くから、私たちの生活に元気を与えてくれました。
先人の知恵にあやかり、カテキンを日常からしっかり取り入れて、元気で若々しい体を保ちましょう!

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
公開日:2019.10.31
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