勉強中・授業中に眠いのはなぜ?今日からできる眠気防止対策を紹介

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「勉強しなきゃいけないのに眠い……」「眠気のせいで授業の内容が頭に入ってこない……」そんな経験は誰にでもありますよね。
特に、部活と両立したい人や受験に向かっている人は勉強の効率を上げることが大切なので、眠気対策は重要です。
この記事では勉強中・授業中に眠くなる理由や、今日からできる眠気防止対策について紹介します。

目次

  1. 勉強中・授業中に眠くなる理由
    • 昼間に眠くなるのは自然なこと
    • 夜の睡眠時間が不足している
    • 日本人は睡眠時間が短い
  2. 勉強中にできる眠気防止対策4個
    • 勉強内容・やり方を変える
    • 勉強場所を変える
    • 短時間の仮眠をとる
    • 身体を動かす
  3. 原因は意外なところに?日常でできる眠気防止対策4個
    • 夜型から朝型に切り替える
    • 湯船に浸かる
    • 食事を見直す
    • 運動の習慣を身につける
  4. 眠気対策でやらないほうがいいこと
    • カフェインを含むエナジードリンクを過剰摂取しない
    • 夕方以降に長すぎる仮眠をとらない
    • 友達の「寝てない自慢」を鵜呑みにしない
  5. まとめ

勉強中・授業中に眠くなる理由

なぜ私たちは勉強中・授業中に眠気に襲われるのでしょうか。

昼間に眠くなるのは自然なこと

睡眠をコントロールする要素の一つに、脳の「睡眠-覚醒リズム」というものがあり、人間は起床から8時間後と22時間後に自然な眠気を感じるようにできています。
例えば、毎朝6時に起きる人にとっては、午後2時ころに眠くなる波がやってきます。
眠いのは「気合が足りないから」「意志が弱いから」というだけではなく、人間の自然な現象でもあるのです。
とはいえ、そのまま眠気に負けるわけにはいきませんから、勉強中にその場でできる眠気対策を試してみましょう。

 

夜の睡眠時間が不足している

昼間の眠気は、睡眠-覚醒リズムだけでなく、夜の睡眠時間が足りていないことも大きく影響しています。
夜間にとれなかった分の睡眠を補おうとして、昼間に眠くなってしまうのです。

文部科学省の調査では、睡眠不足を自覚している子供の割合は学年が上がるほど多くなる傾向で、高校生では3人に1人の割合で睡眠不足を感じています。※1
「5〜6時間くらい睡眠をとれば、朝は遅刻せずに起きることができる」と思っていても、勉強中・授業中にウトウトしてしまうことはありませんか?
睡眠不足が慢性的になると、昼間に強い眠気・だるさを感じたり、集中力が低下したりするようになり、「睡眠不足症候群」という病名がつきます。

 

日本人は睡眠時間が短い

そもそも、世界の他の国と比べると日本人は睡眠時間が短いことが明らかになっています。
経済協力開発機構(OECD)の2018年の調査によると、日本人の平均睡眠時間は442分(7時間22分)でした。
これは調査対象となった30か国の中で最下位の結果となっています。※2
日本では、睡眠時間を削ってでも仕事や勉強を頑張るのがよいことだとされる傾向がありますし、夜遅くまで活動することが当たり前の社会になっていますよね。

人間に必要な睡眠時間は個人によって大きな差があるので、「◯時間以上寝ていれば十分、それ以下は睡眠不足」というような一律の基準は存在しません。
周りの友達と同じくらい眠っていても、実は夜の睡眠が不十分だということもありえます。
夜によく眠れるように、生活を見直す必要があるでしょう。

 

※1:文部科学省「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果(概要)」/2019年3月15日閲覧
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/__icsFiles/afieldfile/2015/04/30/1357460_01_1_1.pdf
※2:OECD Balancing paid work, unpaid work and leisure/2019年3月15日閲覧
http://www.oecd.org/gender/data/balancingpaidworkunpaidworkandleisure.htm

勉強中にできる眠気防止対策4個

では、「テスト前だから眠いなんて言っていられません!」というときは、どうすればいいのでしょうか?
勉強中に手軽にできる、眠気防止対策を紹介します。

 

勉強内容・やり方を変える

誰だって苦手な科目や単元を勉強するときは気が重いですし、眠気も感じやすいですよね。
眠気覚ましにSNSでも見ようとスマホに手が伸びると、あっという間に時間が経ってしまった、という経験がある人も多いでしょう。
勉強への集中を切らさずに眠気を撃退したいときは、勉強内容ややり方を変えてみましょう。

例えば、苦手な古文単語の暗記をやっていて眠くなってきたら、得意な数学の計算問題に取り組んでみます。
同じように机に向かっていても、教科を変えるだけで、気分がリフレッシュしたり頭がスッキリしたりするのが感じられるでしょう。
タイマーをセットして制限時間内に何問解けるか、ゲーム感覚でやってみるのもいい眠気覚ましになります。
これは、学校でも塾の自習室でも自宅でも、どこでもできる便利な眠気防止策です。

