子供の言葉遣いが悪いのはなぜ?それは友達?それとも親?

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自分の子供から、ある日、乱暴な言葉や汚い言葉が飛び出す日が来ると、驚いてしまいますよね。

実は、子供がこのような言葉を使うのには、子供なりの理由があります。

しかし、言葉は相手や場所などによって、使い分けが必要です。

年齢が小さい間はなかなか難しいものですが、子供に言葉の使い分けを教えていくのは、どうすれば良いのでしょうか。

今回は、子供の言葉遣いについてご紹介していきます。

目次

  1. 子供はどこで「言葉」を覚えてくるのか
    • 子供の見る力と、聞く力
    • 子供にマネされてもいい行動を心がけましょう!
  2. なぜ子供は乱暴な言葉を使うの?
    • 乱暴な言葉を使うのには理由がある?
    • 乱暴な言葉は「ダメ」と言っているのに反抗する子供
  3. 乱暴な言葉への対応
    • 叱る」と「怒る」の違いを理解する
    • 正しい言葉遣いは、どこから?
    • 大人だって、言葉磨きが必要?
  4. 子供の良い言葉遣いのために、親ができること
    • よい言動はしっかり褒めてあげましょう
    • 子は親の鏡、子供の言葉は自分の言葉かも
  5. まとめ

子供はどこで「言葉」を覚えてくるのか

子供の見る力と、聞く力

子供は「おはよう」や「いただきます」などの挨拶や、洗顔、手洗い、食事のマナーなどの生活習慣は、毎日の積み重ねで身につけていきます。
これらは、その時に親が声をかけたり、やって見せたりすることで自然と行うようになるのです。
子供は小さな頃から親や周囲の大人のすることや話し方などをしっかりと見て、耳をすませて聞いています。

 

それは、家の中だけに限りません。
乳児から幼児になる頃には、家を出て周りの環境にもなじんでいくようになります。
外に出るようになれば公園などでの親の姿、幼稚園に行くようになれば幼稚園の先生の姿など、周りの人たちの言動全てが、子供にとっての見本になるのです。
もっと小さいうちから保育園に通う子供は、生活習慣の多くを保育園で学ぶかもしれませんが、もし親が帰宅後に手を洗う習慣がなければ、子供も帰宅後には手を洗わないことが当たり前のこととして覚えてしまいます。

このようにして子供は、親や周りの大人の行動や、話す姿を見ているうちに、いつの間にか周りの人たちが話している言葉もインプットしています。
子供は、全身のあらゆる部分をアンテナのようにして、親や周りの大人の行動を見ながら、様々なことを身に着けていきます

 

しかしこれだけでは、意味や使い方まで含めた「言葉」として覚えているわけではありません。
「言葉」として色々なことを覚えていく過程には、「聞く力」も重要です。人としての聴覚は胎児の時には完成しており、子供は生まれた時からちゃんと音が聞こえるといわれています。
しかし、生まれたばかりの赤ちゃんは、声の主が誰なのかという理解が出来ていません。
赤ちゃんは、生後5か月くらいを過ぎ、自分で首を動かせるようになると、声や物音の音源を、自分の意思で顔を動かして確認するようになります。
やがて、母親の声とそれ以外の人の声、親や兄弟などの家族の声も聞き分けられるようになり、自分の名前を呼ばれると振り向くようにもなります。
1歳を過ぎるころには、音にもっと興味を示すようになり、音に合わせて体を揺すったりする子もでてきます。
つまり、幼い子供にとっての「音」は、自分と周りの世界をつなぐ一つの手段なのです。※1、※2、※3、※4

 

子供の成長についての詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。

子供の成長についておさらい!こんなに早い!赤ちゃんから幼児まで

子供にマネされてもいい行動を心がけましょう!

赤ちゃんの頃から一生懸命に親の声に耳を傾けてきた子供は、大人の話す言葉を聞いてすぐに真似をするようになります。
この時、子供は親が使っている言葉を、当たり前の言葉だと認識し、良いか悪いかは判断しません。

 

さらに兄弟がいる場合、上の子供が外で覚えてきた言葉を家の中で使うことによって、下の子供もいつしかそれを覚え、どんどん真似をするようになるでしょう。
しかし、子供がいつの間にか覚えてしまった悪い言葉遣いだから仕方がないと、諦めてしまうのは禁物です。
子供の口から悪い言葉が出てしまうということは、周囲に良い印象を与えません。
これは大人に対してだけではなく、お友達同士であっても同様です。
例えば、乱暴な言葉を耳にしたお友達は、その子供に対して怖いという印象を持つことがありますし、汚い言葉を耳にしたお友達は、「あんなことを言うなんて、恥ずかしくないのかな」という印象を持ってしまい、距離を置くこともあるのです。
お友達との関係を築いていく上でも、子供から発せられる言葉はとても大切です。

