肩こりになる人とならない人の違いは?肩こり解消につながる基本知識 

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多くの日本人が抱える体の不調といえば、肩こりです。
日常生活に支障をきたすほどひどい肩こりの人もいる一方で、肩こりとは無縁な人がいることも事実。
この違いは一体どうして生まれるのでしょうか。
この記事では、肩こりの概要と、肩こり解消に役立つ基礎的な知識をご紹介します。

目次

  1. 肩こりによくある症状と原因
  2. ストレスと肩こりの関係
  3. 肩こりになる人とならない人の違い
  4. 肩こりをなんとかしたい方へ!簡単にできる肩こり解消法
    • 同じ姿勢でいることが原因の場合
    • しっかりと湯船につかる
    • 眼の疲れが原因の場合
    • 精神的なストレスが原因の場合
    • 運動不足が原因の場合
  5. まとめ

肩こりによくある症状と原因

肩こりとは、通常、首から肩甲骨あたりにかけて生じる重たく、にぶい痛みのような症状をいいます。
肩こりはこったような症状があるだけで、正式な病名ではありません。
なぜ、肩こりの症状が出るのかというと、原因はさまざまです。
肩は頭の重さと二本の腕を支えているため、普通に生活しているだけでも負担がかかりやすい場所です。※1
おまけに、日本人は西洋人に比べて頭が大きい割に、肩や首の筋肉は華奢なので、肩こりが起こりやすいといわれています。※2
実際、厚生労働省の「国民生活基礎調査(平成28年)」によると、女性が感じる自覚症状の第一位が肩こりで、男性でも第2位に上がっています。※3
肩こりは日本人の国民病といえるでしょう。
肩こりの症状としては、首すじや首の付け根から、肩、また場合によっては背中にかけて張ったような不快感があります。
これがいわゆる「肩がこった」状態で、ときには痛みを伴ったり、頭痛や吐き気まで起こることもあります(※1)。
吐き気までもよおすことは稀かもしれませんが、実際にデスクワークをしていた人が、「頭痛がしてから吐き気がしてきた」「パソコンを見て仕事をしていたら、だんだん具合が悪くなり、トイレや休憩室で動けなくなった」というのは、めずらしい話ではありません。
なかでも肩こりによる頭痛に悩む方は多く、頭痛には片頭痛や群発頭痛などさまざまな種類がありますが、肩や首の緊張、つまりこりが原因となる頭痛(緊張型頭痛とよばれます)が全体の7割を占めています。※4
肩こりには、肩のさまざまな筋肉が関係しますが、なかでも影響が大きいのが、首の後ろから肩、背中にまで広がっている「僧帽筋」という大きな筋肉と、首の骨と肩甲骨をつなぐ「肩甲挙筋」と言われています。
僧帽筋は重い頭を一定の角度に維持したり、肩甲骨を動かしたりといった重要な役割を持ちます。
また、肩甲挙筋も肩甲骨を引き上げるのには欠かせない筋肉です。
これらの筋肉は肩だけでなく背中全体にかけて、広範囲の肩こりや痛みになどの症状に影響を与えます。※5
いったん筋肉が緊張して固くなってしまうと、血液の流れが滞り、血行不良になってしまいます。
そうなると、筋肉の老廃物が溜まって血管がさらに圧迫されます。
それが、やがて痛みやこりをさらにひどくさせるという、悪循環に陥ってしまうことになるのです。(※1)。
ほかにも、年齢を重ねて筋力が低下することも、肩こりの悪化につながりますし、仕事の内容、普段の姿勢、目の疲れ、ストレスによっても、生じることがあります。つまり、肩こりの原因は多岐に亘るのです。※2
また、肩こりは筋肉や関節などだけが原因とは限りません。
中には、骨や神経などの器官の病気が原因で引き起こされることもあります。
下記に挙げるような症状が見られる場合は病気が疑われるので、放置せずすぐに病院を受診しましょう。※1

 

