骨だけじゃない!マグネシウムは様々な働きを持つミネラルです!!

公開日:2019.03.01

マグネシウムは、私たちの体をつくり出すために必要な、大切な栄養成分です。
マグネシウムが不足すると、体にはさまざまな不調が見られるようになります。
マグネシウムを効率よく摂取するにはどうしたらよいのか、不足するとどのような不調がみられるようになるのかを理解し、毎日の体作りに役立てて下さい。
健康で明るく過ごせる日を1日でも増やすために、まずは自分の体の中でどのようなことが起きているのかを知ることから始めましょう。

目次

  1. マグネシウムってなに?
    • マグネシウムとは
    • 「水の硬度」を決めるマグネシウム
    • 人体の中でのマグネシウム
    • 日本人はマグネシウムが不足している?
  2. 不足すると、どんなことが起こるの?
    • マグネシウムの摂取量とは
    • マグネシウムが不足すると?
  3. 食品に含まれるマグネシウムだけで足りてる?
    • 推奨されるマグネシウムの摂取量
    • マグネシウム摂取量はなぜ不足するのか
    • マグネシウムを多く含む食品
  4. マグネシウムを効率よく摂取しよう!
    • マグネシウムを上手に摂取するには
  5. まとめ

マグネシウムってなに?

マグネシウムとは

マグネシウムは原子番号12の金属であり、元素記号でMgと表します。
マグネシウムは、アルミニウム合金(ごうきん=複数の金属を融合させてつくられる物質のこと)の性質を高めたり、安定させるための「添加剤」として使われており、例えばアルミ缶や携帯電話、ノートパソコンやビデオカメラなど、さまざまな製品の金属部分に使われています。※1、2

「水の硬度」を決めるマグネシウム

マグネシウムは、私たちは普段使っている「水」にも含まれています。
例えば、水の水質基準には「硬度」というものがあります。
水には、主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンが含まれており、水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの合計を、それぞれ炭酸カルシウムで換算したものを「硬度」といい、次の計算式で求めることができます。
硬度=(カルシウム量 mg/L ×2.5)+(マグネシウム量 mg/L ×4)
(カルシウムに2.5、マグネシウムに4をかけることで、炭酸カルシウムに換算しています)
計算の結果、硬度が100mg以下を軟水、101~300mgを中硬水、301mg以上を硬水といいます※1。※1 WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/L以下が軟水、120mg/L以上が硬水
ヨーロッパや北米では硬水が多く存在するのに対し、日本の水道水は、ほとんどが軟水です。※2

 

一般的には、水の硬度を示すカルシウムやマグネシウムは、料理にも影響するといわれています。
軟水は、日本茶や和風料理に適している水ですが、一方の硬水は、洋風料理に適しているといわれています。
例えば、肉を煮込みたい場合には、硬水の方がアクを出しやすいため、肉の臭みが和らぐのだそうです。
和食や洋食、それぞれの地域で違った料理が発展してきた理由として、「その土地の水に合う料理だから」と考えることもできそうです。※3

人体の中でのマグネシウム

さて、マグネシウムは私たちの体にも含まれており、成人の場合、体内に20~25gほど存在しています。
体内にあるマグネシウムのうち、60%程度は骨に含まれており、残りは肝臓や筋肉、血液など、たんぱく質と結びついた形で存在しています。
また細胞内にも含まれていて、体内のバランスをコントロールする上でも、重要な役割を担うミネラル※2です。※2ミネラル:体の中に含まれる元素のうち、金属の性質を持つものをミネラルという。

