母乳とミルク、混合授乳どれがいい?それぞれのメリットとデメリット

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ママの中には、赤ちゃんを母乳だけで育てている人もいれば、ミルクだけ、混合授乳をしている人とそれぞれですよね。

乳児期の赤ちゃんは、生後1年で体重は約3倍にも増え、身長も約25㎝伸びます。
脳も急速に成長するこの時期は、栄養の摂取がとても重要。

赤ちゃんへの大切な栄養源には、タンパク質、脂質、糖質などがありますが、母乳とミルクでは何が違うのでしょうか。
母乳とミルクのメリット、デメリットを確認してみましょう。

目次

  1. 母乳とミルク、赤ちゃんの授乳の現状は?
    • 母乳とミルクと混合、どれが多いの?
  2. 妊娠中の母乳育児に対する考え
  3. 母乳とミルクでメリットに違いはあるの?
    • 母乳授乳のメリットは?
    • ミルク授乳でのメリットは?
    • 混合授乳のメリットは?
    • 母乳とミルクの赤ちゃんへのメリット
  4. 母乳とミルク、それぞれの問題は?
    • 母乳授乳で困ったこと
    • ミルク授乳で困ったこと
    • 混合授乳で困ったこと
    • 高品質なミルクは母乳と大差なし
  5. まとめ

母乳とミルク、赤ちゃんの授乳の現状は?

母乳とミルクと混合、どれが多いの?

母乳とミルク、どちらで赤ちゃんに授乳を行っているママが多いのでしょうか。
過去に厚生労働省が行った「赤ちゃんへの栄養方法」に関する調査によると、生後1か月の赤ちゃんに母乳育児を行っている人は、平成7年では46.2%、平成17年では42.4%、平成27年では51.3%でした。
赤ちゃんに母乳をあげているママは、平成7年から平成17年までは減少傾向にありましたが、近年では2人に1人以上であると分かりました

 

では、母乳とミルクの混合授乳はどうでしょうか。
同調査によると、平成7年では45.9%、平成17年では52.5%と増加傾向にあったものの、平成27年には45.2%と減少しています。
また、ミルクだけをあげているママは、平成7年では7.9%、平成17年で5.1%、平成27年では3.6%と、年々減少している傾向があります。
母乳を与えながら赤ちゃんを育てているママの割合は、混合栄養も含めると96.5%とわかります。※1

 

では、もう少し大きくなった赤ちゃんへの授乳方法をみてみましょう。
生後3か月の赤ちゃんの場合、母乳をあげているママの割合は、平成7年では38.1%でしたが平成17年では38.0%でしたが、その後の平成27年では大幅に増え54.7%となりました。
混合授乳では平成7年では34.8%、平成17年では41.0%で平成27年には35.1%となっています。

平成17年について生後1か月の赤ちゃんと3か月の赤ちゃんの栄養方法を比較してみると、母乳が減り、混合が増加するという傾向があるようです。
一方、平成27年では生後1か月から3か月の間で母乳の割合が増え、混合が減りました。
これらのことから考えると、生後1か月の時点で「母乳が足りない」などの事情によりミルクを足していたママの中でも、母乳が出るように努力を続けた結果、完全母乳になったと推測できます。

妊娠中の母乳育児に対する考え

次に、妊娠中の母乳育児に対する考えを見てみましょう。
平成17年では43.1%の人が「ぜひ母乳で育てたい」と思っていました。
この割合は平成27年でも43.0%となっており、大きな差は見られませんでした。
さらに「母乳が出れば母乳で育てたい」と思っているママ、平成17年では52.9%、平成27年では50.4%となります。
平成27年の調査での「ぜひ母乳で育てたいと思っていた」と「母乳が出れば母乳で育てたいと思っている」を合計すると、母乳で育てたいママの割合は9割を超えています。※1