  • 階段を上るときなど、運動をしたときに肩が痛むが、痛みの続く時間は短い。
    →心臓の病気の可能性があります。
  • 肩こりだけでなく、手のしびれや麻痺もある。
    →首や肩の神経や血管が圧迫されている可能性があります。
  • 首や肩を動かしていないときもひどく痛む。
    →骨や内臓の病気の可能性があります。
  • 症状がだんだんひどくなる。
    →進行性の病気の可能性があります。

※1:一般社団法人日本臨床内科医会発行 「わかりやすい病気のおはなしシリーズ47 肩こり」第3版第1刷 2018年2月発行 /2019年1月23日現在 http://www.japha.jp/doc/byoki/047.pdf
※2:オムロン 健康コラム・レシピ 「vol.92 肩こり…5つの原因と予防策」/2019年1月23日現在
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/92.html
※3:厚生労働省 平成28年 国民生活基礎調査の概況 「III 世帯の健康状況」/2019年1月23日現在
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/04.pdf
※4:小林製薬 緊張型頭痛研究所ズキラボ 「緊張型頭痛とは」/2019年2月25日現在
https://www.kobayashi.co.jp/brand/zukilabo/theme/index.html
※5:小林製薬 アンメルツ「肩が凝る理由・治るメカニズム」/2019年1月23日現在
https://www.kobayashi.co.jp/brand/anmerutsu/mechanism/

ストレスと肩こりの関係

肩こりの原因となる明確な病気が見つからない場合は、段の生活の中での身体的なストレスや精神的なストレスが原因となっていると考えられます。
身体的なストレスとしては、デスクワークなどで長時間にわたって同じ姿勢をとることや、パソコンでの作業などによる目の疲れが、代表的な肩こりの原因として挙げられます。※5
特にパソコンやスマートフォン、タブレットなどを使う際には、首を前に突き出し、両肩を前にすぼめるような姿勢になってしまいがちです。
このような姿勢を長時間続けると、首から肩にかけての筋肉がこわばり、血流も滞って肩こりにつながってしまいます。
パソコンのディスプレイなどを見続けると目やその周囲の筋肉が緊張して、首から肩にかけての筋肉も緊張を強いられます。
さらに、常に光源を見続けることによってまばたきの回数が減ることでド目が乾き、疲れ目につながります。
疲れ目は肩こりを引き起こす重要な原因の一つです。※2
身体的なストレスに加え、精神的なストレスも肩こりに影響を与えることが知られています。
これは、ストレスを感じると筋肉を緊張させる自律神経の交感神経の働きが活発になり、筋肉が緊張してしまうため、血行が悪くなって肩こりにつながると考えられています。※6

※2:オムロン 健康コラム・レシピ 「vol.92 肩こり…5つの原因と予防策」/2019年1月23日現在
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/92.html
※6 異常な眠気はストレスが原因?解消する方法はある?/ヘルスケアポイント/2022年5月5日現在
https://point-g.rakuten.co.jp/healthcare/articles/2020/life_sleep_stress/

肩こりになる人とならない人の違い

これまで見てきたように、肩こりは同じ姿勢を続けることや眼精疲労、精神的なストレスなどによって引き起こされる症状です。
肩こりになる人に共通しているのは、日頃から肩こりを起こしやすい生活習慣があるということです。
対して肩こりになりにくい人は、肩こりを起こしにくい身体を持っています。
では、肩がこりやすい人はどうしたらいいのでしょうか。
その鍵を握るのは、毎日の生活習慣です。
生活の中に潜んでいる肩こりの原因を突き止めて、肩こりが起きにくい習慣を新たに身につけることが不可欠です。

肩こりをなんとかしたい方へ!簡単にできる肩こり解消法

同じ姿勢、眼精疲労、精神的なストレス、運動不足の4つは代表的な肩こりの原因とされています。※2
以下に、それぞれの原因ごとの対策をご紹介しますので、生活習慣改善の参考にしてみてください。