 

家庭の教育力再生に関する調査研究では、家庭の教育力低下を感じる理由として過保護や甘やかしすぎ、過干渉な親の増加が最も多い理由として挙がっています。
子供の自由を尊重したいと考えている保護者が増えていますが、親のあまりに自由過ぎる言葉遣いは、周りに与える影響も大きいものです。


子供の乱暴な一言が自分のよく使う言葉だった、ということはありませんか?
親は普段からきちんした言葉遣いを心がけ、特に子供の前ではゆっくりと正しい言葉で話しかけるようにしましょう。※1、※2、※3、※4

※1 川原佐公 2015年11月発行 発達が分かれば保育ができる! ひかりのくに
※2 榊原洋一著 2007年7月第1刷発行 赤ちゃんの「育つ力」をわかる 信じる 伸ばす本 主婦の友社
※3 板倉弘幸 編著 2009年3月発行 ベテラン教師のアドバイス:親がする小学校入学までの準備ポイント
※4 子供の育ちをめぐる現状等に関するデータ集
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2009/03/09/1236114_3.pdf

なぜ子供は乱暴な言葉を使うの?

乱暴な言葉を使うのには理由がある?

ある日を境に急に使いだした乱暴な言葉は、その日の一度限りではなく、日に何度も使われ、連日のように耳にするようにもなります。
子供はなぜ乱暴な言葉を使うのでしょうか。


大人が新しく手に入れた服や靴をすぐに使いたいように、子供も覚えたばかりの言葉はすぐにでも使いたいのです。
今まで使ったことのない、聞いたことのなかった言葉を使ってみたいという感情が働いているのです。
さらに、これらの言葉で大人やお友達が大きな反応をすると、それがマイナスの反応だったとしても、子供にとってはとても「面白い事」として残ります。
一度使った乱暴な言葉でお友達が笑ったり、大人の「どこで覚えたの?」という反応が、子供には純粋に楽しいのです。

また、3歳前後では周りのお友達の言動を真似ようとし、お友達が使っているからという理由で、乱暴な言葉を使う場合もあります。

乱暴な言葉は子供にはとても面白く楽しいものですが、大人には恥ずかしいものでもあります。
「恥ずかしい」と思うようになるのは、情緒が細かく分化され、さまざまな感情が出揃う5歳頃からだといわれていますが、これにも個人差があります。
そのため、乱暴な言葉を使っている子供には恥ずかしいという感情がまだ芽生えてないケースもあります。※1、※3

乱暴な言葉は「ダメ」と言っているのに反抗する子供

「ダメ」の一言は子供にきちんと伝わっていますか?
「ダメよ」「やめてね」などの言葉が楽しいのか、親の怒った顔が面白いのか、子供はなかなか言う事を聞いてはくれません。
むしろダメと言っているそばから、子供は同じ言葉を発したり、ニコニコと走り回ったりします。
しかし、こういった反抗は成長の証でもあります。
2歳頃に始まるこの第一次反抗期は、3歳頃になると都合の悪いことは聞こえないフリをしたり、話を逸らすといったテクニックまで身につけます。

 

成長の証とは言え、乱暴な言葉を使っていることを許していいはずはありません。
いつもの優しいママの「ダメよ」では、子供に伝わらないのです。
では、子供に「これは本当にダメなことである」と伝えたい時には、どうすればよいのでしょうか。※1、※3

※1 川原佐公 2015年11月発行 発達が分かれば保育ができる! ひかりのくに
※3 板倉弘幸 編著 2009年3月発行 ベテラン教師のアドバイス:親がする小学校入学までの準備ポイント

乱暴な言葉への対応

叱る」と「怒る」の違いを理解する

子供が乱暴な言葉を使った時、親はきちんと「叱る」必要があります。
似たような行動に「怒る」もありますが、「叱る」と「怒る」は別のことです。
なんとなくではなく、まず親である大人が「叱る」と「怒る」の違いを理解しておきましょう

 