母乳での授乳が増加した背景には、出産施設での母乳育児の働きかけも大きく影響しています。
出産後30分以内に母乳を飲ませた施設は、平成17年では32.4%でしたが、10年後の平成27年では37.2%へと増加しています。
さらにママと赤ちゃんがずっと同じ部屋で過ごす「母子同室」は、平成17年では17.3%でしたが、平成27年には27.9%と、10ポイント以上増えています。
「赤ちゃんが欲しがる時はいつでも母乳を飲ませる」と答えたママは、平成17年では52.9%でしたが、平成27年では74.9%にも上りました。
出産施設では、10年前と比べると母乳育児の後押しをしていることが見て取れます。
赤ちゃんへの授乳は、このうような背景からも母乳育児を行っているママが多くなっているのが分かります。※1

※1 厚生労働省 平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000134207.pdf

母乳とミルクでメリットに違いはあるの?

母乳授乳のメリットは?

まず、母乳育児のメリットの一つには、ママの身体の回復があります。
母乳育児では、赤ちゃんにおっぱいを吸われるため、乳首に刺激を受けます。
するとオキシトシンというホルモンが分泌され、ママの子宮は収縮しやすくなり、子宮の回復が早くなります。※2、※3

 

また、母乳だけで赤ちゃんを育てた場合、ママの産後ダイエットに役立つという考え方があります。
妊娠中、ママの体には多くの脂肪が蓄積されます。
お腹だけではなく、背中や二の腕などに、脂肪が増えた気がするママは多いのではないでしょうか。
出産すると、この脂肪は、母乳に含まれる成分へと変化します。
母乳授乳を続けるた場合、増えた脂肪がママの体から無くなっていくため、ダイエットに役立つ、というわけです。※4

 

母乳のメリットとして、ママの食事もあげられます。
母乳を与えているママは、自分の食事にも気を付けているのです。
高カロリーな食事は母乳を与えているママの乳腺を詰まらせたり、しこりとなり、やがて痛みや発熱などの原因となります。
これを避けるために、ママも健康的な食事をとるようになるのです。

 

さらに母乳授乳では、排卵が抑えられるため、次の妊娠までの間をあけやすくなります。
これは授乳性無月経といわれるもので、授乳期間が長ければ1~2年間、排卵と月経の再開が抑えられます。※3
このほか、ママと赤ちゃんの密着度が高くなり赤ちゃんに対しての愛着がわく、将来的には乳房や子宮の病気、生活習慣病になるリスクが低くなる、などのメリットがあるとも考えられています。

ミルク授乳でのメリットは?

では、ミルクでの授乳にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
母乳はママじゃないと赤ちゃんに与えることは出来ませんが、ミルクはパパでもあげられます。
そのため、パパが積極的に授乳育児に参加できるという、大きなメリットがあるでしょう。
赤ちゃんを抱っこして授乳する楽しみはパパだけではなく、おばあちゃんやおじいちゃんも味わえるため、みんなで協力して育児を行う、よいきっかけにもなります。※2

ミルクでの授乳は、ママの食事にはあまり気を使わなくても良いのもメリットと言えます。

 

また、赤ちゃんがミルクを消化するのには、母乳よりも時間がかかります。
そのため、ミルクで育つ赤ちゃんはよく寝てくれる、といわれています
ミルクでの授乳は一定の時間を空けることができるため、授乳ペースが決まってきますし、赤ちゃんがどれくらいの量を飲んでいるのか、きちんと把握することができるのです。※2、※3

混合授乳のメリットは?

では、母乳とミルク、両方を授乳しているママにとってのメリットは何でしょうか。

例えば、ママが夜は少しでも長く休みたいときには、ミルクにすると次の授乳まで一定の時間をあけることができそうです。

また、日中でもパパやおばあちゃんたちがミルクをあげてくれれば、ママは少しの間、家事などに集中したり、気分転換に外出できる場合もあるでしょう。

一方、外出先にミルク授乳に必要なもの(粉ミルク、お湯、哺乳瓶など)を持っていくのが難しいときは、母乳で乗り切るという方法もあります。

このように考えると、混合授乳の一番のメリットは、状況に応じて切り替えが可能なところかもしれません。※2、※3

母乳とミルクの赤ちゃんへのメリット

産まれたばかりの赤ちゃんは、母乳やミルクだけで育ちます。
つまり、母乳やミルクには赤ちゃんが成長していく上で必要な成分が、全て含まれているという部分です。
多くの栄養が含まれる母乳や、ミルクでの授乳はママにとってどちらにも別々のメリットがあることが分かりましたが、では赤ちゃんにとってのメリットはどうなのでしょうか。