同じ姿勢でいることが原因の場合

デスクワークなどで、長時間同じ姿勢でいる場合には、こまめに首や肩を動かして緊張状態をほぐすように心がけましょう。
肩や首を回す、軽いストレッチなどをするとよいでしょう。
また、デスクワークをしていると肩や首だけでなく全身の血行が悪くなりますので、1時間に1度は立ち上がって、手足を伸ばす、軽く屈伸するなどの運動をすることも大切です。※2)
さらに、姿勢の悪さも肩こりに影響します。
猫背でいると、頭を支えなければならない肩や背中に負担が生じますし、筋肉が緊張することで、血行不良になりがちです。
肩こりを軽減するためにも、意識して正しい姿勢をとることが大切です。
立つ姿勢を続ける場合には、顎を軽く引き、ヘソのあたりを意識しながらお腹を引っ込ませると同時に肛門を締めて、背中がすっと伸びるよう意識して立ちましょう。
耳と肩、くるぶしが同じ直線状に並ぶのが理想的な立ち方ですので、一度鏡で見て確認してみるとよいでしょう。
椅子に座る場合も、立つ場合と同様に顎を軽く引いて背筋を伸ばすことが大切です。
お尻が椅子の背もたれに当たるように深くこしかけて、背中は背もたれに当てずに少しそらすイメージで伸ばすと良いでしょう。
また、椅子や机の高さが合わないことで姿勢が悪くなっている場合もありますので、足の裏がしっかりつくような高さに椅子は調整し、必要であれば足置きなども活用するとよいでしょう。※5)

しっかりと湯船につかる

夜はシャワーだけで済ますのではなく、しっかり湯船に浸かることも肩こりを予防・改善するのに効果的です。
できれば、熱いお湯にさっとつかって出るだけではなく、38〜40度くらいの温度で、10分以上ゆっくり浸かると効果的です。※8
ただし、心臓が悪い方や高齢の方は事故につながる恐れがありますので、高温と低温を交互にかける方法は避けてください。
このように、入浴方法を改善することで、筋肉の緊張によって滞った血行を良くする効果が期待できます。

眼の疲れが原因の場合

夜はシャワーだけで済ますのではなく、しっかり湯船に浸かることも肩こりを予防・改善するのに効果的です。
できれば、熱いお湯にさっとつかって出るだけではなく、38〜40度くらいの温度で、10分以上ゆっくり浸かると効果的です。※7
このように、入浴方法を改善することで、筋肉の緊張によって滞った血行を良くする効果が期待できます。

仕事でパソコンを使う人の多くが、目の疲れや痛みという症状を自覚しています。
疲れ目は肩こりに直結しますので、うまく付き合っていく必要があります。
そもそも、パソコン作業で目が疲れる原因は、近い位置にピントを合わせすぎたために起こる、目の筋肉の緊張です。
そのため、目に蒸しタオルなどをのせて温めると血流が促され、疲れ目に効果があるでしょう。※8
こまめに目薬をさし、1,2分ほど目を閉じて休ませることも有効です。※2
近年では、目の疲れに効果が期待できる目薬が多種類市販されていますので、活用すると良いでしょう。
ただし、用量や用法をしっかり確認して、さしすぎには注意です。
とくに、疲れ目の有効成分が配合された目薬は1日の点眼上限回数が少ない傾向にあるため、少しでも多くさしたい場合には、上限回数が比較的多い自然の涙に近い性質を持った人工涙液の目薬がおすすめです。
人工涙液は、疲れ目だけでなく、目にゴミが入ってごろごろするときや、花粉が飛び交う時期、冷暖房を使用することによる空気の乾燥が気になる場所などでも活躍します。
人工涙液は防腐剤が入っていないものが多いので、開封したら決められた期間内に使い切るようにしましょう。
もちろん、ひどく目に疲れを感じるときや目の乾きが気になるときは、眼科を受診し、症状に適した目薬を処方してもらうことも大切です。