「叱る」には、目的があります。
子供に乱暴な言葉を使っていることを理解させ、今後使わないように導いていくことが叱るということです。
一方「怒る」ということは、親の感情の現れです。
乱暴な言葉を使った子供に対して、親が感情を抑えきれなくなり怒鳴り散らす行為です。
キンキンの叫び声のような金切り声で怒鳴られた子供は、煩い、怖いと思うだけで、じつは本当に伝えたいことは何も伝わっていません。

 

さらに、親の感情的な言葉によって怒られてばかりいると、「自分はダメな子なんだ」と自己肯定感の低い子供になってしまいます。
感情的に怒っていても何も良いことはありません。
乱暴な言葉にもきちんと計画を練って叱ることが必要なのです。
叱る時に優しいママでは効果がありません。
乱暴な言葉を使っときは、厳しく叱って下さい。
表情、態度、声のトーン、そして話すスピードを変えて子供と向き合い、いつもとは全く違った張り詰めた嫌な空気を作り出します。
例えば、いつもより怖い表情や無表情のまま、低い声で一言ずつゆっくりと発するようにすると、いつもの優しいママとは全く違う印象を与えます。
そして毅然とした態度で、「今、何て言ったの?」と聞き、さらに「二度と同じ言葉を言わないで」と言いましょう。
いつもと違う親の雰囲気に、気が付く子供は多いでしょう。

 

また、なぜその言葉遣いが良くないのか、同じことを表すならどう言い換えれば良いのかなど、子供の言葉遣いを正しい方向へ導く必要があります。
でもその前に、一旦いつもとは違う雰囲気を見せることで、子供に「これっていけないことなの?」と思わせることが、必要なのです。

文化庁が行った家庭での言葉遣いの調査結果をみてみましょう。
家庭で言葉遣いについて注意された子供は、平成12年度には69.3%でしたが、平成19年度では59.7%、平成26年度では56.1%と減少傾向にあります。
しかしこの時点でも、半数以上を占めているのが現状です。
子供の口から発せられる言葉は、親が思う以上に周りに影響を与えます
「怒る」と「叱る」の違いを理解し、乱暴な言葉には適切な対処をしていきましょう。※4、※5、※6

正しい言葉遣いは、どこから?

子供の言葉の力を育てるには、絵本などを使って、正しい綺麗な日本語に触れる機会を増やすのがよいでしょう。
1~2歳前後には絵本をゆっくりとしたテンポで読み聞かせ、途中で質問したり話しかけることも大切です。
4歳くらいになると子供は自分で話したり、人の話を聞いて理解することで、言葉を自分のものにしていきます。
子供に問いかけながら絵を見せたり、話をしたりして人の話を聞けるようになる機会を作っていきましょう。

また、テレビや映画、スマホなどが子供に悪い影響を与えていると認識している親は多くいます。
しかし、5歳児から中学3年のいずれにおいても、約6割の子供が1日に2時間以上もテレビなどをみているというデータがあります。
悪影響であると認識しながらも、小学生に対しテレビやゲームの時間の制限にとても気を配っている家庭は、25%程度です。


しかし、テレビは子供に悪影響を及ぼすからと、極端に抑圧をするのはよくありません
逆に、テレビがついていれば子供が大人しいからと、長時間テレビに頼るのもよくありません。
テレビに頼らず子供と向き合った子育てを意識しながら、その子供にとっての「ほどほど」を見極めていくことが必要なのです。
子供にとっての「ほどほど」とは、単にテレビ画面を見ているだけではなく、テレビの動きに合わせて反応したり、流れている映像の意味を考えたりができる時間です。
テレビに慣れ過ぎてしまって、こうした反応が出なくなったら、それは「見ている」のではなく「見せられている」と考えましょう。※1、※4

 

大人だって、言葉磨きが必要?

普段、子供にはどのような言葉で語りかけていますか?
「それじゃだめよ」「なにやってるの」「手を洗いなさい」「早く食べなさい」など、否定的な言葉や命令口調のオンパレードにはなっていませんか?