赤ちゃんは、ママのお腹の中でずっと守られてきました。
そして、外の世界へと生まれママやパパと感動の対面を果たすのですが、外の世界には細菌やウイルスがいっぱいです。
これらの病原体から赤ちゃんを守ってくれる成分が母乳にはあります。
免疫成分と呼ばれるものです。この免疫成分は母乳だけに含まれるもので、ミルクでは赤ちゃんに与えることが出来ません

 

また、赤ちゃんが飲んだ母乳やミルクは、消化管で分解され、吸収されていきます。
しかし、ミルクは乳たんぱく質を含んでいるため、母乳よりも消化されにくいのです。
「ミルクの方が腹持ちが良い」といわれるのは、このためです。

一方、母乳はもともとビタミンDやビタミンKが、赤ちゃんの栄養素としては不足していますが、ミルクは赤ちゃんに必要な栄養素をまんべんなく摂取できるように作られています
赤ちゃんの栄養がきちんと揃っているのは、ママとしても大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

 

さらに個人差はあるものの、ミルクでの授乳は卒乳が母乳よりもスムーズになる傾向があるといわれています
哺乳瓶からコップへの切り替え時に大きな問題となる場合が少なく、そのためミルクから少しずつ他の飲み物へと離れていくことができるのです。

ところで、近年、世界各国で行われている研究によると、母乳のみ育児だった子供の方が、小児期に発症する慢性疾患などを発症しにくいと考えられているようです。
こうした研究は現在も続けられていますが、母乳育児が見直されるきっかけとなったといえそうです。※3 

※2 榊原洋一著 2004年7月30日発行 寝ない・食べない・泣きやまないはこうすればOK!ママの「育児3大悩み」解消BOOK 日本文芸社
※3 宋美玄 姜昌勲 NATROM 森戸やすみ 堀成美 Dr.Koala 猪熊弘子 成田崇信 畝山智香子 松本俊彦著 2016年7月25日発行 各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと メタモル出版
※4 厚生労働省 「妊産婦のための食生活指針」について
http://rhino.med.yamanashi.ac.jp/sukoyaka/pdf/ninpu03.pdf

母乳とミルク、それぞれの問題は?

母乳にもミルクにも、ママや赤ちゃんにメリットはありますが、一方でデメリットもあります。
では、それぞれの困ったこと(デメリット)を見ていきましょう。

母乳授乳で困ったこと

母乳のみで授乳している場合、およそ70%のママは何かしらの「困ったこと」があるといわれています。

 

その内訳をみてみると、

  • (哺乳瓶で)ミルクを飲むのを嫌がる
  • 外出の際に授乳できる場所がない
  • 母乳を飲みすぎる

などが挙がっています。※1

 

母乳に慣れた赤ちゃんは、いざママが誰かに赤ちゃんを預けようと思っても、ミルクを飲んでくれないなどの問題が起こります。
口の前に哺乳瓶を当ててみても、舌で押し出してしまう子もいるほどです。
また、完全母乳の場合、ママは常に赤ちゃんと一緒にいないといけないため、ママの休める時間が確保しにくくなってしまいます。
さらに、母乳での授乳は、授乳室など専用の場所を探さなくてはいけないので、外出時は事前に調べておく必要があります。※3 

ミルク授乳で困ったこと

ミルクだけの授乳で困ったことがあるママも、およそ70%いるといわれており、母乳授乳との差はあまり無いようです。
ミルクだけの授乳をしていたママが「困った」として選んでいたのは、母乳が出ない、母乳を飲むのを嫌がる、母親の健康状態の3つが多かったようです。
ここには、本来ならば母乳育児もしたかったけど、何らかの理由によってミルク授乳になってしまった、というママの気持ちが見え隠れしています。
ママの母乳の出具合や健康状態が良くなかったなどで、産後の体調にも左右されてミルクになったのならば、ママの少々残念な気持ちや、子育ての大変さなどが、見て取れるのではないでしょうか。※2、※5