また、パソコンを使う環境が目に余計な負担をかけている場合もあります。
ディスプレイや周囲の照明が明るすぎると目が疲れてしまいますので、ディスプレイの輝度や照明、直射日光の入り方などを工夫しましょう。
特に室内の照明は、明るいほどディスプレイや書類が見やすくなるので目に優しいと誤解されがちですが、ディスプレイよりも少し明るいくらいの方が目に対する負担が小さいです。
直射日光も、同じ理由でNGです。
ディスプレイそのものの明るさも疲れ目の原因になりますので、自動の輝度調整などがある場合には活用すると良いでしょう。
また、ディスプレイに顔を近づけて覗き込むような姿勢が癖になっている方もいらっしゃいますが、それも肩こりの元です。
背筋をしっかり伸ばし、ディスプレイは目線より少し下になるように配置し、50cmほど目を離して作業するとよいでしょう。

精神的なストレスが原因の場合

ストレスが原因となる肩こりの場合は、ストレスを溜めないようにすることが一番の対策です。
しかし、仕事などさまざまな事情でストレスの元を断ち切ることは難しい場合も多いでしょう。
そういった場合には、適度に体を動かすことがおすすめです。
軽い運動は気分転換になりますし、血流改善の効果も期待できます。
ただでさえ疲れているのに運動なんて…と思うかもしれませんが、運動を続けるうちに目標を見つけたり、新しい靴やトレーニング着を選んだりと、これまでになかった楽しみが増えて生活にハリが出て、ストレスの解消につながるでしょう。※2

運動不足が原因の場合

肩こりと筋肉は切っても切れない関係にあるため、適度な筋力を保つことが肩こりの予防には非常に効果的です。
実際、首や肩の筋肉が少ない方は、肩こりを起こしやすいといわれています。
そのため、適度な筋肉をつけることが肩こりしにくい体をつくることにつながります。

肩こりの予防・改善のための運動では、筋肉に強い負荷をかける必要はありません。
デスクワークの合間に軽いストレッチを行って筋肉をほぐすようにするだけでも、血行が良くなるので十分肩こりへの効果が望めます。
余裕があるようであれば、散歩やウォーキング、ラジオ体操など、体への負担が少なく、全身の筋肉をバランスよく使う運動を、自分のペースで続けていくことが大切です。
このように、肩こりを引き起こす4大原因とその対処法について見てきましたが、実際はどれか一つが原因というわけではなく、これらの要素が絡み合って肩こりにつながっている場合がほとんどです。
ですので、肩こりしにくい体づくりのためには、生活全体を見直し、原因となっている習慣を改善していく必要があるでしょう。

※2:オムロン 健康コラム・レシピ 「vol.92 肩こり…5つの原因と予防策」/2019年1月23日現在
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/92.html
※7 食べ過ぎたときの対処法!直後の運動や翌日からの食事について徹底解説/ヘルスケアポイント/2022年5月5日現在
https://point-g.rakuten.co.jp/healthcare/articles/2021/diet_overeating_2/
※8 その疲れ目の原因は何?疲れ目の正しいケア方法は?/ヘルスケアポイント/2022年5月5日現在
https://point-g.rakuten.co.jp/healthcare/articles/2018/life_bluelight/

まとめ

パソコンを使った仕事やスマートフォンの操作など、同じ姿勢を長時間とることの多い現代人にとって、肩こりは悩みのタネです。
肩こりの原因は人それぞれ違いますが、筋肉がこわばって血行が悪くなるという共通した要因があります。
筋肉の緊張をほぐすためのストレッチのような適度な運動を心がけて、肩こりしにくい体をつくることが大切です。

監修者
栗原
看護師、保健師、アロマリンパオイルテラピスト
大学病院の総合外科で、消化器・呼吸器・乳腺・血管専⾨病棟で 3年勤務。
過労にて⼼身ともに体調を崩すも⾃身の健康を守るため予防医学と美容に特化したクリニックに転職し、クリニックの広報の他、健康メディアのライターも務める。 美容健康セミナーなどのイベントも開催し、SNSでは予防医学・ 健康的なダイエット法・自⾝身の経験から看護師の働き⽅方について発信。
プロダンサーとしても、都内・海外で活動を行い、看護師の新たな働き方のモデルケースになるべくマルチに活動を行っている。
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