また、勉強のやり方を変えるという方法もあります。
古文単語を黙読で暗記していたなら、覚えたい内容を声に出して読み上げてみましょう。
発声することで目が覚めますし、いろんな方法で単語に接することで記憶にも定着しやすくなります。

 

勉強場所を変える

勉強中にできる眠気対策の二つ目は、勉強場所を変えることです。
気合だけでは眠気に負けそうなときは、自分がいる環境を変化させて気分を一新することがおすすめです。

自分の部屋で勉強していて眠いと感じたら、リビングやダイニングなど家の中の他の部屋に移動してみてください。

リビング学習については、

リビング学習で学力があがる?その効果と心がけ

の記事で詳しくご紹介しています。
部屋の温度が変わったり、いつもは勉強をしない場所で参考書を広げたりすることで、ちょっとした違和感が生まれて眠気を忘れさせてくれます。


時間があるときなら、自宅を出て図書館、カフェ、塾の自習室に向かうなど、がらりと場所を変えてしまうのもいいでしょう。
休日に朝から一日中勉強したいときは、午前中は自宅、昼食を食べてから散歩がてら移動して、午後は図書館で集中する、というスケジュールで眠気を撃退することもできます。

図書館での勉強については、

図書館で勉強・自習を!メリットいっぱいの図書館フル活用術

の記事で詳しくご紹介しています。

 

短時間の仮眠をとる

勉強中の眠気対策の三つ目は、上手に仮眠をとることです。
あなたは「パワーナップ」という言葉を知っていますか?
パワーナップとは30分未満の短い仮眠のことで、欧米の企業や学校などで手軽な疲労回復法として広く取り入れられています。
勉強で疲れて眠いと感じたときは、思い切って20〜30分程度の仮眠をとってみましょう。
短時間でも自律神経を休ませることで、疲労回復につながります。
注意したいのは、30分以内という時間を守ることです。
30分以上眠ると、ノンレム睡眠という深い睡眠に入ってしまい、スッキリ目覚めることができなくなるからです。
スマホでタイマーをかけるなど、寝過ごさないように注意してください。

また、パワーナップにコーヒーを組み合わせた「カフェインナップ」というものもあります。
やり方は簡単で、パワーナップの前にコーヒーを飲んでおくだけ。
摂取後30分程度で覚醒作用を発揮するというカフェインの性質を利用して、パワーナップから目覚める時間にちょうど覚醒作用が働くようにするのです。※3

 

身体を動かす

勉強中の眠気対策の四つ目は、身体を動かすことです。
軽いジョギングやウォーキングをするような時間がないときでも、軽いストレッチや体操ならその場でできます。
難しく考えずに、気持ちいいと感じる程度に腕や背中を伸ばしてみたり、肩を回してみたり、屈伸運動をしてみたりしましょう。
授業中でも、軽くストレッチするくらいなら先生にも注意されません。
自宅の部屋なら、誰でもできるラジオ体操をやってみるのもいいかもしれませんね。
机に向かいっぱなしで凝り固まった身体をほぐして、眠気を撃退しましょう。

※3:梶本修身「すべての疲労は脳が原因3<仕事編>」集英社 2017年/2019年3月15日閲覧

原因は意外なところに?日常でできる眠気防止対策4個

ここまでに挙げた眠気防止対策は、睡魔に襲われたときに行う「応急処置」のようなものでした。
夜の睡眠不足のせいで勉強中・授業中に眠気が出ている場合は、もっと根本的な部分を変える必要があります。
睡眠不足を改善するために、日常生活の中で見直したい点について紹介します。

 

夜型から朝型に切り替える

あなたは毎晩何時に眠りについていますか?
文部科学省の調査によると、深夜0時以降に就寝している人の割合は、中学生で22%ですが、高校生では約半数の47%にのぼります。※1
睡眠不足を解消するには、夜型生活から朝型生活に切り替えることを意識してみましょう。

夜型生活の原因の一つは、私たちの身近にあるテレビ、スマホ、PC、ゲーム機です。
これらのディスプレイから出ているブルーライトは、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌に影響を及ぼします。
身体が眠りに向かっている夜にブルーライトをたくさん浴びると、脳が昼間だと勘違いして体内時計が狂ってしまい、メラトニンの分泌が抑制され、眠りにくくなってしまうのです。
特に今では中高生に欠かせないアイテムとなったスマホは、目と近い距離で使うことが多く、ブルーライトから受ける影響も大きくなります。
夜はなるべくテレビやスマホなどに熱中しないようにしましょう。

また、眠気をこらえて夜遅くまで勉強している人は、思い切って勉強時間を朝に変えてみるのがおすすめです。
最初は早起きが大変と思うかもしれませんが、朝は静かで勉強に集中しやすく、受験生にとっては入試本番の起床時間に慣れておくこともできます。

 

湯船に浸かる

いい睡眠をとるにはお風呂の入り方にコツがあります。
人間は、就寝前に急激に身体の深部体温が下がると、スムーズに眠りやすくなります。
この状態を作るには、布団に入る1〜2時間前に湯船に浸かっておくことがおすすめです。
お風呂に入ると身体が温まるので体温は一時的に上昇しますが、血行がよくなることで熱が放出されて、深部体温がぐっと下がるのです。※4