分かりやすくまとめるなら「元素記号表」にのっているものは、ミネラルに分類される。※2、4
マグネシウムは、カルシウムやリンとともに、骨を構成する重要な成分であると同時に、300種類以上の酵素の働きを助ける役割も担っています。
酵素とは、食事により体の中に入った食物を消化分解し、体の中に吸収された栄養素を、体の各細胞が使いやすいような形に作りかえる働き(=代謝機能)を担っています。
酵素が何らかの働きをするために必要な「活性化」という過程で、マグネシウムが利用されています。
また、私たちの体の中にある炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質は三大栄養素といわれ、人の身体にはなくてはならない重要な栄養素です。
マグネシウムは、この三大栄養素の代謝にも関わっています。
酵素反応からエネルギー生産を行い、たんぱく質や核酸の合成をサポートし、特に炭水化物(糖質)の代謝には、マグネシウムは欠かせない成分です。
また、体内に眠っている栄養素からエネルギーを作り出し、体を活動させるためには、内臓機能の活性化を図る必要がありますが、ここでもマグネシウムは重要な働きをしています。
こういったことから、マグネシウムは人間の生理機能を維持するために、とても重要な成分といえます。※5

日本人はマグネシウムが不足している?

近年、日本では足りていると思われてきた、マグネシウム摂取量の不足が指摘されています。
食生活の変化が、その要因なのかもしれません。
さらに、マグネシウムにはアルコールを大量に飲んでしまうと、尿と一緒に排出されるという性質もあります。
年齢や性別など、人それぞれ適正量は違います。
自分の適正量をきちんと知り、マグネシウムが不足しないよう、摂取していくことが必要です。※2、6、7

※1  健康食品の安全性・有効性情報 マグネシウム 2018年12月20日閲覧
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail33.html
※3 東京都水道局 水の硬度(こうど) 2018年12月20日閲覧
https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/kids/knowledge/knowledge_02.html
※5 e-ヘルスネット 三大(五大・六大)栄養素 2018年12月20日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-013.html
※6 厚生労働省 (旧生活習慣調査)平成25年 国民健康・栄養調査結果の概要 2018年12月20日閲覧
https://goo.gl/cTYGUW
※7 「統合治療」情報発信サイト マグネシウム 2018年12月20日閲覧
http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/08.html
※2 中村 丁次監修 2015年7月発行 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版
※4 一般社団法人日本サプリメント協会著 2017年6月発行 サプリメント健康辞典 集英社

不足すると、どんなことが起こるの?

マグネシウムの摂取量とは

体内でさまざまな酵素反応に関わり、健康の維持には欠かせない栄養素であるマグネシウム。
では、マグネシウムが不足すると、体の中ではどのようなことが起こるのでしょうか?
まず、マグネシウムの吸収率から考えていきます。
食品などを介して口から摂取されたマグネシウムは、小腸から体内に吸収され、全身の組織に運ばれて利用されます。
しかし、摂取した量が全て利用されるわけではありません。
成人では平均摂取量が1日あたり約300~350mgの場合、約30~50%が吸収され、体の中で代謝などに利用されます。
一方、腸管からの吸収率は、摂取量が少ないと高くなりなり、摂取量が多ければ低下するといわれています。※7
つまり、摂取する量が多少上下していても、通常の食品以外からの耐用上限量を超えなければ、体の中で利用されるマグネシウム量はある程度コントロールされていることになります。

マグネシウムが不足すると?

続いて、マグネシウムの絶対量が不足したとき、どのようなことが起こるのかを見ていきましょう。
まずは、食事からの消化や代謝がうまくできなくなり、食欲不振、下痢やおう吐などがみられることがあります。

 

また、マグネシウムは筋肉を動かすためにも利用されています。※1、8
筋肉は、細胞内にカルシウムが流れ込むことにより、それが刺激となって収縮するようにできています。
しかしマグネシウムが不足すると、細胞内にカルシウムが必要以上に増えてしまい、筋肉の収縮をうまくコントロールできなくなるため、けいれんやふるえなどが起こることもあります。

 

さらに、マグネシウムはカルシウムと共に骨の代謝にも関係していますが、マグネシウムとカルシウムは、摂取する比率が重要とされており、一般的にはマグネシウム1に対してカルシウム2の摂取量が理想とされています。※4
マグネシウムは、たくさんの体内酵素反応に関わり、エネルギーの生成を助ける重要な栄養素です。
私たちが生きていくためにはマグネシウムは必要不可欠な栄養素ですが、体内で合成できないため、食べ物などから取り込まなければなりません。
このように体内で合成できない栄養素を必須栄養素といいます。
必須栄養素は、ビタミンで13種、ミネラルではマグネシウムを含む16種、たんぱく質では必須アミノ酸9種、脂質では必須脂肪酸2種があります。
これらは食事などから積極的に摂取する必要がある栄養素です。※4、7