混合授乳で困ったこと

母乳とミルクの良い所をとった混合授乳は、一見困ったことが少なそうに思えます。
しかし、混合授乳でも80%以上のママが「困ったこと」があるといわれ、実は母乳授乳やミルク授乳よりも多いとされています
困っている事としては、母乳が足りているかどうか分からない、母乳が不足ぎみなのが気になる、授乳そのものが負担と考えているようです。※1
混合授乳では、赤ちゃんが欲しがった時にはまず母乳を与え、不足している分をミルクで補うという方法がとられます。
この授乳方法は、赤ちゃんの母乳摂取量と、ミルクでの摂取量をどれくらいにするか算定しなければいけません。
母乳の後ミルクは必要か、どのくらい不足しているのかと、ミルク量の調整が毎回必要となり、手間も増えてしまいます。※2、※5
さらに、毎回ミルクを多く足していくと、赤ちゃんの母乳の摂取が減り、ママの母乳分泌自体も減ってしまうのです。

高品質なミルクは母乳と大差なし

母乳で育てたいと思っていても、母乳の出具合には個人差があります。
赤ちゃんが飲む以上の量の母乳が溢れ出てしまうようなママもいれば、頑張っても頑張っても少ししか出ないママもいます。
赤ちゃんにちょうど良い母乳量をコントロールするというのは、難しいのです。

母乳授乳には母乳授乳の良さがあり、ミルク授乳にはミルク授乳の良さがあり、混合授乳には混合授乳の良さがあります。
母乳授乳で育てた方が良い、ミルク授乳で育てた方が良い、ということはないのです。
ミルクは授乳のたびに調乳して冷ます手間や、外出時の荷物が多くなるといったデメリットも、見方を変えれば、頻繁に授乳しなくても良い、赤ちゃんを預けやすい、というメリットがあるのです。
どちらを良しとするかは、個人の価値観や生活スタイルで変わってくるのです。

 

近年では、ミルクが衛生面に優れ、高品質となり、しかも限りなく母乳に近いものとなりました。
赤ちゃんの成長に、ミルクで育ったからといって影響が出ることは、ほぼ無いでしょう。
また、当たり前のことですが、ミルクでも愛情たっぷりの授乳を行うことは可能です。
ママの愛情は、授乳方法だけで決めるものではありません。
ママが心に余裕を持って赤ちゃんと接することができる、笑顔で育児が出来ているという環境が大切なのではないでしょうか。※2、※5

※1 厚生労働省 平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000134207.pdf
※2 榊原洋一著 2004年7月30日発行 寝ない・食べない・泣きやまないはこうすればOK!ママの「育児3大悩み」解消BOOK 日本文芸社
※3 宋美玄 姜昌勲 NATROM 森戸やすみ 堀成美 Dr.Koala 猪熊弘子 成田崇信 畝山智香子 松本俊彦著 2016年7月25日発行 各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと メタモル出版
※5 佐藤眞子 著 2013年11月10日発行 新編 2才児イヤイヤ期の育て方 主婦の友社

まとめ

母乳は赤ちゃんには発育に必要な栄養がバランスよく含まれ、ママにも産後の回復が早くなるといったメリットがあります。
しかし、ミルクを使ったからといって何か問題があるわけではありません。
日本の粉ミルクは衛生的で栄養価も高く、母乳にかなり近づいています。
ママが頑張りすぎたり、体力的に限界にならないよう、授乳だけではなく、さまざまな育児方法は自分と子供に合ったものを選択してみてもよいのではないでしょうか。

 

授乳期が終わったら、次は離乳食です。

離乳食の詳しい内容は、

離乳食の進め方-食材や固さ、進める目安、食べないときは?-

つかみ食べはレシピやグッズ活用でイライラしない!積極的にさせる理由と促し方

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