このとき注意したいのはお湯の温度です。
温度が高すぎると逆効果になってしまうので、リラックスできる38〜40度が望ましいです。
また、肩までお湯に浸かる全身浴ではなく、みぞおちあたりまで浸かる半身浴がおすすめです。

 

食事を見直す

夜ふかしすると深夜に小腹がすいて、ついついお菓子や晩ごはんの残り物に手が伸びていませんか?
また、部活、塾、習い事で帰宅が遅くなると、夕食を食べるのが寝る直前になる場合もあるでしょう。
しかし、寝る直前に夜食や夕食を食べると、消化活動によって睡眠が妨げられてしまいます。
夜ぐっすり眠れていないという人は、食事の習慣を見直すようにしましょう。
特に、コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲食物は控えましょう。
カフェインから受ける影響には個人差がありますが、影響を受けやすい人は寝る時刻の5〜6時間前から摂取しないようにしておくのが望ましいです。※5

 

運動の習慣を身につける

応急処置的な眠気対策として軽い運動をするといいと紹介しましたが、運動は夜の睡眠の改善にも効果的です。
ただし、1日だけしっかり運動するのではなく、日常生活の中に習慣としてウォーキングなどの有酸素運動を取り入れることがポイントです。
習慣化することで、寝付きがよくなったり睡眠が深くなったりする効果が期待できます。

「運動する時間なんて作れない」と考えるかもしれませんが、例えば電車やバスなどで通学している人なら降りる場所を変えて歩く距離を伸ばしてみることも、立派な運動になります。
ただし、寝る前に激しい運動をすると逆効果になるので、控えましょう。

 

※1:文部科学省「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果(概要)」/2019年3月15日閲覧
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/__icsFiles/afieldfile/2015/04/30/1357460_01_1_1.pdf

※4:梶本修身「すべての疲労は脳が原因」集英社 2016年/2019年3月15日閲覧

※5:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」/2019年3月15日閲覧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html

眠気対策でやらないほうがいいこと

自己流でやっている眠気対策や、友達から「眠い時はこれがいいよ」「自分はこうしている」とすすめられた方法はありませんか?
実は、その中には眠気対策としてやらないほうがいいことも含まれているかもしれません。

 

カフェインを含むエナジードリンクを過剰摂取しない

覚醒作用のあるカフェインを含む飲料は、コンビニ等で手軽に買えます。
特にエナジードリンクは、飲めば元気が出そうなネーミングやパッケージの影響もあり、思わず手にとっている人も多いのではないでしょうか。
カフェインは上手に活用すれば眠気対策になりますが、エナジードリンクに頼って1日に何本も飲んだりすると、カフェイン中毒などの健康被害につながる可能性があります。
軽症〜中等症のカフェイン中毒は、食欲不振、震え、興奮といった症状が出ます。※6
また、中毒症状が出るほどの摂取量でなくても、夕方以降に飲んだエナジードリンクが夜の睡眠を阻害することは十分あります。
エナジードリンクを飲みすぎないこと、飲む場合は夜の睡眠に影響しない時間を選ぶことが大切です。

 

夕方以降に長すぎる仮眠をとらない

学校や塾などから帰宅した後、疲れているからまずは1〜2時間の仮眠をとって深夜に勉強する、という生活をしていませんか?
昼間に疲れを感じたら、家ではゴロンと横になって目を閉じたくなりますから、寝るつもりがなかったのに寝てしまうときもあるでしょう。

しかし、夕方以降に長い仮眠をとってしまうと、夜に布団に入るときに眠気が起きづらくなってしまいます。
合計の睡眠時間はそれなりの長さになるかもしれませんが、夜の睡眠で熟眠感が得られないと、本当の疲労回復はできず、勉強中・授業中に眠くなってしまいます。
パワーナップのような短い仮眠は眠気覚ましに効果的ですが、仮眠をとるなら午後3時まで、長さは30分までにしましょう。

 

友達の「寝てない自慢」を鵜呑みにしない

成績のいい友達が「毎日深夜2時まで勉強している」「毎日4時間しか寝ていない」といったことを話していると、思わず「自分もそれくらいやらなきゃ……」と焦りの気持ちが芽生えますよね。
しかし、その友達は自分が無理をしていることに気づいていないだけかもしれませんし、たまたま短い睡眠時間でも平気なタイプなのかもしれません。
勉強の効率をよくするためには、やはり夜に質のいい睡眠をとることが基本です。
友達の「寝てない自慢」を鵜呑みにせず、自分のベストな睡眠や生活サイクルを見つけることで、勉強中・授業中の眠気対策としましょう。

 

※6:厚生労働省/食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
/2019年3月15日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html

まとめ

眠気対策は、勉強中・授業中にその場でできることだけではありません。
生活全体を見直して、夜の睡眠を大切にすると改善できることもあります。
限りある時間を効率よく使って成績アップしていけるように、紹介した眠気対策の中でできるものがあればぜひ試してみてくださいね。

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