※1  健康食品の安全性・有効性情報 マグネシウム 2018年12月20日閲覧
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail33.html
※8  e-ヘルスネット マグネシウム 2018年12月20日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html 
※4 一般社団法人日本サプリメント協会著 2017年6月発行 サプリメント健康辞典 集英社
※7 木戸康博/桑波田雅士/中坊幸弘・編 2017年2月発行 栄養科学シリーズNEXT 基礎栄養学第3版 講談社

食品に含まれるマグネシウムだけで足りてる?

推奨されるマグネシウムの摂取量

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で栄養素の過不足を見る指標を設けています。指標には「推奨量」と「目安量」があり、次のような意味があります。
・推奨量:1日の必要量を満たすと推定される摂取量
・目安量:推奨量のように根拠は乏しいが、一定の栄養状態を保てる十分な量
マグネシウムに関する推奨量をみると、30~49歳男性で370mg、30~49歳女性では290mgとされています。
また、上記基準の中では、通常の食品以外からの耐用上限量を350mgとしています。
「耐用上限量」とは、危険のない栄養摂取の最大限度量を表します。
つまり、医薬品やサプリメントなどからのマグネシウムの摂取量がこの値を上回ると過剰摂取となり、健康被害のリスクが高くなるということです。
この数値が設定されている栄養素は、ビタミンで6種、ミネラルではマグネシウムを合わせて10種あります。
サプリメントで補う際にも気をつけたい項目です。※9

 

また、マグネシウムの1日の摂取量は年齢とともに増加し、男性では30~49歳が、女性では15~17歳が、マグネシウム摂取のピークであることが、理想的なのだそうです。
マグネシウムは体内で必要とされる量はわずかですが、健康な体を維持するためには欠かせない大事なミネラルです。※1、4

マグネシウム摂取量はなぜ不足するのか

マグネシウムってなに?で、硬水についてご説明した通り、ヨーロッパや北米では硬水が多く存在しています。
従って、欧米では日常的にマグネシウムを摂取する機会が、多くなります。
一方、日本の水はほとんどが軟水となっているため、欧米諸国に比べて、日常的に摂取できるマグネシウム量は、少なくなってしまいます。
また、マグネシウムは主に腸で吸収されます。
従って、消化管の手術経験がある人(特に腸管を切除したことがある人)は、マグネシウムの吸収量や吸収率が、消化管の手術経験が無い人よりも少なくなる傾向があります。
腸管を切除することにより、栄養分を吸収できる面積が少なくなるため、マグネシウムをはじめとした各種栄養素の吸収が、十分に行えなくなってしまうためです。

 

また、玄米ではなく白米中心の食生活や、食事量そのものが少なくなった高齢者も、マグネシウムは取り込みにくい栄養素となります。
さらに近年、特に日本では、農畜水産物の栄養価の低下が報告されています。
食材は農薬や化学肥料、抗生物質や成長促進剤などの多用により、栄養学的にみて「非力」になったといわれています。
食生活の変化や食材の栄養価の低下などにより、マグネシウムは日本人に不足しやすい栄養素になってきているのです。※4、9

マグネシウムを多く含む食品

そこで知っておきたいのが、マグネシウムを比較的多く含む食材です。
マグネシウムは、魚介類やごま、大豆などのほか、玄米やそば、全粒子、ライ麦など未精製の穀物にも多く含まれており、これらの食材を主食に選ぶと、マグネシウムを効率的に摂取する事ができます。
マグネシウムは通常の食事で過剰症になることは、ほとんどありません。
マグネシウムを摂りすぎたとしても、ある程度は腸管での吸収量が調節され、排泄される機能が備わっているため、食事中心で摂取する場合には、ある程度は安全な範囲内を維持するといわれています。※4、9

※1  健康食品の安全性・有効性情報 マグネシウム 2018年12月20日閲覧
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail33.html
※9 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書 ミネラル(多量ミネラル) 2018年12月20日閲覧
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114400.pdf
※4 一般社団法人日本サプリメント協会著 2017年6月発行 サプリメント健康辞典 集英社

マグネシウムを効率よく摂取しよう!