これでは感情的で子供にも伝わりませんし、例え伝わったとしても、このような否定や命令では、子供の反抗心をかきたてます。
しかし、子供にとって否定的な言葉を肯定的に言い換えることが出来れば、子供との関係はもっと良くなっていくかもしれません。
「手を洗いなさい」ではなく、「一緒に手を洗おう」と誘えば子供は嫌な気持ちにはなりません。
一緒に子供と手を洗い、「綺麗になったね。上手に洗えたね。」と褒めれば子供は手を洗う事が楽しくなり、命令しなくても手を洗えるようになります。
子供の乱暴な言葉への対処と合わせて、大人も言葉のもつ力を見直してみましょう。※1、※4、※6

※1 川原佐公 2015年11月発行 発達が分かれば保育ができる! ひかりのくに
※5 立石美津子著 2012年9月発行 小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと 中経出版
※4 子供の育ちをめぐる現状等に関するデータ集
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2009/03/09/1236114_3.pdf
※6 文化庁 平成 26 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/h26_chosa_kekka.pdf

子供の良い言葉遣いのために、親ができること

よい言動はしっかり褒めてあげましょう

子供自身に問題があるのではないか?と思われている行動の中には、親の関わり方次第で解決されるものもあります。
例えば、問題と思っている行動を違った角度からみると、その背後に別の問題や親との関係など、いくつかの面が絡み合っていることがあります。

 

子供は叱られるよりも、褒められる事が大好きです。
褒められれば喜びややる気が起き、親子関係も良好となっていきます。
褒められ、認められて育った子供はやがて、自分自身を認められるようになり、さまざまな自分を受け入れていくことができるようになります。
このような自己肯定感は、子供が一番好意を抱いている親に褒められることによって、さらに高められていきます

また、子供が良い言葉遣いを出来た時にも、親はたくさん褒めてあげましょう。
親に褒められることによって、子供は良い言葉遣いは褒めてもらえるのだと理解し、さらに良い言葉遣いをするようになっていくでしょう。

 

ただし、抽象的な褒め方ではなく、子供が喜ぶような具体的な褒め方が必要です。
例えば、近所の人に挨拶ができたら「きちんと挨拶できたね、上手だったね」と褒めることも、子供にとっては嬉しい出来事になります。※1、※3、※7

子は親の鏡、子供の言葉は自分の言葉かも

子供にとっての「言葉」は、一朝一夕で身に付くものではありません。


生まれたときから聴覚が発達していたとしても、それを「言葉」として認識し、発語し、意味を理解するまでには、長い時間がかかります。
子供の人生を考えたらほんの一瞬の期間かもしれませんが、子供の頃に身に付けた言葉遣いは、その後の子供の生活環境や友人関係に、大きく影響することもあります。

子供は、さまざまな場所で、たくさんの人たちに囲まれ、徐々に言葉を覚えていきます。

その中には、良い言葉もあれば、悪い言葉もあります。
でも子供にとっては、どれが良い言葉でどれが悪い言葉なのか、理解することが難しいこともあります。
結果的に、発語の方が先に出てしまうのです。

前述の通り、子供にとっての「言葉の見本」は、一緒にいる時間の長い家族ですので、良し悪しに関係なく、親や兄弟の普段の言葉遣いは、そのまま子供の耳や頭、心に残ります。

 

肝心なことは、子供の言葉遣いに対し、親がどのような態度をとるのか、ということです。
子供に、悪い言葉がなぜいけないのか、あるいは使っても良い場面とダメな場面を理解させることで、子供の言葉遣いを正しく導いていく必要があります。

もしも、子供の言葉遣いが良くないと感じた時は、自分の言葉遣いを振り返ってみてください。
もしかするとその乱暴な言葉や汚言は、自分自身がいつも口にしている言葉かもしれません。
その上で、親の方も正しい言葉を使うよう努力するとともに、悪い言葉を使ってはならないことを毅然とした態度で教えていきましょう。
これは、ママとパパだけでなく、家族全体で取り組んでいく必要があります。※7、※8

※1 川原佐公 2015年11月発行 発達が分かれば保育ができる! ひかりのくに
※3 板倉弘幸 編著 2009年3月発行 ベテラン教師のアドバイス:親がする小学校入学までの準備ポイント
※7 山本勝美著 2005年亜3月発行 3歳児は困ったちゃん?-育児カウンセラーのアドバイス 筑摩書房 
※8 佐藤眞子著 2013年11月10日発行 新編 2才児イヤイヤ期の育て方 主婦の友社

まとめ

子供の口から飛び出す乱暴な言葉は、親や兄弟など、身近な家族の影響が、もっとも大きいのかもしれません。
また、ここ数年メディアでも取り上げられることが増えてきた「テレビやスマホの影響」も、見過ごすことはできません。
子供が乱暴な言葉を使わないためには、親や周りの家族の言葉遣いを正し、毅然とした態度と、一貫した対応が必要です。
小学校に入る前には、乱暴な言葉を使わない、相手の気持ちを考えて行動できる子供に育てたいですね。

 

 

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