前述の通り、ミネラルのひとつにあげられるマグネシウムは、豆腐や大豆製品、未精製の穀類、海藻類など多くに含まれています。
ここでは豆腐について考えてみます。
豆腐には、凝固剤として「にがり」が使われています。
そもそも「にがり」とは海水から塩分のほとんどを取り除いたマグネシウム溶液を指します。
この「にがり」が使われる豆腐は、同時にカルシウムも含むことから、体にとってバランスの良い食材といえるでしょう。
例えば「日本食品標準成分表 2015年版」によると、「絹ごし豆腐」100gには、カルシウムが57㎎、マグネシウムが55㎎含まれています。
その他の栄養素も数多く含まれていること、廃棄率が0%であることなどから、比較的手軽に、さまざまな栄養素が摂れる食品です。※1、4

マグネシウムを上手に摂取するには

アメリカ政府が発行する「アメリカ人のための食生活指針」では、健康的な食事を摂ることが推奨されており、マグネシウムに関しては、以下のように記されています。

 

・さまざまな果物や野菜、全粒穀物、無脂肪もしくは低脂肪ミルクおよび乳製品の積極的な摂取が大切
→特に全粒粉や濃緑黄色野菜は、マグネシウムの優良な供給源
→低脂肪乳やヨーグルトにもマグネシウムが含有されている

 

・赤身の肉、鶏肉、魚介類、豆類、卵、ナッツ類も摂取する
→特に、乾燥マメやマメ科植物(ダイスやレンズマメなど)、ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)は、マグネシウムが多く含まれる

 

ただしこれらの食材も、組み合わせ次第では、コレステロールや飽和脂肪酸、ナトリウムを含む塩分、糖質などが多く含まれてしまうことがあります。
1日に必要なカロリー摂取量を超えてしまうことは、生活習慣病の大きなリスクとなりますので、やはりバランスの良い食事が重要であると言えます。
「アメリカ人のための食生活指針」には「豆腐」についての記述はありませんが、和食食材を摂りやすい環境にいる日本人にとっては、やはり豆腐は有能な食材であるといえそうです。
ところで、マグネシウムを摂取しようと、食材に気を配ることは良いことですが、マグネシウムを含有する医薬品を長期にわたり摂取した場合は、血中マグネシウムの濃度が上昇する可能性があります。
また、マグネシウムには筋肉を弛緩(しかん=ゆるめること)働きもあり、下剤などにも使われている成分ですので、過剰に摂取すると下痢をすることがあります。
この他にも、マグネシウムの成分を含むお薬には、さまざまなものがあります。
気づかないうちにマグネシウムの過剰摂取になることもありますので、気になることがある方は、主治医に相談すると良いでしょう。※4、10、11

※1  健康食品の安全性・有効性情報 マグネシウム 2018年12月20日閲覧
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail33.html
※4 一般社団法人日本サプリメント協会著 2017年6月第2刷発行 サプリメント健康辞典 集英社
※10 ジョン・ハズコック著 2014年9月初版第1刷発行 ビタミン・ミネラルの安全性第3版 日本ビタミン学会
※11 日本医師会 日本薬剤師会 日本歯科医師会総監修 2017年8月初版発行 健康商品サプリメント 医薬品との相互作用辞典 同文書院

まとめ

私たちの体は、数多くの元素で構成されており、およそ60%が水分ですが、それ以外は、たんぱく質、脂質、糖質、ミネラル、ビタミンなどの栄養素で構成されています。
食事やサプリメントから吸収された成分は、生きるためのエネルギーを作り出し、細胞の新陳代謝を担っています。
中でもマグネシウムは、不足しても、摂りすぎても、健康な体を維持することはできません。
食生活や環境を整えることで、マグネシウムを適切に摂取していきましょう。

ライター
岡部
看護師
埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。
一般向けおよび医療従事者向け書籍
○執筆・編集協力
・看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)
・看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)  他
公開日:2019.03.01
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